「Tityre et Melibee」は、ウェルギリウスの詩『牧歌』(Bucolica)の「第一歌 没収」中に登場する二人の牧人、メリボエウスとティーテュルスのことではないかと思われる。
手がかりを得るために、フランス国内の美術館270館の収蔵品347,000点を検索できる[JOCONDE:Catalogue des Collections des Musees de France](
http://www2.culture.gouv.fr/documentation/joconde/fr/pres.htm)を
で検索すると、「Louis le Jeune Boullogne」という画家の作品がヒットする。説明には「Illustration de la premiere eglogue de Virgile」とある。(最終検索日:2020年4月30日)
資料1:p.885の「eglogue」の項には、「牧歌、田園歌」とあり、「eglogues de Virgile ウェルギリウスの牧歌」という用例が掲載されている。
資料2:ウェルギリウスの『牧歌』が掲載されている。p.39~58に「『牧歌』について」という解説があり、その書き出しに「ウェルギリウスの『牧歌』は、田園をうたった詩十篇から成る詩集である。(中略)短いもので63行、最も長いものでも114行という小品ばかりであるが、その後の文学に与えた影響は大きく、多くの模倣者、追随者を生み出した。」等の記述がある。
また、p.40~41の十篇各詩の説明によると、「第一歌 没収」の登場人物が「ティーテュルス」と「メリボエウス」となっており、恐らくこの二人が「Tityre et Melibee」に相当すると思われる。
「第一歌 没収」については、p.41に土地を没収され、行く当てもなく故郷を出て行くメリボエウスと、メリボエウスを慰めるティーテュルスとの対話体の詩であることが書かれている。 「第一歌 没収」の全文は、p.59-68に掲載されている。
なお、巻末の固有名詞索引にラテン名(原典に用いられた名とある)が添えられており、ティーテュルスは「Tityrus」、メリボエウスは「Meliboeus」とある。
資料3 :ラテン語-フランス語の辞典である。「Tityrus」(p.1579)の項には「Tityre」とあるが、「Meliboeus」(p.962)の項には「Melibee」という綴りはない。
資料4:フランス語の百科事典のひとつである。「Melibee」の項(p.4166)には「hiros des Bucoliques de Virgile.」とある。(「Bucolique」については、資料1のp.348の「bucolique」の項に、「牧歌」とある。)