レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年02月12日
- 登録日時
- 2021/02/12 12:22
- 更新日時
- 2021/02/12 12:53
- 管理番号
- いわき総合-地域624
- 質問
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陸軍省が昭和10年から凶作による東北地方救済事業として、喜多方町で襦袢袴下、肩章など軍服の縫製授産を行いました。同じ事例がいわき地方でもあったかを知りたい。
- 回答
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館内資料にあたりましたが、陸軍省の救農対策としての授産事業が石城郡内で行われた事実を確認することはできませんでした。
参照した資料は下記の通りです。
・「福島県史5 近代2」の、戦時体制下の産業と経済 2軍当局による「匡救」政策
・「福島県時局匡救事業概要」(「福島県史13 近代資料3」561p 五 時局匡救事業 に収録)
・「いわき市史 第4巻 近代Ⅱ」第一章昭和恐慌と石城 第四節 農業恐慌と農村運動 一農業恐慌
・「いわき市勿来地区地域史 2」
・「福島県社会福祉史」五 救農土木と授産事業(312p~314p)
・「福島県県会史 昭和編 第一」K318.4フ昭和十年臨時県会(p136~p1382)、
昭和十年福島県歳入歳出予算.昭和十年通常県会(p1384~p1517)
- 回答プロセス
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軍事分野の資料に、軍需品の調達を進める文脈で、東北凶作に関連した記述があるかもしれないと考え、「陸軍軍需動員1計画編」にあたったが、確認できなかった。
・「福島県史5 近代2」
第一節 満州事変と農村疲弊
三 農村対策とその推移 (一)農村対策の基本方針 1時局匡救議会
(476p~)
※斎藤実首相の演説「不況こんぱいの難局に直面して、農山漁村及び中小商工業の窮状に対し、匡救策を講ずることは、本議会の使命である。…政府は積極的に土木事業を興して生業を与え、不況に沈淪した窮状を打開するために、道路その他の工事とともに各般の農林土木事業を実施する等の方法を講じ、もって窮乏した農山漁民に直接就労の機会を与え、あまねく賃金収入の道を開くよう努め、また軍需品の整備、艦艇船舶の起工等によって、中小商工業者の救済に資せんとする次第である…」
戦時体制下の産業と経済 2軍当局による「匡救」政策
(503p~507p)
~昭和6年9月の満州事変以来、軍事費の増加、軍需は重化学工業を潤し、農村の疲弊、また養蚕・製糸業の不振、中小商工業者の没落、失業の増大をよそに、しだいに活気を帯びてきた。戦争が重化学工業=大企業を豊かにするという事態が、白日のもとにさらされ…軍事費が「匡救」を圧迫するという事実からも目を転じさせなければならなかった。軍は時局匡救の目的のため資材を中小商工業者から購入することを明らかにした…軍工廠は軍需工業の労力を東北地方に求めた。
陸軍省「救農対策」として 「昭和9年冬から10年にかけて、被服廠、糧秼廠をして東北地方を中心に全国から約2500円の買い上げを行うことを明らかにした。これには襦袢袴下・靴下・手袋などの小被服、筵、縄などの梱包用材料の買い上げのほかに、陸軍用地農耕作料の減免、立木竹などの払下、土木工事の直営なども含まれていた。」とある。
陸軍省が絡んだ縫製授産事業は、どのくらいの予算で、どのように進められたのか、記録にたどり着けなかった。農山漁村の匡救を目的とした、直轄の農林省の対策事業や、三井・三菱の義捐金の使途は明記されている。
農林省は、昭和7年に省令を以て、農山漁村協働作業場省令規則を定め、毎年4,708円の奨励金を交付し、昭和9年の凶作に際しては十年度分を繰り上げ交付した他、凶作地方協働作業場奨励費として29,407円の追加交付をした。
三井三菱の義捐金で建設せられたる共同作業場は863ヶ所と記してある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210)
- 社会福祉 (369)
- 国防史.事情.軍事史.事情 (392)
- 参考資料
- キーワード
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- 東北地方大凶作
- 救農対策
- 時局匡救事業
- 授産事業
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000293766