レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年05月10日
- 登録日時
- 2016/12/18 16:40
- 更新日時
- 2016/12/20 17:44
- 管理番号
- r174
- 質問
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解決
イギリスの民謡について、何世紀頃から世の中で認識され始めたのか知りたい。
- 回答
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イギリスの民謡が何世紀頃から広まったのか、明確な記述がある資料は確認できませんでした。
しかし、参考になると思われる資料がありました。
・『民族音楽概論』(藤井知昭/編 東京書籍 1992)
「地域編 第7章ヨーロッパ 1 西ヨーロッパ 歴史的・風土的背景」(p.234)に次の記述があります。
「ヨーロッパの民俗音楽の歴史をたどることは簡単ではない。残された文献と楽譜には、11世紀にいたるまでの民衆の音楽については記録がほとんど見当たらないからである。」
「一方で、ヨーロッパの多くの民俗は、創世的な神話や英雄の行為を語る長編叙事詩をもち、語りついできた。このような物語歌は、職業的な音楽家である吟遊詩人によって伝承されることが多い。」
「15世紀なかごろに活版印刷の技術が発明され、普及したことによって(中略)民謡の歌詞や音楽は、印刷されたかたちで広く出まわるようになり、口頭伝承では考えられない早さで人々の間に浸透した。」
・『世界の音民族の音』(江波戸昭/著 青土社 1992)
「ヨーロッパ音楽文化の源流」(p.115-129)の章に次の記述があります。
「「ドイツ民謡はバッハ以前にさかのぼらない」といわれるように、近代化以前のものはほとんど姿を消してしまっている。」(p.119)
「現在、西ヨーロッパで歌われている民謡の大部分は、宗教改革・市民革命から産業革命へと、ヨーロッパの民衆が近代社会を世界にさきがけて形成し、世界史の主導者としての地位を築いていく過程で生み出されたものといってよい。」(p.122)
・『民謡からみた世界音楽 うたの地脈を探る』(細川周平/編著 ミネルヴァ書房 2012)
アイルランド民謡「ダニーボーイ」の成立過程についてまとめた章があります。
「第16章「ダニーボーイ」は戦争に行った」(森博史/著)p.275-299
・『イギリス文化事典』(橋口稔/編 大修館書店 2003)
p.106-113「18.音楽」に、民謡に関する記述は確認できませんでした。
p.174-177「童謡」に、マザー・グース(童謡)について「当時の流行歌のリフレインや街の物売りの呼び声、民謡の一部などに起源をもつものがほとんどである」とあります。
・『西洋古典. 中』(小野武雄/著 長崎書店 1943)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1126949 (最終アクセス日:平成28年12月20日)
※国立国会図書館デジタルコレクション 図書館送信参加館内公開資料です。
p.201-204(コマ番号105-107)「民謡」に次の記述があります。
「紀元十四、五世紀の頃イギリスには何時誰によつて作られたとも知れない民謡が盛んに唄はれてゐた。」(p.201)
「かく古い歴史をもつた民話、民衆の口から口へ傳つて来た民謡、それにも栄枯盛衰はあつた。イギリスの詩父チョーサーの頃から劇界の天才シェークスピヤの頃まで、即ち紀元十四世紀の末から紀元十六世紀の半ば頃までのイギリスでは、どうしたわけか、盛んに流行したのであつた。」(p.204)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388)
- 音楽史.各国の音楽 (762)
- 声楽 (767)
- 参考資料
- キーワード
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- イギリス
- 民謡
- 英国
- 起源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000203552