レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年10月27日
- 登録日時
- 2022/12/15 10:21
- 更新日時
- 2023/02/16 11:42
- 管理番号
- 相-220003
- 質問
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解決
高島嘉右衛門自叙伝、第29節72~74頁記載の「金銀含量差異」を利用した、売買差益の捻出方法を、具体的に教えて下さい。
特に、p73最後から8行目、「一方、銀貨の貨位如何を・・一分銀と唱え、其の4個を以て一両に通用せしめたり。」とあります。この一両と、前述の一両=金二匁との相違点、並びに双方の一両は、実際の取引に際して、どの様に区別されていたのでしょうか?
⇒額面「一両」には、銀の含有量の違う2種類の「一両」が、並行使用されていたのでしょうか?
- 回答
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・『幕末の金貨流出と横浜洋銀相場 グローバル経済との遭遇』高橋秀悦著 日本評論社 2018
①売買差益の捻出方法について
p.12-14「1 同種同量の原則と金銀比価」、p.17-20「3 金貨流出」、p.20-25「4 万延小判の発行」で通貨の交換比率、国内、海外の金銀比価の差異等による「金貨流出の問題」とそこから得る利潤についての記載があります。
②銀の含有量の違う2種類の「一両」が、並行使用されていたかについて
p.15-17「2 安政二朱銀の発行」で「安政二朱銀を、当時通用していた「天保一分銀(中略)」と比較すると重さ(量目)は、一・五倍以上ありながら、貨幣としての通用価値は、「銀一分=銀四朱(二朱銀二枚)」の規定により、二分の一に過ぎなかった」、「新小判(安政小判(中略))との関係においても、「小判一両=銀四分=二朱銀八枚」の交換レート」、「従来の一分銀と安政二朱銀が併存する事態に至った」、「安政二朱銀の鋳造・発行は(中略)わずか二二日で停止」等の記載があります。
・「「両」制度の崩壊 幕末の金流出 貨幣の歴史学10」武田晴人著 『にちぎん』2009夏号 No18 p.24~
(https://www.boj.or.jp/announcements/koho_nichigin/nichigin_history.htm/)
※こちらの資料は日本銀行ホームページ「公表資料・広報活動」の「広報誌「にちぎん」歴史」内で全文公開されています。
①売買差益の捻出方法について
「金流出の理由」「なぜ金銀比価は乖離したのか」の項目で、開港時の条約交渉内容や「図表1 金貨流出の図式 洋銀を4枚から12枚に増やすことのできるカラクリ」等が記載されています。
・「為替レートと通貨についての考察」山田秀樹著 PRI Discussion Paper Series(No.07A-12) 財務省財務総合政策研究所研究部 2007
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11350324)
※こちらの資料は国立国会図書館デジタルコレクションで全文公開されています。
②銀の含有量の違う2種類の「一両」が、並行使用されていたかについて
p.7-11「(2)江戸時代の貨幣制度」で「東日本では金貨が、西日本では補助貨幣に位置づけられる銀貨が、主として流通」「銀貨は秤両貨幣で(中略)幕府の公定相場があったが、実際には時価相場で両替」「1837年には一分銀という計数貨幣が鋳造され、一分銀は小判4分の1両に相当した」「日本側は、開港に際し、貿易用に安政二朱銀を用意(中略)日本国内では安政二朱銀2枚は一分銀1枚の価格」等の記述があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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高島嘉右衛門自叙伝
- NDC
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- 金融.銀行.信託 (338)
- 参考資料
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髙橋秀悦 著 , 高橋, 秀悦. 幕末の金貨流出と横浜洋銀相場 : グローバル経済との遭遇. 日本評論社, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029360180-00 , ISBN 9784535559127 -
財務省財務総合政策研究所研究部 , 山田秀樹. 為替レートと通貨についての考察. 財務省, 2007-08. (PRI discussion paper series. 2007A-12 (通巻193号))
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000040-I001202460-00
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髙橋秀悦 著 , 高橋, 秀悦. 幕末の金貨流出と横浜洋銀相場 : グローバル経済との遭遇. 日本評論社, 2018.
- キーワード
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- 日本--経済--歴史--江戸末期
- 金貨--日本
- 銀貨--日本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325784