レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/28
- 登録日時
- 2019/12/26 00:30
- 更新日時
- 2019/12/26 00:30
- 管理番号
- 滋2019-0028
- 質問
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解決
江戸期の滋賀県における江戸期の各村々の場所や境界線、さらに、村々の領主の変遷が分かる資料はあるか、教えてほしい。
村々の境界線の変遷や新しい村ができたところも、あわせて知りたい。
- 回答
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○江戸時代の滋賀県における村の場所または境界線について
滋賀県内に残っている江戸地代の歴史地図は、当館所蔵の「近江国各郡町村絵図」だけでも1000点以上、それ以外に県内各地の博物館・市役所・町役場・自治会等で所蔵されている地図も多数あります。それらのうちから、当館で把握した範囲ですが、お役に立ちそうな地図をご紹介します。
1.近江国各郡町村絵図
『角川日本地名大辞典 25 滋賀県』に「近江国各郡町村絵図」の一覧があります。廃藩置県にともなって滋賀県に引継ぎを受けた旧藩関係地図で、県有文化財となっており、点数は1115点あります。そのほとんどを当館で所蔵しており、そのうち661点については、当館ホームページ上の「近江デジタル歴史街道」にアクセスいただくと、デジタル化された形で閲覧することができます。
(「近江デジタル歴史街道」URL:http://www.shiga-pref-library.jp/wo/da/search/)
なお、「近江デジタル歴史街道」の画像を閲覧するためには、無料ソフト「DjVu(デジャヴュ)」をインストールする必要があります。詳細は上記URLから、「ご利用方法」をご参照ください。
以下では、簡単にその概要をご紹介します。
①国絵図・郡図
滋賀県全体の絵図としては、江戸幕府が各藩に命じて作らせた国絵図があります。当館では、正保2年(1645年)、元禄14年(1701年)、天保8年(1837年)作製のものを所蔵しています。また、近江国内12郡の郡図も、各郡1枚は所蔵しています。
②大津各町絵図
現在の県庁所在地である大津については、元禄8年(1695年)作成の町絵図があります。
③地引絵図・耕地絵図
最大の藩であった彦根藩領内については、明治4年(1871年)に彦根県が作成した「近江国愛知郡七十壱ケ村耕地絵図」があり、村が個別に描かれています。また、彦根以外の地域についても、明治時代に地租改正が行われた時期に作成された町村図や地引絵図があります。
④その他の絵図
その他、争論絵図や農業水利図もデジタル化されていますので、上述の「近江デジタル歴史街道」の検索画面から、「争論」「水利」などのキーワードで検索していただければ、閲覧可能です。
2.県内各地の絵図
県内の絵図の研究状況については、「彦根県下における明治四年作製絵図の基礎的研究」、「滋賀県下における明治期作成の地籍図-現草津市域の事例を中心に-」(『歴史地理学と地籍図』所収)などの論文に、それぞれの地域を中心とする絵図の研究の概況が述べられています。
また、県内各市町の市史・町史編纂の際に、古地図集を編纂されている市町があります。
一例を挙げますと、『古地図に描かれた草津』には現在の草津市の古地図がカラー図版で多数収録されています。その他、現在までに出版されたものについては、【回答資料】4~21に列挙しましたので、参考にしてください。
○村々の領主の変遷
『滋賀県史 第3巻』の「藩領沿革」によると、江戸時代の近江国では、ひとつの村を複数の領主で分割支配している事例が多く、また転封等によって数年から数十年ごとに領主が変わる村もあり、その全体像をコンパクトにまとめることは困難です。
したがって、以下では、ある程度の概要が把握できる資料を中心に紹介します。
○県内全域の領主の概要がわかる資料
①『滋賀県市町村沿革史』の「行政区画の変遷」表
『滋賀県市町村沿革史 2巻・3巻・4巻』には、同書編纂時の県内53市町の沿革がそれぞれ記載されています。この本に収録されている「○○市(○○町)の行政区画の変遷」という表には、明治以前では、寛永11年(1634年)石高と領主、元禄14年(1701年)の石高と領主、天保8年(1837年)の石高、明治元年(1868年)の石高と領主(藩・県など)が村単位で記されており、明治以降でいえば、昭和26年(1951年)までの行政区画の変遷が掲載されています。
この資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されていますが、「図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館」(同コレクション利用案内に一覧あり)の館内でのみ閲覧可能となっています。
②文政6年(1823年)の石高と領主
