レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年10月17日
- 登録日時
- 2019/03/24 17:42
- 更新日時
- 2019/03/24 18:29
- 管理番号
- 千県中参考-2018-13
- 質問
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解決
ジャンルとしてのライトノベルの売上や発行部数などが年度ごとにわかる資料、ライトノベル以外のジャンルについても同様に見られる資料を探しています。
- 回答
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前提として、「細分化するラノベレーベル、ネット小説、大人向けを開拓(活字の海で)」(『日本経済新聞』2018.09.15朝刊)p27には、
「ここ数年「ネット投稿サイト発」と「大人向け」を軸に単行本サイズの新レーベルが相次ぎ」とあり、従来の文庫のほか、単行本のレーベルも増えているようです。
質問には文庫、単行本等形態の指定がありませんでしたので、見つかった関連資料をご紹介します。それぞれの定義等を確認のうえ、ご利用ください。
【資料1】『ORICONエンタメ・マーケット白書 2015』(オリコン・リサーチ 2016)
※千葉県立図書館は2015年版のみ所蔵。
「書籍・マーケット動向」掲載。
「形態・分類別売上状況」として、BOOK・文庫/文学・ノンフィクション/趣味・生活・実用/ビジネス書/自己啓発書/コミック/ライトノベルの別に、動向が分析されています。
ライトノベルについてはp81に「年間売上額の推移」(5年分)、「年間売上額の上位レーベル」、「作品別売上額上位20作(単行本・新書・文庫総合)」を掲載しています。売上額は「文庫」と「単行本」で形態別になっています。
なお、本書のマーケット動向関連のデータについて、「市場規模等の各種データは、市場全体の売上枚(部)数を推計(特販商品、輸入商品等は含まず)、売上金額はその売上枚(部)数に定価・希望小売価格(税込)を乗じて算出したもの」とあります(p2)。
【資料2】『出版指標年報 2017年版』(全国出版協会出版科学研究所 2017)※年刊
分野別に書籍・雑誌の出版傾向が掲載されています。
「文庫本」の章に「ライトノベル市場」の見出しがあり(p120)、「文庫本におけるライトノベルのシェア」「ライトノベル販売金額」のグラフがあります(09,11,12,13,14,15,16年)。
「ライトノベルも多様化し、文庫本は縮小しているが、B6版や四六判など単行本作品<新文芸>でのヒットが増加」等の記述があります。なお、「文学」の章には「著しいWeb発小説の台頭」の見出しがありました(p115)。
書籍統計資料の中に形態別出版状況の資料があり、文庫本の2012~2016の新刊点数、推定発行部数、平均価格、推定発行金額の情報も得られます(p145)。
(※関連ウェブページ:全国出版協会・出版科学研究所「日本の出版統計」https://www.ajpea.or.jp/statistics/index.html)
「ライトノベル以外」の発行部数についてですが、書籍全体の売上高の前年比と構成比については次の資料があります。
【資料3】『出版物販売額の実態 2017』(日販営業推進室編集 日本出版販売 2017)
p15「分類別売上高前年比 10年推移」 雑誌、コミック、文庫、新書、児童書、学参、実用書、文芸、ビジネス、専門、総記
p16「分類別売上高構成比 10年推移」
また、文庫本の中のジャンルごとの売り上げ等に関する情報として、次の手がかりがありました。
【資料4】古幡瑞穂「「キャラクター文庫」の理想と現実――主力となりつつある新ジャンル、次のロングセラーを生み出すには」(http://hon-hikidashi.jp/more/54843/)
取次会社日販所属の筆者による記事です。「2017年の文庫ジャンル売上構成比」のグラフが掲載されており、一般、キャラ文庫、ラノベ男性、時代小説、教養等の区分があります。
記事によれば「各社定義は色々ありますが、日本出版販売では「内容を想像しやすいイラスト表紙があるもの」で、「ライトノベルのように挿絵はないもの」をキャラ文庫と定義し管理しています」とのことです。
この記事の出典は「文化通信BB 2018年5月28日増刊より転載※一部編集」とあります。
「文化通信BB」は、文化通信社の専門紙「文化通信」の「文化通信 bBB」とみられます(https://www.bunkanews.jp/kokoku/index2.php)。県内に所蔵がありません。
- 回答プロセス
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・件名「出版 統計」で検索し、【資料2】を見つけた。
