レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年03月05日
- 登録日時
- 2014/03/22 14:08
- 更新日時
- 2014/03/22 14:08
- 管理番号
- tr324
- 質問
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解決
「下毛」という地域名の使用例はあるか。もし「下毛」という地域名が、古来使われていないとすれば、なぜか理由があるのか。
- 回答
-
「下毛」という名称の使用例ですが、確認できたのは「下毛野国」(古代国名)「下毛野氏」(古代氏族名)「下毛草」(植物名)のみでした。地名での使用例は、「下毛野国」のみです。
また、「下毛」という地域名が使われない理由についても、記載がある資料は確認できませんでした。
なお、「毛野」という名称については、栃木県足利市に「毛野新町(けのしんまち)」という地名が現存しています。
『日本歴史地名大系 9 栃木県の地名』(平凡社 1988)によると、1889年の市町村制施行により成立した村の一つに「毛野村」という村があったようです(p809)。
参考までに、今回お調べした資料を以下にご紹介します。
・『角川日本地名大辞典 9』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1984)
「しもつけのくに 下野国」の項(p487-488)に、下毛野(しもつけぬ)や毛野国についての記述があります。
・『古代地名語源辞典』(楠原佑介/〔ほか〕編著 東京堂出版 1981)
p137-138の「けぬ(毛野)」の項に「下毛野」についての記述があります。なお、この項では、毛野国について「『記紀』がその古名を記載していない」点について、諸説が紹介されています。
・『毛野国の研究 古墳時代の解明 下』(前沢輝政/著 現代思潮社 1982)
p591-596に「毛野の名義について」という記述があり、「毛野」「毛人」の意味、「毛野川」についてなど考察しています。
・渡辺博史「古代の下毛野氏について」
(『野州史学 』第2号(野州史学会編集委員会/編 野州史学会 1975)p1-10所収)
「従来、下毛野氏を特に個別的に取り上げた研究は、私見の限りでは見あたらない」とし、下毛野氏について考察を行っています。また、この中に「下毛野寺」という寺名が『日本霊異記』『今昔物語』等に挙げられているとの紹介がされています。
・『下野国誌』校訂増補(河野守弘/著 佐藤行哉/校訂 下野新聞社 1989)
p30-33に「毛野名義」、p580-582に「下毛草」の紹介があります。
・新里宝三「名義略考」(『土の香 郷土歳時記・郷土雑纂』(新里宝三 ほか/著 出版者、出版年不明)p23-34所収)
※当館所蔵の『土の香』は、複製資料です。
p24-27に「下野」の考察があり、「第二 毛野名称考」には「来経ぬの約」「御食野(ミケヌ)説」「毛野郷(和名抄)説」「獣毛の産地説」「草木説」が紹介されています。
・『栃木縣史 第1巻 地理編』(田代善吉/著 臨川書店 1972 下野史談会1933発行の復刻版)
「第六章 国名義及び沿革」(p43-51)に、毛野国についての諸資料(日本書紀など)の紹介があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本 (291 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 下毛
- 下野
- 毛野
- 地名
- 栃木
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000151096