『滋賀県史』(第3巻)に、「文政石高帳」(または「文政近江国石高帳」)(文政6年(1823年))による、近江国内の各領の一覧表があります。この表には、村ごとに郡名・領主別(「直轄」「在国大名」などの別)・所領高・所領高内訳・領主藩名がしるされています。
これを地図にあらわしたものが、『滋賀県史 第6巻 付図』「藩領分布図」で、先にご紹介した当館ホームページ上の「近江デジタル歴史街道」で閲覧可能です。「文政近江国石高帳」原本の写本は滋賀県立図書館で所蔵していますが、閲覧いただくには、制限資料閲覧申込書に閲覧目的等を詳しくご記入いただいたうえで事前の申し込みが必要となります。
(申込書URL:http://www.shiga-pref-library.jp/reference/help/da_search/)
なお、この図は『角川日本地名大辞典25 滋賀』にも収録されていますが、非常に簡略化されています。
③明治元年(1868年)の石高と領主
『旧高旧領取調帳 近畿編』に、明治元年(1868年)の近江国内の領主と所領村・石高が掲載されています。
④行政区画変遷・石高一覧
『滋賀県の地名』に「行政区画変遷・石高一覧」があります。これは、「正保郷帳」・「元禄郷帳」・「天保郷帳」により、各村の石高の変遷を郡・市ごとに一覧にしたものです。同書の「文献解題」によると、「正保郷帳」および「元禄郷帳」には、郡ごとに村高と領主を示しているとのことですが、同書巻末掲載の「行政区画変遷・石高一覧」の表には、領主名の記載はありません。
○県内各市町の領主の変遷について
県内各市町で、郡史・市史・町史が刊行されており、各地の領主の変遷についての記述があります。すべてを調査することはできかねますので、一例を挙げますと、『草津市史』第2巻第2章「近世前期の草津」第1節「錯綜する所領」、第3節「村の成立」、第5章「近世中・後期の村々」第1節「領主支配の動揺」などの項において、各村の領主支配の変遷が述べられています。また、『草津市史』第2巻付図1には、「近世の草津市域」として、各村の村界が示されています。
○滋賀県の新田開発について
江戸時代には、滋賀県内でも新田開発が奨励され、開拓が行われました。『滋賀県史』第3巻によれば、例えば彦根藩領内では古澤、古西法寺村、長浜新田、栗見新田、茨川茶屋、大沢といった村が開拓されたほか、野洲川・安曇川の砂嘴や栗太郡・蒲生郡・滋賀郡の台地でも開発が行われたとのことです。
各郡史・市史・町史には新田開発についても記述があります。これについても滋賀県全域について調査はできかねますので、『草津市史』を例にとりますと、『草津市史』第2巻第2章第2節「膳所藩の民政」の中の「新田開発」の項目や、同第4節「村の構成と貢租」の「新田開発」の項で、山寺新田等の開発について記述されています。
また、「近世後期における琵琶湖の新田開発」「享保改革と琵琶湖の新田開発計画」といった論文もありますので、参考までにご紹介します。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 地理.地誌.紀行 (290 8版)
- 参考資料
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- 1 角川日本地名大辞典 25 「角川日本地名大辞典」編纂委員会∥編 角川書店 1979年 S-2900- 79 p.1224(藩領分布図),p.1234-1244(近江国各郡町村絵図)
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2 彦根県下における明治四年作製絵図の基礎的研究 岩間一水∥著 佛教大学大学院 1995年 S-2900- 95 -
3 歴史地理学と地籍図 桑原公徳∥編 ナカニシヤ出版 1999年 S-2900- 99 -
4 古地図に描かれた草津 草津市立街道文化情報センター∥編集 草津市 1994年 5-2921- 94 -
5 明治の村絵図 野洲町史編さん室∥編 野洲町 1986年 5B-2926- 86 -
6 八日市市の地名と景観 八日市市史編さん室∥編 八日市市教育委員会 1986年 5-2942- 86 -
7 明治之村繪図 新旭町教育委員会事務局内郷土資料室∥編 新旭町 1988年 5B-2917- 88 -
8 五個荘町史 第4巻 2 地名と景観 五個荘町史編さん委員会∥編集 五個荘町役場 1993年 S-2148-4 -
9 明治の村絵図 米原町史編さん委員会∥編集 米原町 1996年 5B-2964- 96 -
10 彦根明治の古地図 1 彦根市史編集委員会∥編集 彦根市 2001年 SB-2951-1 -
11 彦根明治の古地図 2 彦根市史編集委員会∥編集 彦根市 2002年 SB-2951-2 -
12 彦根明治の古地図 3 彦根市史編集委員会∥編集 彦根市 2003年 SB-2951-3 -
13 明治の古地図 愛東町教育委員会∥編集 愛東町 2003年 SB-2952- 03 -
14 ごめんやすおいでやす [第1集]~第4集 会議BIWA∥編集 びわ町 1997年~1999年 SB-2969-1~4 -
15 守山市誌 地理編資料 古絵図 守山市誌編さん委員会∥編集 守山市 2003年 SB-2124- 03 -
