レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/10/27
- 登録日時
- 2022/01/16 00:30
- 更新日時
- 2022/01/16 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-210095
- 質問
-
解決
1. 北原白秋作詞の「城ヶ島の雨」を最初に歌った人を知りたい。
2. 世の中に広まった時,レコード化された時に歌った歌手を知りたい。
- 回答
-
1. 「城ヶ島の雨」を最初に歌った人物について
以下の資料をご案内します。
資料1 岩崎 呉夫著『音楽の師梁田貞』東京音楽社, 1981【762.1/ヤ2-2】:p.130
資料2 古茂田 信男[ほか]編『日本流行歌史 上』社会思想社, 1994.9【767.8/ニホ1994.9/1R】:p.216
資料3 鹿島 岳水著『童謡・唱歌・叙情歌名曲歌碑50選』文芸社, 2005.1【767.7/カカ2005.X/R】:pp.42-43
上記の資料より,「城ヶ島の雨」は大正2年10月30日(木)に開催された『芸術座音楽会第一回演奏会』で,この曲を作曲した「梁田貞(やなだ ただし)氏」が演唱したことが最初であることが分かりました。(発表時の題名は「舟歌」)
資料1(p.130)に下記の記述ありました。
「『城ヶ島の雨』が誕生する前後のいきさつについては,この曲の依頼主ともいえる島村抱月の「芸術座」と,作詞の北原白秋,および貞の三者間をむすぶ役割に文字どおり奔走した岩崎太郎の回想文と,北原白秋の回想文がやはり第一の資料といえるだろう。まず岩崎は次のように記述している。「(前略)この歌は,もともと『芸術座音楽会第一回演奏会』に,その曲目の第一部の最後に,作曲者である同君に依って歌われ,伴奏はピアノで松平信博君が弾いたものです。(中略)この会に,梁田君に自作自演してもらおうと,当時神奈川県三浦三崎に居られた北原白秋氏に,相馬御風氏が,作詞を頼む手紙を書き,それをわざわざ持って行ったのが,この僕です。(中略)会は有楽座(今はその時の建物無し)で大正二年十月三十日(木),天長節前夜と決まっているのに,白秋氏の詩がなかなか出来なくて(中略)梁田君に手渡ししたのが,会の三日前の二十七日(月)でした。同君が,それを自分の胸にかくし入れ,時々出しては読みながら,実際に作曲にかかったのは二十九日(水)の二十一時からで,徹夜して三十日の午前三時に完成。(後略)」
資料2(p.216)に以下の記述あり
「十月三十日芸術座第一回音楽会で,作曲者自身の演唱で発表された。発表当時の題名は「舟唄」。」
資料3(pp.42-43)に以下の記述あり
「北原白秋が三浦三崎の寺に間借りしていた頃に作詞。当時,東京音楽学校学生であった梁田貞が作曲,演奏会では梁田自身が歌い,大好評を博す。奥田良三や藤原義江が得意として歌った。」
2. レコードについて
大正時代に「城ケ島の雨」がレコード化されていたかどうかの記述は見つけることができませんでした。
下記の資料に昭和時代にレコード化された「城ケ島の雨」の発売年,歌手名等の一覧が記載されていましたので参考にご案内します。
資料4 村越 光男編 佐藤 孝夫編『昭和歌謡全曲名 戦前・戦中編』柘植書房新社, 2006.9【767.8/ムシ2006.9/R】:p.95
資料5 福田 俊二編 加藤 正義編『昭和流行歌総覧 戦前・戦中編』柘植書房, 1994.4【767.8/シヨ1994.4/R】:p.118,178,295,337,515,618
昭和初期初めて「城ケ島の雨」のレコードが発売されたのは,昭和7年(1932年)9月で,歌手は「和田春子」です。
3. その他「城ケ島の雨」に関する記述(歌詞等)がある資料は下記のとおりです。
資料6 丘 灯至夫編著『明治・大正・昭和歌謡集』弥生書房, 1967【767.8/オト1967.Y】:p.68
資料7 細川 周平監修 片山杜秀監修『日本の作曲家』日外アソシエーツ, 2008.6【760.33/ニホ2008.6/R】:pp.693-694
資料8 『ふるさと文学館 第18巻』ぎょうせい, 1995.8【918.6/フル1993.7/18】:p.476
資料9 『近代の詩人 5』潮出版社, 1993.8【911.52/キ3/5】:p.254
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 声楽 (767 9版)
- 参考資料
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- 岩崎 呉夫/著. 音楽の師梁田貞. 東京音楽社, 1981【762.1/ヤ2-2】:p.130
- 古茂田 信男/[ほか]編. 日本流行歌史 上. 社会思想社, 1994.9【767.8/ニホ1994.9/1R】:p.216
- 鹿島/岳水∥著. 童謡・唱歌・叙情歌名曲歌碑50選. 文芸社, 2005.10【767.7/カカ2005.X/R】:pp.42-43
