レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/05/31
- 登録日時
- 2022/07/13 00:30
- 更新日時
- 2022/07/14 00:30
- 管理番号
- 6001056513
- 質問
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解決
毒を持った鳥について知りたい。
- 回答
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調査の結果、ズグロモリモズやカワリモリモズなどの「ピトフーイ」と総称される鳥や、ズアオチメドリ、チャイロモズツグミなどのニューギニアに産する鳥から毒が見つかっていることが分かった。
以下の資料に記述がある。
・『鳥類学者無謀にも恐竜を語る:生物ミステリー』(川上和人/著 技術評論社 2013.4)
p.171-172
「ピトフーイ」については、コウライウグイス科のカワリモリモズとズグロモリモズ、モズヒタキ科の3種、カンムリモズヒタキ科の1種が知られていると、以下の資料に記載されていた。
・『知っているようで知らない鳥の話:恐るべき賢さと魅惑に満ちた体をもつ生きもの(サイエンス・アイ新書)』(細川博昭/著 SBクリエイティブ 2017.3)
p.144-145
また以下の資料では、「ピトフーイ」という名前で総称される鳥として、カワリモリモズ、クロモリモズ、カンムリモリモズ、サビイロモリモズの名前が挙げられている。
・『毒学教室:毒のしくみから世界の毒事件簿まで、毒のすべてをわかりやすく解説! (学研雑学百科 より深くより楽しく)』(田中真知/著 学研教育出版 2011.2)
p.104-105
なお同資料には、体内に毒をもつケースがある鳥として、アフリカのツバメガンも紹介している。毒を持つ理由としては「毒のあるツチハンミョウという昆虫を食べて、その毒が体内に蓄積されるため」と記載されている。
上記、「ピトフーイ」に関しては以下のことがわかった。
「ピトフーイ」が世界で初めて確認された毒をもつ鳥だという記述が、以下の資料に見つかった。
・『現代用語の基礎知識 1994』(自由国民社 1994.1)
p.755-756 ピトフーイ(Pitohui)
「ピトフーイ」がどのような鳥であるかについては以下の資料で紹介されていた。
・富士川龍郎、和泉堯己「新発見の毒鳥ニューギニアピトフイをめぐって」『化学と生物』34(7) <392>(日本農芸化学会 1996.7)
p.487-490
「フードピトフイは冠毛をもち、外観は後頭部を残して頭から胸にかけて、また翼と尾羽が黒、残りの部分は茶橙色(むしろ黒色に茶橙色のチョッキをきせたよう)で、かなり目立つ色彩である。重さは成長で60~70gくらい、写真からはなかなか精悍な感じを受ける。ピトフイは、ニューギニア地方では剥製にして利用されているほかは、食べられない”つまらない鳥”と言われているそうである。口にしてもまずいようで、「皮は苦く、口唇がざらつきuncomfortableになる」というから、ひどい渋柿を食べたような具合であろうか。また、この鳥は酸様の不快臭が強いという。しかし食性、鳴き声については記載がない。この鳥の剥製を扱うと、頬や鼻の感覚麻痺や灼熱感、くしゃみなどを引き起こすそうである。」
また毒についても記述があった。
「フードピトフイはホモバトラコトキシンhomobatrachotoxinというステロイド系アルカロイドをもち、これが毒の本体で、体重65gの成鳥では皮膚(重量にして4~5g)中に15~20μg、羽に2~3μg、筋肉その他を合わせた中に1μg以下含まれている。」
なお上記中の「フードピトフイ」は同書中にhooded pitohui(Pitohui dichrous)の和名が未定のためカタカナ表記にした、とある。
以下の資料によると、hooded pitohui(Pitohui dichrous)はズグロモリモズのことである。
・『世界の不思議な毒をもつ生き物』(マーク・シッダール/著 エクスナレッジ 2015.8)
p.28
以下の資料にはズグロモリモズの写真が掲載されていた。
・『物のイメージ・本草と博物学への招待』(山田慶児/編 朝日新聞社 1994.4)
カラー図版14
「ピトフーイ」が毒を持つことを初めて報告した論文は以下の資料に収録されていた。
・Dumbacher JP ほか「Homobatrachotoxin in the genus Pitohui: chemical defense in birds?」 『Science. New series』Vol.258 < No.5083>( American Association for the Advancement of Science 1992)
p.799-801
その他、「ピトフーイ」についての記述があった資料は以下の通り。
・『毒の科学:身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで (サイエンス・アイ新書)』(齋藤勝裕/著 SBクリエイティブ 2016.2)
p.88-89
・『鳥類学』(フランク・B.ギル/著 新樹社 2009.11)
p.122-123
・『おもしろすぎる動物記:六時虫、凶暴なブタ、伝説の毒鳥、陸を行く魚… (サイエンス・アイ新書)』(實吉達郎/著 ソフトバンククリエイティブ 2008.1)
p.66-67
・加納善光「漢字動物苑 3 鴆」『月刊しにか』6(6)<63>「(大修館書店 1995)
p.72-73
[事例作成日:2022年5月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 鳥類 (488 10版)
- 参考資料
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- 鳥類学者無謀にも恐竜を語る 川上/和人∥著 技術評論社 2013.4 (171-172)
- 知っているようで知らない鳥の話 細川/博昭‖著 SBクリエイティブ 2017.3 (144-145)
- 毒学教室 田中/真知∥著 学研教育出版 2011.2 (104-105)
- 現代用語の基礎知識 1994 自由国民社 1994.1 (755-756 ピトフーイ(Pitohui))
- 化学と生物 日本農芸化学会 日本農芸化学会 1962- 34(7-12)<392-397> (487-490 『新発見の毒鳥ニューギニアピトフイをめぐって』)
- 世界の不思議な毒をもつ生き物 マーク・シッダール‖著 エクスナレッジ 2015.8 (28)
- 物のイメージ・本草と博物学への招待 山田/慶児∥編 朝日新聞社 1994.4 (カラー図版14)
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Science. New series American Association for the Advancement of Science American Association for the Advancement of Science Vol.258
(799-801 『Homobatrachotoxin in the genus Pitohui: chemical defense in birds?』) - 毒の科学 齋藤/勝裕‖著 SBクリエイティブ 2016.2 (88-89)
- 鳥類学 フランク・B.ギル∥著 新樹社 2009.11 (122-123)
- おもしろすぎる動物記 實吉/達郎∥著 ソフトバンククリエイティブ 2008.1 (66-67)
- 月刊しにか しにか編集室編集 大修館書店 6(5-8)<62-65> (72-73)
- キーワード
-
- ピトフーイ(ピトフーイ)
- 鳥類(チョウルイ)
- 毒(ドク)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000318692