レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/09/18
- 登録日時
- 2021/09/19 00:30
- 更新日時
- 2021/09/19 00:30
- 管理番号
- 0000002046
- 質問
-
解決
https://ja.wikipedia.org/wiki/マールバラ公
このページに以下のような記載があります。
”貴族に序せられた後、新参のマールバラ公をからかおうと他の貴族から「君は誰の子孫なのか、教えてもらえるかな?」と問われた
時、彼はこう答えたと言われている。 「私は子孫ではない。祖先となるのです」”
インターネットで簡単に調べてみましたが、この出典がわからないので、似たようなことが書かれている書籍があれば教えてほしいです
。
- 回答
-
お探しの逸話が記載されている資料は以下のとおりです。
・川北義則∥著 『人生で捨てていいものいけないもの』大和書房 2011.12
→p150に次のとおり記載があります。「英国のマールバラ侯爵家は、ヨーロッパでも有数の家柄だが、初代ジョン・チャーチルは、英国史上屈指の将軍とされている。彼はすぐれた軍才を発揮し、一代でいまに続く名門貴族を興した。そのマールバラ公が貴族になったのち、新参者の彼を「きみは誰の子孫なんだ?」とからかった者がいた。英国は階級社会の国だが、三〇〇年前の当時はいまよりもその意識がさらに高かった。名家の出であることが何よりの肩書であり、成り上がりの彼には、とうてい持ち得ないものだったのだ。しかし、マールバラ公は毅然と胸を張り、こういい返したという。「私は子孫ではない。祖先になるのだ」」
しかし、この資料にも特に出典や参考文献は記されていません。
また、当館未所蔵の洋書に以下の記述があるようです。
・ Morris Mandel∥著『A Complete Treasury of Stories for Public Speakers』Jonathan David Co., Inc 1974
→p217に「(中略)To which the Duke of Marlborough replied , “ Sir , I am not a descendant ; I am an ancestor . ”」と記載があるようです。
- 回答プロセス
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事前調査より、世界の名言、格言に関する辞典等を確認するが記載なし。
日本語版ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A9%E5%85%AC
(最終確認日:20210627)の参考文献を確認。
・海保眞夫∥著『イギリスの大貴族』平凡社 1999.10
→p20-21に初代公爵の次女アン・チャーチルに関する記述があるが、探している記述はない。
・森護∥著 『英国の貴族 遅れてきた公爵』筑摩書房 2012.1
→p262-287に風雲児が一代で築いた=モールバラ公家という章があるが、探している記述はない。
・『英米史辞典』研究社、2000年
→p455-456に「モールバラ公」「モールバラ公妃」について記述があるが、エピソードに関するものはなし。
Googleで「私は子孫ではない。祖先となるのです。△マールバラ」で検索。
→様々な名言をまとめた個人ブログ「人の心に灯をともす」
https://ameblo.jp/hiroo117/entry-12150234417.html (最終確認日:20210627)の記事がヒット。
出典があったため川北義則∥著 『人生で捨てていいものいけないもの』大和書房 を確認。
Googleブックスで「I am not a descendant. I am an ancestor Marlboroug」と検索。
→『A Complete Treasury of Stories for Public Speakers』という書籍がヒット。p217に「(中略)To which the Duke of Marlborough replied , “ Sir , I am not a descendant ; I am an ancestor .」という記述がある。
インターネットで「マールバラ公爵△逸話」で検索。
→次のサイトがヒット
https://artsandculture.google.com/entity/m0crjtc?hl=ja (最終確認日:20210627)
「レディ・ヘンリエッタ・スペンサー=チャーチルは、(中略)オックスフォードシャーにあるブレナム宮殿を代々受け継ぐマールバラ公ジョン・スペンサー=チャーチルの長女。一族の歴史や逸話などを基にした『Blenheim and the Churchill Family: A Personal Portrait』などいくつかの書籍を発表。」とある。彼女の著作に典拠となる記述があるかは不明。
- 事前調査事項
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この段落は2011年8月13日 (土) 15:46に追加されているようです。
wikipediaの別の言語のページを見てみましたが、この段落自体がどの言語にも見当たりません。
日本語版でこの項目が追加された日時付近の版で英語版のページを見てみましたが、それもなさそうです。
Googleで「マールバラ公 子孫 祖先」と検索しました。
https://meigennavi.net/word/02/021179.htm
このページが見つかり、リンクから以下のページへ飛べました。
https://meigennavi.net/word/02/021666.htm
しかし、出典が特定の書籍などを指すわけではありません。
このページがいつごろ公開されたかも、Goolgleでは表示されず、HTMLなどを見ても手がかりがなさそうです。
この方のツイートも見つかりました。
https://twitter.com/simon_sin/status/979003211259367424
Twitterで「マールバラ公 祖先」と検索したところ、同じ方のこのツイートが一番古そうです。
https://twitter.com/Simon_Sin/status/102969573686517760
ツイート日時がWikipediaの編集日時と近く、Wikipediaの編集者名もTwitterアカウント名と類似しているため、もしかすると同一
人物かもしれません。
前述の格言サイトとどちらが先かわかりませんが、どちらかが何らかの書籍から得た情報ではないかと思いました。
次に「duke of marlborough 1st ancestor descendants」と検索しました。
ざっと見るとancestorもdescendantsもチャーチルを指す単語として使われているようなので調査終了。
次に「Duke of Marlborough 1st aphorism」と検索しました。
https://www.azquotes.com/author/19754-John_Churchill_1st_Duke_of_Marlborough
同じような内容のページが複数出てきますが、該当するような内容は見当たりませんでした。
あまり有名な言葉ではないのかもしれません。
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 川北義則∥著. 人生で捨てていいものいけないもの. 大和書房, 2011.12【159/カワキ】:150
- 海保眞夫∥著. イギリスの大貴族. 平凡社, 1999.10【361.8/カイホ】:
- 森護∥著. 英国の貴族. 筑摩書房, 2012.1【361.8/モリ】:
- 松村赳∥編著 富田虎男∥編著. 英米史辞典. 研究社, 2000.1【233/マツム】:
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000304857