レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/11/13
- 登録日時
- 2022/12/11 00:30
- 更新日時
- 2022/12/12 14:21
- 管理番号
- 服部図書館R1000845
- 質問
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解決
チャバネゴキブリはリーダーズ英和辞典に「German cockroach」と記載されているが、なぜドイツのゴキブリなのか。その語源は何か。
- 回答
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参考資料(1)p29~31によると、チャバネゴキブリの学名は「blatta germanica(使用期間1767~1792)」とある。そこから変遷を経て、現在の学名は「Blattella germanica(1903~現在)」であると記述あり。
同書にはまた、「学名には、ゴキブリの正体に関する手がかりが含まれている場合が多い。こういった符丁の多くは、それがついている虫の原産地とされる場所を特定している―(中略)こういった地名のいくつか(たとえば、germanicaやamericana。これらはいずれも、一八世紀半ばにスウェーデンの博物学者カルロス・リンネによって与えられたものである)は、生まれ故郷から遠く離れたところで採取された標本に誤ってつけられている。」と記述あり。
参考資料(2)p90「チャバネゴキブリを英語でジャーマン・コックローチというのは学名の種小名ゲルマニカに由来するが、ドイツ原産でないこの種類の名前としてドイツゴキブリは妥当でない。一方、ドイツでは地方により、ゴキブリのことをロシア人とかフランス人などと呼ぶ方言があるが、日本での同じような悪い名前の典型例として、ナンキンムシ(中略)があげられる。侮蔑的な和名をつけた学者の良心が問われる。」とある。
参考URL(1)p99でも、チャバネゴキブリについて「germanicaなどと命名されているが、必ずしも原産地を表していない」「中央アフリカが原産地といわれている」とし、「外来の害虫に対して、ゴキブリもロシアでは『プロシア人』、東ドイツでは『ロシア人』、西ドイツでは『フランス人』と呼ばれている」旨の記述がある。
以上の情報から、「German」は学名の「germanica」から来ており、誤りで命名された可能性と、スウェーデン人のリンネがドイツを揶揄して命名した可能性が考えられることを回答した。
- 回答プロセス
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「ゴキブリ」というキーワードから蔵書検索を行い、参考資料(1)(2)を確認した。
そこからチャバネゴキブリの学名が判明したため、J-STAGEを「Blattella germanica 由来」で検索し、フリーのPDFファイル参考URL(1)の論文を確認した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 昆虫類 (486 10版)
- 参考資料
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- ゴキブリ大全 デヴィッド・ジョージ・ゴードン/著∥松浦俊輔/訳 青土社 1999.3 486.42 , ISBN 4-7917-5701-7
- ゴキブリ3億年のひみつ 安富和男/著 講談社 1993.4 486.42 , ISBN 4-06-132962-6
- 参考URL(1)「化学と生物」1973年11巻2号『ゴキブリの求愛行動』深海浩,高橋正三,北村実彬 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/11/2/11_2_98/pdf/char/ja 2021/11/13
- キーワード
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- チャバネゴキブリ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 自然科学
- 内容種別
- 一般資料
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325374