1 参考図書で調べる
【資料1】p.210「かさいばやし 葛西囃子」あり。
「東京都北東部の葛飾区・江戸川区に伝わる祭囃子。こんにちの東京都とその周辺の祭囃子の祖とされる(中略)神田囃子(千代田区)目黒囃子(目黒区)奥沢囃子(世田谷区)などの同系の祭囃子を無数に生み出した(中略)通常≪打込≫≪屋台≫≪昇殿(正伝)≫≪仕丁舞≫≪屋台≫の順に各曲反復しながら奏するが、間物として≪宮昇殿≫≪間波(間延)昇殿≫≪麒麟≫≪亀井戸≫≪階殿≫≪夏祭≫≪神田丸≫≪三線鞨鼓≫や≪投げあい≫(神輿巡業の迎え)を適宜挿入する。ほかに馬鹿踊≪忍馬≫、獅子舞囃子などを伝える。東京都指定無形民俗文化財」とあり。
【資料2】
p.273「江戸の祭囃子(葛西囃子)」
「享保年間(1716~36)武州西葛西領金町村香取神社(現葛西神社)の神主、能勢環によって葛西囃子は創始された(中略)曲目は「屋台」「昇殿」「鎌倉」「仕丁舞」「神田丸」「麒麟」「亀井戸」「偕伝」「夏祭」「鞨鼓」「まなび昇殿」「宮昇殿」「投げ合い」がある。屋台は行列渡御の出発や帰還で演奏し、鎌倉は道中や獅子舞で演奏する。投げ合いは角乗や力持、獅子舞などが演じているときに演奏する(後略)」とあり。
p.274「江戸の祭囃子(神田囃子)」
「神田神社祭礼は(中略)文化文政年間(1804~30)には隆盛を極め、山車や屋台の行列に、多くの芸能や囃子が関わった。その一つが神田囃子で、明治初期に、当時の名人が曲を組み合わせ、素囃子(歌や踊りの入らない演奏のみの囃子)などを整えた(中略)昭和28年(1953)に東京都無形民俗文化財の指定を受けた頃から、葛西系の囃子に比べると、神田系の囃子はさらに華やかな演奏になったといわれている。伝承曲目は、「屋台」「昇殿」「鎌倉」「四丁目」「投げ合い」「宮昇殿」「「間奈比(間波)昇殿」「麒麟」「亀井戸」「会談」「夏祭」「神田丸上・下」「かっこ」がある(中略)投げ合いは神輿渡御の時に演奏する(後略)」とあり。
2 【資料1】【資料2】双方に記載されていた参考文献『江戸の祭囃子』(東京都教育庁生涯学習部文化課 1997)にあたる。
p.2「例言」に東京都教育委員会が平成5年に行った「江戸の祭囃子現状調査」の成果をまとめたもので、調査対象は都内(23区・多摩地区)に伝承されている五人囃子形式の江戸祭囃子とその祭囃子を伝承している保存団体が調査対象とあり。
p.23に系統を1~8に分類し、流派名と主な伝承エリアの記載があり。「中村規『江戸東京の民俗芸能2風流』の系統分類を参考にした」とあるがこの資料は区内所蔵なし。調査項目に伝承曲目・演奏様式及び技法はあるが曲の意味についてはなし。
3 当館業務端末で検索する。
①<中村規>を検索
『民俗東京の祭り』(中村規著 鷹書房 1980)p.238「葛西囃子」に歴史・曲目と演奏形式の記述あり、曲の意味については記述なし。演奏風景の写真あり。
②<まつりばやし>を検索
【資料4】
p.14「第2章 祭囃子の成り立ちと構成」に葛西囃子について記述あり。
p.17「箕濃が谷囃子と箕輪囃子」に「(前略)箕濃が谷囃子を古くから名乗る囃しをの会は、東京都内でも足立区のみとなっている。(中略)曲組が整いすべて表紙が同じ葛西囃子・神田囃子とは異なり、一種未整理の力強さがうかがえる囃子となっている(後略)」とあり。
p.16~p.17には採譜された譜面あり。
p.21「囃子の曲と演奏」に素囃子の曲目と曲の特徴の記述があるが、意味についての記載はない。
p.26~34に中村規(都市民俗研究所所長)による「江戸の祭囃子」があり。祭囃子の系統や都内の祭囃子についての記述があった。
4 webで調べる
<葛西囃子/曲目/意味>でヒットした「郷土の音楽:東京都」(教育芸術社ホームページ)
https://www.kyogei.co.jp/shirabe/kyoudo/text14.html(最終アクセス日2022年7月22日)
「葛西囃子」と「神田囃子」の説明あり。「神田囃子は「地囃子」といって、打込、屋台、昇殿、鎌倉、仕丁目、屋台の6曲が基本となり、順に演奏されます。初めの締太鼓の独奏が「打込」です。続く「屋台」は、悪魔払いの曲だといわれ(後略)」とあり。
記述があった資料
『民俗小事典 神事と芸能』(神田より子編 吉川弘文館 2010年)
『江戸の祭り囃子考』(八木幸男著 足立史談会 1993)
『足立区文化財調査報告書』民俗編 (東京都足立区教育委員会社会教育課 1985)