レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/03/10
- 登録日時
- 2015/07/25 00:30
- 更新日時
- 2015/07/25 11:01
- 管理番号
- 千県中参考-2015-20
- 質問
-
解決
次のような資料を探している。
(1)美術品、特に絵画を取り扱う業者の実態がわかる資料。
(2)国の美術品に対する文化財指定の運用、手続きがわかる資料。
(3)文化財の盗難事件の一覧、並びに個々の事件について書かれた資料。
- 回答
-
(1)
画商等の取引実態については下記の資料が参考になります。
【資料1】『アート・マネージメント 画廊経営実感論』
「画廊の現状」p.85-98
「画廊の財務」p.99-130
【資料2】『社会のなかの美術』
「画商の役割」p.131-158
【資料3】『絵画の秘密 美術商が教える買い方・楽しみ方・儲け方』
「美術業界の内幕と常識」p.62-73
【資料4】『アートマーケットの裏側 美術品を賢く買うために』
「日本の美術市場はいったい誰が動かしているのか」p.5-66
【資料5】『美術コレクション入門』(県内市町村立図書館所蔵)
「画商とはどんな職業か」「売買の実態」
(2)
有形文化財指定の手続きについては下記資料が参考になります。
【資料6】『わかりやすい文化財保護制度の解説』
「有形文化財の保護制度とその活用」p.50-88
【資料7】『最新改正文化財保護法』
「指定制度等について 指定とその手続」p.16-19
【資料8】『文化財保護関係法令集』
「国宝及び重要文化財指定基準」p.214-216
「国宝又は重要文化財指定書規則」p.111-116 別表の書式の記載あり。
【資料9】『文化財保護の実務 上』
「文化財の指定のしかたと諸問題 有形文化財」p.278-329
【資料10】『文化財保護法五十年史』
「有形文化財関係の保護制度の概要」p.58-63
「美術工芸品の調査と指定」p.107-111
「国宝及び重要文化財指定基準」p.578-579
なお、上記の基準や規則は各省庁のホームページでも閲覧できます。
文部科学省「告示・通達 国宝及び重要文化財指定基準」
(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/index.htm)
文化庁「文化財保護法関連規則 国宝又は重要文化財指定書規則」
(http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/bunkazai/hogoho_kisoku.html)
(3)
最近の文化庁の調査によると、国指定文化財(美術工芸品)のうち33件が盗難のため所在不明となっています。一覧表の備考欄に「盗難届出済」と表記されているものが該当します。一覧表から、国宝・重要文化財の区分、文化財の種類、指定年、指定名称、個人・社寺等の所有者の区分、所有者の都道府県といった情報がわかりますが、個々の事件の詳細は載っていません。事件によっては新聞記事のデータベースで検索して関連する記事が見つかる場合があります。
文化庁「報道発表」
(http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/)
文化庁「国指定文化財(美術工芸品)の所在確認調査の概要(第1次取りまとめ)について」(平成26年7月4日)
(http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2014070401.pdf)
文化庁「国指定文化財(美術工芸品)の所在確認調査の結果(第2次取りまとめ)の概要について」(平成27年1月21日)
(http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2015012101.pdf)
また、下記サイトでは、新聞記事やニュースサイトの記事を引用しつつ、仏像を中心にした文化財の盗難事件の情報を収集しています。
神奈川仏教文化研究所「盗難文化財」
(http://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/topics/tonan.html)
- 回答プロセス
-
(1)
自館の書架で720(絵画)付近をブラウジングして、また「画商」「画廊」「美術商」「売買」「購入」「美術品」「美術界」「美術市場」等のキーワードを組み合わせて蔵書検索をして、関連資料にあたりました。
(2)
自館の書架で709(文化財)付近をブラウジングして、また件名「文化財保護」と全項目「実務」「実際」「運用」等のキーワードを組み合わせて蔵書検索をして、関連資料にあたりました。