- 村越/光男∥編 佐藤/孝夫∥編. 昭和歌謡全曲名 戦前・戦中編. 柘植書房新社, 2006.9【767.8/ムシ2006.9/R】:p.95
- 福田 俊二/編 加藤 正義/編. 昭和流行歌総覧 戦前・戦中編. 柘植書房, 1994.4【767.8/シヨ1994.4/R】:p.118,178,295,337,515,618
- 丘 灯至夫/編著. 明治・大正・昭和歌謡集. 弥生書房, 1967【767.8/オト1967.Y】:p68
- 細川/周平?監修 片山/杜秀?監修. 日本の作曲家. 日外アソシエーツ, 2008.6【760.33/ニホ2008.6/R】:p693-694
- . ふるさと文学館 第18巻. ぎょうせい, 1995.8【918.6/フル1993.7/18】:p476
- . 近代の詩人 5. 潮出版社, 1993.8【911.52/キ3/5】:p254
- 上山 敬三/著. 日本の流行歌. 早川書房, 1965【767.8/カケ1965.8】:
- . 編年体大正文学全集 第4巻. ゆまに書房, 2001.1【918.6/ヘン2000.5/4】:
- 杉本 邦子/著. 北原白秋研究. 明治書院, 1994.2【911.52/キ6】:
- 倉田/喜弘∥著. 日本レコード文化史. 岩波書店, 2006.10【760.9/クヨ2006.X/Bイワケ】:
- 高/護?著. 歌謡曲. 岩波書店, 2011.2【767.8/コマ2011.2】:
- 菊池/清麿?著. 日本流行歌変遷史. 論創社, 2008.4【767.8/キキ2008.4】:
- 丘 灯至夫/編著. 日本歌謡史. 弥生書房, 1961【911.9/オ1】:p68
- 尾崎 宏次/著. 島村抱月. 未来社, 1965【775.1/シホ1965.1】:
- 奥田 良三/著. こころ、祈り、歌、わが人生. 芸術現代社, 1989.6【762.1/オリ1989.6】:
- . 大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 1. 大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/1】:
- . 大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 2. 大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/2】:
- . 大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 3. 大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/3】:
- . 大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 4. 大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/4】:
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
下記の資料では,該当の記述なし。
【参考資料】
上山 敬三著『日本の流行歌』早川書房, 1965【767.8/カケ1965.8】
『編年体大正文学全集 第4巻』ゆまに書房, 2001.1【918.6/ヘン2000.5/4】
杉本邦子著『北原白秋研究』明治書院, 1994.2【911.52/キ6】
高護著『歌謡曲』岩波書店, 2011.2【767.8/コマ2011.2】
菊池清麿著『日本流行歌変遷史』論創社, 2008.4【767.8/キキ2008.4】
丘灯至夫編著『日本歌謡史』弥生書房, 1961【911.9/オ1】:pp68
倉田喜弘著『日本レコード文化史』岩波書店, 2006.10【760.9/クヨ2006.X/Bイワケ】
尾崎 宏次著『島村抱月』未来社, 1965【775.1/シホ1965.1】
奥田 良三著『こころ、祈り、歌、わが人生』芸術現代社, 1989.6【762.1/オリ1989.6】
『大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 1』大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/1】
『大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 2』大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/2】
『大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 3』大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/3】
『大正期SP盤レコード芸能・歌詞・ことば全記録 4』大空社, 1996.10【772.1/タイ1996.X/4】
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000310765