レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/09/04
- 登録日時
- 2019/06/27 00:30
- 更新日時
- 2019/06/28 09:40
- 管理番号
- 所沢本-2019-009
- 質問
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解決
べっこうたけの有効な防除方法について、調べたい。特に、サクラとケヤキを対象としたものを探している。できれば、自治体での対応事例があれば、それも知りたい。
- 回答
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べっこうたけの防除については、以下の資料に記載があります。
〇『庭木・花木の病気と害虫』 藍野祐久/[ほか]著 誠文堂新光社 1973年
〇『植物保護の事典』 本間保男/[ほか]編集 朝倉書店 1997年
以下のインターネット情報にも記載があります。
〇「サクラの材質腐朽病害の診断と治療」 和田博幸/著((財)日本花の会 花と緑の研究所) (PDF)
〇奈良県森林技術センターホームページ
(樹木医から見た庭樹の管理)
〇国土交通省 国土技術政策総合研究所
「街路樹の倒木対策の手引き」飯塚康雄・松江正彦/著 (『国土技術政策総合研究所資料』第669号 緑化生態研究室 2012.1) (PDF)
自治体の対応事例は、以下のインターネット情報に少し記載があります。
〇「サクラの材質腐朽病害の診断と治療」 和田博幸/著((財)日本花の会 花と緑の研究所)
〇横浜市ホームページ(事業者向け情報)
なお、べっこうだけではありませんが、テングス病についての自治体対応について、以下のデータべース「聞蔵Ⅱ(朝日新聞)」に記載がありましたので、参考情報として、ご案内いたします。
・「五所川原・芦野公園の6割感染 テングス病から桜守れ」2009/10/5 朝刊P21
・「お城の桜市民が守ろう 都留・勝山城跡、テングス病でピンチ」2013/01/24朝刊P29山梨全県
・「桜の病枝切除 市民も参加 都留」2013/03/07朝刊P29山梨全県
- 回答プロセス
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1 所蔵資料の内容確認
〇『庭木・花木の病気と害虫』 藍野祐久/[ほか]著 誠文堂新光社 1973年
P305に「べっこうたけ病」の項あり。
【病徴】 「生立木の根株および根が侵され、腐朽は幹の数十㎝の高さにも及ぶことがある。(中略)根および幹の傷口から発病し、腐朽は心材部と樹皮の内側にはなはだしく、また辺材部にもおよぶことがある。病菌の菌体、すなわちサルノコシカケは幹の下部および地上に露出した根に重なって形成され、(中略)病樹はしだいに衰弱し、また風害に対して抵抗力が弱く、往々にして根倒しする。(以下省略)」
【防除法】「(1)貴重木では早期に発見して外科手術(411ページ参照)を行う。(2)病樹の伐採後、土中の病根はていねいに掘り取って焼却し、そのあとはクロールピクリンなどで土壌消毒(367ページ参照)を行ってから新たに植える。」との記載あり。
P367に「庭土の消毒と苗木の消毒」の項あり。
P411に「樹木の外科手術」の項あり。
〇『植物保護の事典』 本間保男/[ほか]編集 朝倉書店 1997年
P303「5 材質腐朽病害」の項あり。
「g 被害回避法など」の項に「樹幹腐朽に関しては、林木では枝打ちを適宜実施し枯れ枝や傷が生じないようにする。(中略)せん定後は、切り口にペースト状の殺菌剤を塗布するなどの処理を行う。根株腐朽の被害回避は、難しいが、林木では間伐や択伐時に残存木の幹や根系に傷をつけないようにすることが大切である。(中略)また、老樹や名木に腐朽病害が発生した場合には、腐朽した部分を取り除き殺菌剤を塗布したのち、空洞部を樹脂で充填するなどの外科手術を行うこともある。」との記載あり。
△『もっともくわしい植物の病害虫百科』 根本久/監修 学研 2005年
P287に「材質腐朽病」の項あり。「 (前略)病原菌の一種であるサルノコシカケは(中略)木の内側にも頻繁に発生するが、外観から診断することは難しく、枝折れ、幹折れががおこってはじめて被害がわかることが多い。(中略)傷口から感染するので、傷ができたら殺菌癒合塗布剤を塗る。腐朽が小さい場合は、幹部を削り取る。」と記載あり。
△『花と緑の病害図鑑』 堀江博道/[ほか]編集 全国農村教育協会 2001年
P369に「べっこうたけ病」の項あり。「ノート:(前略)本菌は幹の地際部や根の傷から侵入するが、(中略)これらの部位に傷を付けないよう樹木を管理することが必要である。」との記載はあるが、防除に関する記載はなし。
