資料①には、「毛筆は、紀元前二〇〇年ごろ、中国(秦の時代)の蒙恬という人が発明したとつたえられています。この筆は、穂の中心に鹿の毛を使い、まわりを羊の毛でおおって、かれ木にはさんでつくったようです。でも、もっと古い文字に、穂先がわれた棒を右手でもつ形の字があります。また、蒙恬の時代よりまえの遺跡からも細筆が発見されています。ですから、筆はかなり古くからあったわけで、蒙恬は、筆を改良した人とかんがえられます。その後、筆はどんどん改良され、日本でも、空海が中国で筆の作り方をおぼえ、たぬきの毛のよい筆を嵯峨天皇にさしあげたとつたえられています。」と記載がある。
また、「毛筆の穂には、動物、植物など、いろいろのものが使われています。その種類で、書く線のようすもちがってきます。あかちゃんの最初の毛も使われます。」と説明されている。そして、「鳥の羽毛」として「白鳥」「くじゃく、はと、きじなど」、「動物の毛」として「羊」「いたち」「鹿、うさぎ、たぬきなど」、「植物のせんい」として「わら」「竹」「草、しゅろなど」が使用されていることが記載されている。
資料②には、「紀元前500年ごろの楚の遺跡では、ウサギの毛を竹の軸にはさんだ「長沙筆」が発見されました。歴史書『史記』に、秦の始皇帝時代(紀元前247~210)に、万里の長城の建築を指揮した蒙恬将軍が、ウサギの毛で筆をつくったという記録があります。筆は紙や墨とともに中国から日本に伝わりました。奈良県の正倉院には1300年前の「天平筆」が国内にある最古の筆として保存されています。812年(平安時代)には、空海がタヌキの毛でつくった筆を嵯峨天皇に献上したという記録もあり、国内で筆をつくる技術が発達したことがわかります。」と記載がある。
また、「一般の筆の穂は、白と茶の2色です。白は中国産の羊、茶は日本産の馬、かな文字用の小筆には、イタチやタヌキの毛がつかわれています。」と記載がある。
資料③には、「穂にはやわらかいもの、固いものなどいろいろあるけど、特殊なもの以外は、さまざまな動物の毛でつくられている。しかも背中の毛やおなかの毛など場所によっても変わってくる。さらにそれらを組み合わせて作られるので、それこそ数えきれないほどの種類がある。」とし、資料①で紹介された、羊、イタチ、タヌキ、馬、ウサギ、クジャク、竹のほかに、ネコやダチョウの毛が使用された筆が掲載されている。