レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/08/31
- 登録日時
- 2012/04/27 02:00
- 更新日時
- 2012/04/27 02:00
- 管理番号
- 横浜市中央1638
- 質問
-
解決
戦後、横浜の小学校で音楽教材としてリコーダーが導入された経緯について調べている。
また、日本でのリコーダーの普及等について、主に学校教育についての情報が知りたい。
どのような資料を参考にすればよいか。
- 回答
-
1 終戦後の横浜市の音楽教育について
(1)『横浜市教育課程小学校の部試案 家庭科・音楽科編』横浜市教育会/編 横浜市教育委員会 1951
p.112 第四学年 第一学期 五月分の一覧表
器楽 たて笛の基礎練習
参考 ○たて笛の種類にはいろいろあるが一応次のように分けることが出来る
a 歌口にあたる息で空気の振動を起こして発音するもの
いわゆるたて笛―銀笛ブロックフルート
竹製のたて笛
b 歌口に取り付けたリードの振動で発音するもの
クラリネット(1枚のリード)
オーボー(2枚のリード)
(2)『横浜市教育課程 音楽科編 小学校の部』横浜市教育委員会/編 横浜市教育委員会 1954
第四学年 教材及学習要項一覧表に、楽器編成の項に「たて笛」の記載があります。
(3)類縁機関のご紹介
・教育図書館(神奈川県立総合教育センター)善行庁舎
http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/Snavi/sisetuSnavi/
神奈川県民の皆様にご利用いただける、教育関連資料を保管している図書館です。
検定済み教科書(小学校・音楽)を、昭和26年からを所蔵しています。
戦後の学習指導要領の所蔵については、現物資料ではないものの復刊等での所蔵しています。(2(3)参照)
ご来館の際には、資料を用意するので事前にご連絡くださいとのことです。
2 終戦直後、昭和20~30年代の日本の音楽教育について
(1)『教育学講座 第13巻 造形と音楽の教育』学習研究社 1979年
p.223 (1)戦後の音楽教育の歩み の「学習指導要領と学習活動の拡大」の項目には
「器楽」が戦後新たに加わった学習活動であったこと、また、楽器の使用については次のような
困難な状況が記載されています。
以下引用
「しかし、戦後の物資不足の現象は音楽教育の面にも響いて、学習を思うように進めることが
困難であった。そこで文部省ではレコード会社や楽器会社と連携して、教育用のレコードや
楽器の製作供給に尽力し、あるいは資材の斡旋、あるいは免税手続きなどによって、不十分
ながらもある程度の物的裏づけをし、どうにか新しい音楽教育を軌道に乗せることができた。」
p.228 (2)学習指導要領の改訂
以下の状況が確認できました。
・第一次学習指導要領
→『学習指導要領』(試案) 昭和22年版 文部省 1947年(2(2)の資料に収録)
・第二次学習指導要領
→『学習指導要領』(試案) 昭和26年版 文部省 1951年(2(2)の資料に収録)
・『小学校学習指導書 音楽科編』文部省 1953年
・『「小・中学校の教育課程の改善」についての答申』教育課程審議会 1958年
・第三次学習指導要領
→『学習指導要領』 昭和33年版 文部省 1958年(2(3)の資料に収録)
(2)『文部省 学習指導要領 11 音楽科』戦後教育改革資料研究会/編 日本図書センター 1980
昭和22年度以降32年までを中心に文部省告示方式以前の学習指導要領および学習指導要領に
準ずるものを収録しています。
「中学校高等学校学習指導要領 音楽科編(試案)昭和26年(1951)改訂版」には、付録「(Ⅰ)
音楽教室とその設備(p191)」という項目がありましたが、「小学校学習指導要領 音楽科編(試案)
昭和26年(1951)改訂版」には、具体的な器楽楽器の教材について記載は確認できませんでした。
(3)学習指導要領 昭和33年について
横浜市内、神奈川県内では所蔵が確認できませんでした。
教育図書館(神奈川県立総合教育センター)善行庁舎では所蔵されています。
雑誌『初等教育資料』臨時増刊号 No102(1958年)を所蔵しており、この資料に昭和33年施行の
学習指導要領全文掲載しています。
『初等教育資料(復刻版)』(文部省初等教育課 編 東洋館出版社 1998)は国立国会図書館でも
所蔵しています。
(4)『音楽教育の理論と歴史』河口道朗/著 音楽之友社 1991
p.315「第三章 第三節 器楽教育再編の背景」
1958(昭和33)年学校教育基本法施行規則の一部改訂として省令25号が出されたことが
記載され、「今日、学校教育における器楽活動の普及と展開はこの改訂『学習指導要領』に
よるところが大きい。「告示」という法的拘束力をもった『学習指導要領』において器楽指導のための
楽器の種類、範囲まで規定するとともに、学習を義務化したからである。」とあります。
(5)『楽器商報』1958年7月
横浜市内、神奈川県内図書館では所蔵していません。国立国会図書館所蔵しています。
(6)その他、参考資料
『音楽教育史文献・資料叢書 第26巻』大空社 1993
『音楽教育講座3』(監修:河口道朗 原著監修:諸井三郎 河出書房 昭和27年)の復刻です。
「器楽と創作編」に簡易楽器の作り方と指導法Ⅰ (笛と弦楽器の作り方)竹笛の作り方が
掲載されています。
3 「国立国会図書館リサーチナビ」「Genii」で検索したところ、次の論文がありました。
(1)、(2)の掲載雑誌について神奈川県内の所蔵を調べたところ、横浜国立大学で所蔵していました。
(1)「戦後日本の小学校におけるたて笛およびリコーダーの導入過程--昭和20年代を中心に(特集 学校
器楽教育の過去・現在・未来)」山中 和佳子/著
(「音楽教育実践ジャーナル」7(2) p.73~83 2010年3月)
(2)「学校音楽教育におけるリコーダーの扱いをめぐって--楽器の改良を通して」
有道 惇 片山 峰緒(「岡山大学教育学部研究集録」(通号 75) p153~168 1987年07月)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375 8版)
- 音楽 (760 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000105321