・google検索「ライトノベル 売上」より、
愛咲優詩「意外と知らない「ライトノベル」ブームの現在 いったい誰が、何を読んでいるのか」(東洋経済ONLINE)(2018/03/03付記事)(https://toyokeizai.net/articles/-/209915)の中に、「ORICONエンタメ・マーケット白書2016」が引用されていた→当館所蔵は【資料1】
・ライトノベル以外のジャンルとのことで、文庫本のジャンル別比較などはないかと想定した。
google検索「文庫 ジャンル別 売上」「文庫 ライトノベル 売上 分析」等より、
【資料3】を出典として分析を行っているサイト、【資料4】を発見。
・リサーチナビ「ライトノベル 統計」「ライトノベル 部数」より、
大阪府立中之島図書館「図書館調査ガイド 業界・市場動向のしらべかた」
(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000000755 )
→(未所蔵未確認)『オタク産業白書 2008』(メディアクリエイト 2007)
「産業という観点から個々の産業特性・市場規模・ユーザー属性を明示し、ユーザー関与とメディアミックスについて掲載」とあり、ライトノベルも載っているらしい。
※県内公共図書館所蔵なし。続刊なし。
・蔵書検索の件名「ライトノベル」より、
→『このライトノベルがすごい!』県立は2010まで所蔵。
『このライトノベルがすごい! 2010』(『このライトノベルがすごい!』編集部編 宝島社 2009)
「書店売上ランキング」掲載あり。「くまざわ書店」グループ、「コミックとらのあな」の実売データから見た作品のランキング。部数等は載っていない。
→『ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略』(飯田一史著 青土社 2012)
「日本の文庫本市場(販売額)は一三〇九億円(二〇一〇年、出版科学研究所調べ)。ほとんどが文庫で刊行されるライトノベル市場は二〇一〇年には三一六億円(矢野経済研究所調べ)。」(p14)
巻末参考文献に「出版科学研究所『出版月報』2010年8月号」と「矢野経済研究所「『オタク市場』に関する調査結果2011」(同社ウェブサイトより)」あり。
「ライトノベル市場が2010年度に316億円」という記述内容に関しては、ニュースサイト等の関連記事の、プレスリリースから抜粋されたとみられる画像で確認できた(当時のプレスリリースそのものは見つけられなかった)。
(参考)マイナビニュース「2011年度のオタク市場、前年度に引き続き拡大 - 矢野経済研究所調査 」(2012年10月16日付記事)https://news.mynavi.jp/article/20121016-a024/
なお、矢野経済研究所の「オタク市場」に関連する調査は継続して行われていて、ライトノベルも調査対象になっているようである(『2018 クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究』(https://www.yano.co.jp/market_reports/C60109800)など)。県内及び、NDLサーチで検索できる公共図書館では未所蔵だった。
(インターネット最終アクセス:2019年1月9日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 出版 (023 9版)
- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『ORICONエンタメ・マーケット白書 2015』(オリコン・リサーチ 2016)(0106538945)<7609/20/15> (※書誌情報の後に当館資料番号()とその請求記号<>を記した(所蔵館が県立東部・西部の場合はその情報を記した)。以下同じ。)
- 【資料2】『出版指標年報 2017年版』(全国出版協会出版科学研究所 2017)(2102795895)東部<0231/3/17>
- 【資料3】『出版物販売額の実態 2017』(日販営業推進室編集 日本出版販売 2017)(0106604450)<0241/30/17>
- 【資料4】古幡瑞穂「「キャラクター文庫」の理想と現実――主力となりつつある新ジャンル、次のロングセラーを生み出すには」(http://hon-hikidashi.jp/more/54843/)
- キーワード
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- ライトノベル
- 出版
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000253627