△『日本植物病害大事典』 岸国平/編 全国農村教育協会 1998年
P975に「ケヤキべっこうたけ病」の記載あり。病徴、病原菌、伝染についての記載はあるが、防除の記載はなし。
P991に「サクラ類べっこうたけ病」の記載あり。病徴、病原菌、伝染についての記載はあるが、防除の記載はなし。
×『森林・林業百科事典』 日本林業技術協会/編 丸善 2001年
P983「もくざいふきゅうきん 木材腐朽菌」の項あり。文中に「べっこう病を起こすベッコウタケのように病原性を持ち樹木を枯死させる種も少数ではあるが存在する。」との記載はあるが、防除の記載はなし。
×『原色樹木病害虫図鑑』 奥野孝夫/共著 保育社 1979年
P227「かいがらだけ」(さるのこしかけ科 )の防除の記載はあるが、「べっこうたけ」の記載なし。
×『写真で見つける病害虫対策ブック』 草間祐輔/著 NHK出版 2013年
2 インターネット検索
[キーワード:サクラ 腐朽]で検索
〇「サクラの材質腐朽病害の診断と治療」 和田博幸/著((財)日本花の会 花と緑の研究所)(PDF)
文中「3 桜の腐朽菌」にベッコウダケの記載あり。
「5 腐朽診断事例」の「1) 区の花さくら樹勢調査(東京都千代田区)」に「東京在住の樹木医が集まり組織したNPO法人東京樹木医プロジェクトは、平成15 年より東京都千代田区から「区の花さくら樹勢調査」を受託し、区が管理する約900 本の桜の樹勢調査を毎年行っている。区ではこの調査結果を「区の花さくら再生計画」を進めるための基礎資料として活用している。(以下省略)」の記載あり。
「6 腐朽病対策(抑制事例)に「1) 山高神代ザクラのサクラならたけ病対策」に「国指定天然記念物山高神代ザクラは、近年著しく樹勢が衰えたため、平成15 年の早春より筆者らが樹勢回復工事に取りかかることになった。工事では、過去に根元周りに盛土された土壌を取り除き、養分と有用な微生物などを多く含む生物性 に富んだ良質な培養土に入れ替えた。(以下省略)」の記載あり。
「2) 檜木内川桜堤のべっこうたけ病対策」に「秋田県仙北市の檜木内川桜堤は染井吉野の桜並木で、国の名勝に指定されている。堤防補強による川砂利の盛土や長年の風雪害、害虫被害、車両や花見客の踏圧に起因する樹幹腐朽や太枝の枯損などによる樹勢衰退が見られていた。平成12 年度から桜の保存修理工事を実施し、15 年度中に完了した。工事は主に黒坂登樹木医(当時角館町教育委員会)が担当した。(以下省略)」の記載あり。
(【一般財団法人 日本緑化センターホームページ】から[ベッコウダケ]検索でも閲覧可)
△「多摩川流域に植栽されたサクラ類の新な腐朽病害対策の確立に関する研究」
2011 年 福田 健二/研究大代表者ほか(2009-2010年度とうきゅう環境浄化財団助成研究 第2009-14号研究成果報告書)(PDF)
文中「Ⅰ-3. サクラの腐朽病害」に「Ⅰ-3-2. サクラのべっこうたけ病 ・こふきたけ病」等詳しい調査内容の記載はあるが、具体的な防除についての記載はなし。
(2019/06/11現在 閲覧可能)
[キーワード:べっこうたけ 対策/材質腐朽]で検索
〇【奈良県森林技術センターホームページ】
(《情報発信》樹木医から見た庭樹の管理> 基本編 > Ⅴ 多種類の庭樹に共通して発生する病害)
「2.枝・幹・樹皮」の「5)材質腐朽:病原菌は糸状菌(かび)」に
「材質腐朽菌によって、生立木の枝幹あるいは根株を腐らせる被害を総称して材質腐朽病と言います。多くはサルノコシカケの仲間によって起こされ、きのこが確認された時にはすでに普及が進んでいます。外科手術が必要です。整枝剪定後の傷からも腐朽菌は侵入しますので、直径1㎝以上の傷には塗布剤または墨汁を数回重ね塗りをしておきます。地上部、地下部の生育環境を改善し、樹勢回復をはかります。」との記載あり。
〇【横浜市ホームページ】
(事業者向け情報>分野別メニュー>道路・河川>道路>街路樹維持業務委託関係資料>街路樹維持業務委託関係資料(事業者の方へ))
「様式集/ベッコウタケについて」(PDF)に
「街路樹維持関連業務の受託業者に『ベッコウタケを見つけたらご連絡ください!』」
「ベッコウタケの特徴-根株にオレンジ色のキノコ(子実体)をだします。6-8月にキノコを発生させます。根株の内部から腐らせますが、水分吸収のための細根はあるので、倒れるまで葉は茂ったままです。そのため、木の見た目は健全でも、キノコを出している時点で、根株内部はかなり腐っています。また、表面のキノコだけを取り除いても内部でどんどん腐っているので何の効果もありません。(以下省略)」との記載あり。
「維持業務委託における報告の義務について、受託者は作業中、異常に気が付いた場合は、速やかに担当職員に連絡しなければなりません。」とし、(参考)根拠条文として、「街路樹維持業務委託共通仕様書」の掲載あり。
