レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/02/18
- 登録日時
- 2023/03/09 00:31
- 更新日時
- 2023/03/09 00:31
- 管理番号
- 6001060075
- 質問
-
解決
『明月記』の承元二年十月六日、有馬へ湯治に行く途中、「水田の宿」と出てくるが、この「水田」は今のどこにあたるのか。
- 回答
-
「水田」は、大阪府の「吹田」と思われる。
次の資料を確認した。
まず、明月記の承元二年十月六日の記載は次のとおり。
■『訓読明月記 第3巻』([藤原定家/著] 河出書房新社 1978)
「承元二年十月」の、
・「五日」に「湯山に下向の由、清範等に示し付く。」
・「六日」に「天晴れ、風烈し。暁に退出す。辰の時に京を出で、船に乗る。日短く、風吹く。今夜、水田の宿に着く。」(p.52)
・「七日」に「天晴る。払暁路に出で、申の時始めに湯山に着く。」(p.52)
とある。
■『訓注明月記 第3巻 自承元二年至建保元年』(稲村榮一/著 松江今井書店 2002.12)
「承元二年十月」の「五日」に「下向湯山之由示付清範等。」の「湯山」の訓注に「湯山(ゆのやま)は摂津有馬郡(神戸市兵庫区)にある有馬温泉。」とある。(p.78)
「水田」については次の資料に記載があった。
■『日本歴史地名大系 28‐[1] 大阪府の地名』(平凡社 1986.2)
「吹田」の項(p.229-230)に次の記載がある。
「神崎川の右岸に位置、水田とも書き、淀川水上交通の一拠点であった。」とあり、『明月記』には「承元二年(一二〇八)一〇月六日条に『辰時出京乗船、日短風吹、今夜吹田宿』(中略)の記事もみえる。」の記載がある。(p.229)
○美川圭「藤原定家『明月記』にみる有馬の湯」『日本歴史地名大系 歴史地名通信』<41>(平凡社 1999.10)p.1-4
※大阪府立中之島図書館では当該資料は、『日本歴史地名大系 29-1 兵庫県の地名』(平凡社 1999.10)に貼付。
「三、承元二年十月」に「この日は水田(吹田)宿に泊まる」という記載がある。(p.2)
■『西鶴文学の地名に関する研究 第7巻 研究叢書 セ-タコ』(堀章男/著 和泉書院 2008.6)
「セガワ 瀬川(摂津)」の項(p.37-45)に、「『明月記』によれば、定家は少くとも四回の有馬湯治に出ているが、承元二年(一二〇八)十月の湯治については、往路は『水田宿』(摂津国島下郡。現、大阪府吹田市)の地名のみがあって」といった記載がある。(p.38)
[事例作成日:2023年2月18日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日記.書簡.紀行 (915 10版)
- 日本 (291 10版)
- 参考資料
-
- 訓読明月記 第3巻 [藤原/定家‖著] 河出書房新社 1978 (52)
- 訓注明月記 第3巻 稲村/榮一∥著 松江今井書店 2002.12 (78)
- 日本歴史地名大系 28‐[1] 平凡社 1986.2 (229-230)
- 日本歴史地名大系 29-1 平凡社 1999.10
- 西鶴文学の地名に関する研究 第7巻 堀/章男∥著 和泉書院 2008.6 (38)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 大阪,地名・地域
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000330036