16 高月町史 景観・文化財編 分冊1 高月町∥編集 高月町 2006年 SB-2171-1 -
17 近江愛知川町の歴史 第4巻分冊3 ビジュアル資料編 愛知川町史編集委員会∥編集 愛荘町 2007年 S-2154-4 -
18 明治の古地図-能登川- 「能登川の歴史」編集委員会∥編集 東近江市 2008年 SB-2942- 08 -
19 朽木村史 資料編 朽木村史編さん委員会∥編集 滋賀県高島市 2010年 SB-2112- 10 -
20 明治の古地図 愛荘町 [1] 愛荘町立歴史文化博物館∥編集 愛荘町歴史文化博物館 2010年 5B-2954-1 -
21 明治の古地図 愛荘町 2 愛荘町立歴史文化博物館∥編集 愛荘町歴史文化博物館 2016.3 5B-2954-2 -
22 滋賀縣史 第3巻 中世?近世 滋賀県∥編 滋賀県 1928年 S-2100-3 p.511-513(諸藩領沿革)p.529-531(文政石高表)p.539-540(開拓事業)p.563-564(耕地の増加) -
23 滋賀県市町村沿革史 第2巻 各論 滋賀県市町村沿革史編さん委員会∥編集 滋賀県市町村沿革史編さん委員会 1967年 5-2100-2 -
24 滋賀県市町村沿革史 第3巻 各論 滋賀県市町村沿革史編さん委員会∥編集 滋賀県市町村沿革史編さん委員会 1964年 S-2100-3 -
25 滋賀県市町村沿革史 第4巻 各論 滋賀県市町村沿革史編さん委員会∥編集 滋賀県市町村沿革史編さん委員会 1960年 S-2100-4 -
26 文政近江國石高帳 上・下 [出版地・出版者不明] 5W-6100-エド (制限資料) -
27 滋賀県史 第6巻 付図 滋賀県∥編 名著出版 1971年 5-2100-6 -
28 旧高旧領取調帳 近畿編 木村礎∥校訂 近藤出版社 1975年 S-2508- 75 -
29 滋賀県の地名 平凡社地方資料センター∥編集 平凡社 1991年 S-2900- 91 p.1133-1181(行政区画変遷・石高一覧) -
30 草津市史 第2巻 [近世編] 草津市史編さん委員会∥編 草津市役所 1984年 S-2121-2 p.118-137(錯綜する所領)、p.160-167(村の成立)、p.518-521(領主支配の動揺)、p.148-150(膳所藩の民政・新田開発)、p.215-221(村の構成と貢租・新田開発) -
31 経済学論叢 第53巻第4号 同志社大学経済学会 2002年 S-6100- 02 p.69-102「近世後期における琵琶湖の新田開発」 -
32 享保改革と琵琶湖の新田開発計画 杉江進∥著 立命館大学人文学会 1995年 S-6100- 95 -
1 彦根県下における明治四年作製絵図の基礎的研究 岩間一水∥著 佛教大学大学院 1995年 S-2900- 95 冒頭 -
2 滋賀県の歴史 畑中誠治∥[ほか]著 山川出版社 1997年 S-2100- 97 関係なし -
3 12歳から学ぶ滋賀県の歴史 滋賀県中学校教育研究会社会科部会∥編 木村至宏∥監修 サンライズ出版 2005年 S-2100- 05 p.90点在する飛び地領と幕府直轄領 -
4 明治期作成の地籍図 佐藤甚次郎∥著 古今書院 1986年 2-2910-サ
- キーワード
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- 境界線:滋賀県
- 江戸時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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※「近江国各郡町村絵図」1115枚。うち701枚は旧彦根県下の各村々を個別に描いた地引絵図と耕地絵図。127597326
※1823年「近江国石高帳」によると、近江に飛び地があった藩は24藩、旗本は146人にのぼる。(12才から学ぶ滋賀県の歴史)
※「滋賀県市町村変遷図」(明治初年~)は、市町村沿革史第一巻別冊にあり(地図と表)
また、当館には各郡の郡図も所蔵しています。甲賀郡を例にとりますと、下記の甲賀郡図を所蔵しています。
①「甲賀郡絵図」(江戸時代後期制作)
②「甲賀郡戸長役場所轄区域絵図」(明治5年〈1872〉から明治22年〈1889〉までの間に制作)
③「滋賀県甲賀郡図」(『滋賀県甲賀郡一班』 滋賀県甲賀郡役所発行 大正5年〈1917〉の付録)
このうち、①「甲賀郡絵図」には村界は描かれていません。②は、村ごとに色分けがされているので、大まかな村界がわかります。③は大正期のものではありますが、当時の行政上の町村界がわかる地図です。
近江国内には12の郡があり、各郡少なくとも一枚は郡図を所蔵しております。すべての郡についてどの程度の境界がわかるか逐一確認まではできかねますので、当館のデジタルアーカイブ「近江デジタル歴史街道」で「郡図」「郡絵図」のキーワードで検索するか、【資料種別】「絵図」・【地域】「お調べの地域」でチェックボックスをクリックして検索してご覧になってみてください。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000271602