〇 国土交通省 国土技術政策総合研究所
「街路樹の倒木対策の手引き」飯塚康雄・松江正彦/著 (『国土技術政策総合研究所資料』第669号 緑化生態研究室 2012.1) (PDF)
P1-6「街路樹の倒伏対策のフロー」
P1-37「情報コラム ベッコウタケ・コフキタケに侵された街路樹」
P1-38「(3)-1) 樹木腐朽診断
P1-51「5.1 改善的処置の基本的事項」
P3-23「Ⅲ 街路樹に見られる木材腐朽菌(子実体)」の項 P3-42に「ベッコウタケ・サルノコシカケ科」に関連記載あり。
【CiNii Articles日本の論文をさがす】 ([サイニィ] 国立情報学研究所 学術情報ナビゲータ)[キーワード:桜 腐朽]で検索
△「名勝小金井桜における木材腐朽菌類の発生状況」清水淳子 ・林 康夫 ・福田健二/著 (樹木医学研究 第11巻 第3号 P128-129 2007)
木材腐朽菌の発生状況に関する結果と考察はあるが、防除に関する記載はなし。(2019/06/11現在閲覧可)
△「ベッコウタケ・コフキサルノコシカケに感染したサクラ街路樹の根系の腐朽分布」清水 淳子 , 福田 健二 /著 (日本森林学会大会発表データベース 120(0), 837-837, 2009 )
「1はじめに」に「本研究では、(中略)倒伏の危険があるとして撤去されたサクラ類を対象として、根系を中心とした腐朽の分布状況を明らかにした.」との記載はあるが、防除に関する記載はなし。(2019/06/11現在閲覧可)
3 データベース検索 [キーワード:桜 枯れる]
【聞蔵Ⅱ】(朝日新聞データベース)
×「五所川原・芦野公園の6割感染 テングス病から桜守れ」2009/10/5 朝刊P21
「病気を治す「特効薬」はこまめな手入れしかなく、桜の木を持つ周辺住民も巻き込んで、名所復活にむけて自治体も本腰を入れ始めた」との記載あり。
・ 「被害深刻、市が「防除講習会」の小見出しに「芦野公園で市が開いたテングス病の『防除講習会』」の記載あり。
・ 「十和田市、ボランティアと連携 復活へ地域でタッグ」の小見出しに「官庁街の桜が有名な十和田市では6年前から市民ボランティアと市の協力で、病気から守るなど桜を健やかに保つよう取り組んでいる」との記載あり。
×「お城の桜市民が守ろう 都留・勝山城跡、テングス病でピンチ」2013/01/24朝刊P29山梨全県
「都留市の花見の名所、(中略)市は名所を守ろうと、感染した枝を切るボランティアの募集を始めた。」との記載あり。
×「桜の病枝切除 市民も参加 都留」2013/03/07朝刊P29山梨全県
「市職員らが高枝のこぎりで高さ数メートルのところにある枝を切除。ボランティアはふもとへ運べるよう、落ちた枝を細かく切った。雑菌の侵入を防ぐ薬を長い棒で切り口に塗る作業もあった。」との記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 花卉園芸[草花] (627 9版)
- 植物学 (470 9版)
- 参考資料
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- 庭木・花木の病気と害虫 藍野祐久/[ほか]著 誠文堂新光社 1973.6 627.18
- 植物保護の事典 本間保男/[ほか]編集 朝倉書店 1997.6 470.9 4-254-42017-X
- 奈良県森林技術センターホームページ http://www.nararinshi.pref.nara.jp/sindansystem/kanri/byougai.html#zaifukyu 2019/06/09
- 横浜市ホームページ https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/doro-kasen/doro/kairoju/gairoju-itaku.html 2019/06/09
- 国土交通省 国土技術政策総合研究所 http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0669pdf/ks0669.pdf 2019/06/11
- 一般財団法人 日本緑化センター http://www.jpgreen.or.jp/ 2019/06/11
- キーワード
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- べっこうたけ
- 材質腐朽病
- さるのこしかけ
- 腐朽菌
- 街路樹
- 防除
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000257843