レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/03/17
- 登録日時
- 2013/03/30 00:30
- 更新日時
- 2013/04/17 13:13
- 管理番号
- 6000010881
- 質問
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解決
ドイツのパンであるプレッツェルを作る際、色をきれいな茶色にするために苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使うと聞いたが、食品添加物として表示されているのを見たことがない。なぜかわかる資料はあるか。また家庭で作る際、苛性ソーダのかわりに使えるものがあれば合わせて知りたい。
- 回答
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『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』などによると、水酸化ナトリウムは最終食品の完成前に中和または除去を行うように食品添加物の使用基準で定められているため、加工助剤として表示が免除されている。
なお、苛性ソーダではなく重曹を使ったプレッツェルの作り方が、『ひとつの生地でできるプレッツェル&ベーグル』などにあり。
- 回答プロセス
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まずパンを焼く際の食品添加物としての苛性ソーダについて調べるため、498.5(食品衛生)の書架で添加物関連の資料を探し、内容を確認。
『新訂版 食品添加物の使用基準便覧 第40版』(日本食品衛生協会)で、p201「食品別添加物使用基準」の一般食品の添加物の中に、食品製造用の水酸化ナトリウムがあり。またp136「用途別添加物使用基準」の食品製造用にも水酸化ナトリウムの項があり、いずれにも「最終食品の完成前に中和または除去すること」との記載があり。
『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』(光生館)p29「表示が免除される食品添加物」に、「加工助剤」の項があり、食品の製造工程中で使用されたものが除去・分解・中和などで最終食品中に残存しないものは加工助剤と呼ばれて表示が免除されるとの記載があり。p30の表には加工助剤の例として水酸化ナトリウムが挙げられている。
『食品添加物表示の実務』(日本食品添加物協会)p46-50に加工助剤についての詳しい記載があり、使用基準で分解除去または中和が定められている食品添加物として、水酸化ナトリウムが挙げられている。
『プロのためのわかりやすい製パン技術』(柴田書店)p90-91「ブレッツェル」には、焼成前に浸すラオゲン(アルカリ溶液)について、ドイツでは苛性ソーダの3%溶液を使用、日本では食品添加物としての苛性ソーダか薬局方で指定された苛性ソーダを使用し、焼成後苛性ソーダの残存が認められなければ使用できると記載があり。
さらに家庭でのプレッツェル作りについて、596.6(料理-パン)の書架を探し、内容を確認。
『ひとつの生地でできるプレッツェル&ベーグル』(家の光協会)p9に、本来は苛性ソーダを薄めた強アルカリ性のラウゲン液に浸すと断った上で、劇薬の苛性ソーダを用いず手軽に作れる方法として、重曹を溶かした湯に浸すプレッツェルの作り方が紹介されている。
このほか『絶対おいしい!はじめての手作りパン』(主婦と生活社)p95、『焼きたてのパン作り』(グラフ社)p16にも、重曹を溶かした液を塗ったり、生地を浸したりするプレッツェルの作り方があり。
なお『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』p224「炭酸水素ナトリウム(重曹)」によると、重曹は使用量を制限する必要はないとのこと。
- 事前調査事項
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『ドイツ国立製パン学校講師によるドイツ製パン』(J・I・B)p56「小麦粉フォアタイク入りブレッツェルとそのバリエーション」に、ブレッツェル(プレッツェル)はアルカリ溶液のラオゲン液(3~4%の苛性ソーダ溶液)に生地をひたすことで独特の美しい栗色となるとあり。焼く途中で生地から発生する二酸化炭素が苛性ソーダと反応して炭酸ソーダとなるため健康への被害はないとのこと。
- NDC
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- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 9版)
- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
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- 『食品添加物の使用基準便覧』(日本食品衛生協会)
- 『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』谷村 顕雄/監修(光生館)
- 『食品添加物表示の実務』食品添加物表示問題連絡会/共編(日本食品添加物協会)
- 『ひとつの生地でできるプレッツェル&ベーグル』石澤 清美/著(家の光協会)
- 『絶対おいしい!はじめての手作りパン』藤田 千秋/著(主婦と生活社)
- 『焼きたてのパン作り』島津 睦子/料理(グラフ社)
- 『プロのためのわかりやすい製パン技術』江崎 修/著(柴田書店)
- キーワード
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- プレッツェル
- ブレッツェル
- パン
- ドイツ
- 料理
- 苛性ソーダ
- 水酸化ナトリウム
- 重曹
- 炭酸水素ナトリウム
- 食品添加物
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『パン作りの疑問に答える パン「こつ」の科学』(柴田書店)p54に、ラウゲン液についての詳しい記載があり。ドイツでは使用量が法律で規制され、1リットルの水に対し水酸化ナトリウムを38~42gの範囲で溶液にするとのこと。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000129914