レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年5月10日
- 登録日時
- 2017/09/29 10:43
- 更新日時
- 2018/03/17 17:51
- 管理番号
- 吹-80-2017-003
- 質問
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解決
「題新居、寄宣州崔相公」という題の漢詩の意味が知りたい。
- 回答
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『白楽天全詩集 第3巻』(佐久節/訳註 日本図書センター 1989)p588~589に全文、書き下し文、詩意が以下のとおり掲載されていた。
門庭有水巷無塵
好稱閑官作主人
冷似雀羅雖少客
寬於蝸舍足容身
疏通竹徑將迎月
掃掠莎台欲待春
濟世料君歸未得
南園北曲謾為鄰
門庭に水有りて巷に塵無し、
好く閑官に主人と作るに稱へり。
冷は雀羅に似て客少なしと雖も、
蝸舍より寬くして身を容るるに足れり。
竹徑を疏通して將に月を迎へんとす、
莎台を掃掠して春を待たんと欲す。
世を濟ひて料るに君歸り未だ得ず、
南園北曲謾に鄰を為す。
吾が門庭には水ありて塵なく、散官の主人の住居には極めて適當してゐる。さびれ果ててゐて門庭に雀羅を張りたいくらゐだけれども、蝸牛の家よりは廣いから身を容るるには十分である。竹の徑を開いて月を迎へる為にし、芝の生えた高薹を掃除して春の到るのを待つてゐる。君は官吏として宣州にゐるから當分歸隠することは出來まいが、僕は僕の家の南園と君の留守宅の北曲と相鄰して此度新居を構へた。
『新釈漢文大系 105 白氏文集』(明治書院 2005.7)p309~310にもあり。
通釈として、「宅の門庭には池の水がすばらしく、辺りの巷には車馬のたてる塵とてなく、暇な役所勤めの私がこの屋の主人たるにぴったりである。それで賑やかでないのは門前雀羅をかけられるようで、来客も少ないのではあるが、蝸牛の家より寛くこの身を容れるには十分である。竹林の小径を開いて月を迎えようとし、芝の亭の台を掃除して春の来るのを待つ。済世のための公務で君はまだここに帰れそうもなく、我が家の南園と君が家の北の曲がり角とが隣り合っているのだ。」とある。
- 回答プロセス
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インターネット検索で漢詩のタイトルを検索した結果、維基文庫(最終確認2017.9.29)より、白居易の作であること、『全唐詩』第446に所収されていることが分かる。『全唐詩』(中華書局 1985.1)は中国の出版社のものであり、日本語訳までは載っていないと思われるため、白居易(白楽天)の漢詩が所収されている他の資料を探したが見つからなかった。
リサーチ・ナビで漢詩のタイトルを入れ検索すると、本(2件)から
内容情報からさがす(2件)(最終確認2017.9.29)に
新釈漢文大系. 105/2005.7 国立国会図書館の蔵書の目次
白楽天全詩集 第3巻/1978.7 国立国会図書館の蔵書の目次
があることを確認。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 8版)
- 参考資料
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[白 楽天/著] , 佐久 節/訳註 , 白‖居易 , 佐久‖節. 白楽天全詩集 第3巻. 日本図書センター, 1989.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005814974-00 , ISBN 4820590782 -
岡村, 繁, 1922-. 新釈漢文大系 105. 明治書院, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007875766-00 , ISBN 4625673062
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[白 楽天/著] , 佐久 節/訳註 , 白‖居易 , 佐久‖節. 白楽天全詩集 第3巻. 日本図書センター, 1989.
- キーワード
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- 白居易(はく きょい)
- 白楽天(はく らくてん)
- 全唐詩(ぜんとうし)
- 題新居寄宣州崔相公(しんきょにだいしせんしゅうのさいしゃうこうによす)
- 新居に題し宣州の崔相公に寄す(しんきょにだいしせんしゅうのさいしょうこうによす)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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下記の資料には記載は見当たらず。
『白楽天100選』(石川忠久/著 日本放送出版協会 2001.1)
『新釈漢文大系 19 唐詩選』(明治書院 1964.3)
『唐詩三百首 1』(蘅塘退士/編 目加田誠/訳注 平凡社 1973.9)
『唐詩三百首 2』(蘅塘退士/編 目加田誠/訳注 平凡社 1975.1)
『唐詩三百首 3』(蘅塘退士/編 目加田誠/訳注 平凡社 1975.2)
『新編中国名詩選 上』(川合康三/編訳 岩波書店 2015.1)
『新編中国名詩選 中』(川合康三/編訳 岩波書店 2015.2)
『新編中国名詩選 下』(川合康三/編訳 岩波書店 2015.3)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000222518