レファレンス協同データベース（ https://crd.ndl.go.jp/reference/ 2013/05/02 最終確認）でキーワード“こけらおとし”で検索した結果、次の事例が見つかった。

杮落とし（こけらおとし）という言葉にはなぜ“柿”の字が当てられているのか。『常用漢和辞典』のp281柿（かき）の項目に「杮（はい・こけら）」に似ていてまちがいやすい、とあるが“杮”という字が別にあるのか。（ https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000127714 2013/05/02 最終確認）
この事例では、次の資料を参考としている。
①『歌舞伎事典　新訂増補版』　服部幸雄／編　平凡社　2000　（自館請求記号：MU774.033/黒）
p177の「こけらおとし　杮落し」の項に、「劇場が新築あるいは改築して初開場することをいう。古くは劇場の屋根を杮葺（こけらぶ）きにしていたが、屋根や足場に残る（木片）を払い落としてはじめて完成に至った。そこで落しが初開場を意味するようになったようであるが、語源ははっきりしない。（後略）」と記述されている。
②『暮らしのことば語源辞典』　山口佳紀／編　講談社　1998　（自館請求記号：R812）
p268の「こけら落とし」の項に、「(前略)コケラの語源は「コケヅリ(木削り)＋ラ(接尾語)」など諸説あるが、明らかでない。」と記述されている。
③『語源大辞典』　堀井令以知／編　東京堂出版　1999　（自館請求記号：R812）
p98の「コケラオトシ」の項に、①②の資料のものと同様の記述がある。
④『日本語源大辞典』　小学館　2005　（自館請求記号：R812）
p488に、「こけら」の由来として、「「こけら」は屋根の葺板をさすことが多くなっていった。劇場の新築落成を祝う初興行の「こけら落とし」もこの語に由来する。」と記述されている。

語源に関する棚をブラウジングした結果､ 次の資料が見つかった。
　『新明解語源辞典』　小松寿雄／編　三省堂　2011　（自館請求記号：R812）
p373-374の「こけらおとし」の項に、「（前略）「こけら」の語源については、魚の鱗の意の「こけら」と同意または同源といわれており、それはまた、削ぎ落とす意の動詞「こく（扱）」や、肉が削ぎ落ちた状態になる意の動詞「こく（痩）」と同源の可能性が指摘されている（日本国語大辞典二版）。」と記述されている。
　『衣食住語源辞典』　吉田金彦／編　東京堂出版　1996　（自館請求記号：R812）
p123の「こけらぶき」の項に、｢コケラ（木片）に葺くを加えた語。コケラ（木片）はコケ（苔＝木毛）に接辞のラが付いてできた語。古い樹木の幹や岩石・庭・屋根などに生える毛のような密生植物、コケ（苔）のように、一面に張り詰めるところからコケラ葺キの語が生じた。張り詰めて表皮をなすところから応用されて、魚屋蛇やウロコ（鱗）をコケラともいうようになった。｣と記述されている。

｢こけらおとし｣と関連のある建築関係の棚をブラウジングした結果、次の資料が見つかった。
　『建築用語辞典　第２版』　建築用語辞典編集委員会／編　技報堂出版　1995　（自館請求記号：R520）
p325の「こけらおとし」の項に、「劇場の屋根が杮葺であったことに由来する言葉で、竣工後、屋根に残った杮屑を掃き落としたことから転じて、新築後の初興行をいう。」と記述されている。