(3)
文化財の盗難件数については【資料10】『文化財保護法五十年史』「国宝・重要文化財(美術工芸品)火災・盗難等被害件数一覧」(平成12年6月現在)(p.601)に記載されています。文化財保護法以前と以後を合わせて64件となっています。ただ、これは事件の一覧ではありません。文化庁が詳しい情報を持っていることを見込んで、文化庁ホームページで「文化財 盗難」とサイト内検索をしたところ、「国指定文化財(美術工芸品)の所在確認調査」の結果がヒットしました。
また、自館の蔵書検索で件名「美術品」「窃盗」や全項目「文化財」「美術品」「絵画」「盗難」「事件」等のキーワードを組み合わせて検索しました。ヒットしたのは外国の美術品盗難事件に関する資料が主で、参考までに紹介します。
『美術品はなぜ盗まれるのか ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い』(サンディ・ネアン著 白水社 2013)
『FBI美術捜査官 奪われた名画を追え』(ロバート・K.ウィットマン著 柏書房 2011)
『芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史』(大島一洋著 講談社 2006 講談社現代新書)「名画盗難と三億円強奪事件」「大原美術館盗難事件」
『闇に消える美術品 国際的窃盗団・文化財荒らし・ブラックマーケット』(エマニュエル・ド・ルー著 東京書籍 2003)
『盗まれたフェルメール』(朽木ゆり子著 新潮社 2000 新潮選書)
『「盗まれた世界の名画」美術館』(サイモン・フープト著 創元社 2011)
付録「行方不明の美術品展示室」(絵画の概要とそれが消えた年月日・場所、評価額を図版とともに掲載)。「本書の事件以後の主な絵画盗難事件」の一覧。本書の序文を執筆したジュリアン・ラドクリフの肩書き「盗難美術品登録協会」(ザ・アート・ロス・レジスター)会長から、下記のサイトを確認しました。
「THE ART LOSS REGISTER」
(http://www.artloss.com/)
検索エンジンで「theft」「art」「international」「database」等をキーワードに検索して類似のサイトを見つけました。
FBI「Art Theft」
(http://www.fbi.gov/about-us/investigate/vc_majorthefts/arttheft)
INTERPOL「Database / Works of art」
(http://www.interpol.int/Crime-areas/Works-of-art/Database)
(インターネット最終アクセス:2015年7月14日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 芸術政策.文化財 (709 9版)
- 絵画 (720 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『アート・マネージメント 画廊経営実感論』(佐谷和彦著 平凡社 1996)(2100095978)
- 【資料2】『社会のなかの美術』(瀬木慎一著 東京書籍 1978 東書選書)(9102720725)
- 【資料3】『絵画の秘密 美術商が教える買い方・楽しみ方・儲け方』(山元清則著 蝸牛社 1992)(9102731620)
- 【資料4】『アートマーケットの裏側 美術品を賢く買うために』(高井秀行著 毎日新聞社 1992)(9102720761)
- 【資料5】『美術コレクション入門』(瀬木慎一著 ぎょうせい 1991)(県内市町村立図書館所蔵)
- 【資料6】『わかりやすい文化財保護制度の解説』(中村賢二郎著 ぎょうせい 2007)(2102076120)
- 【資料7】『最新改正文化財保護法』(文化財保護法研究会編著 ぎょうせい 2006)(0105929335)
- 【資料8】『文化財保護関係法令集』(文化財保護法研究会監修 ぎょうせい 2009)(1102175744)
- 【資料9】『文化財保護の実務 上』(児玉幸多編 柏書房 1979)(9102943079)
- 【資料10】『文化財保護法五十年史』(ぎょうせい 2001)(1101754967)
- キーワード
-
- 画商(ガショウ)
- 美術商(ビジュツショウ)
- 美術界(ビジュツカイ)
- 美術市場(ビジュツシジョウ)
- 文化財保護(ブンカザイホゴ)
- 重要文化財(ジュウヨウブンカザイ)
- 国宝(コクホウ)
- 窃盗(セットウ)
- 盗難(トウナン)
- 事件(ジケン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000177659