レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年07月04日
- 登録日時
- 2016/10/21 15:18
- 更新日時
- 2016/10/21 15:18
- 管理番号
- 土木図書館-0066
- 質問
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解決
1. 以下は明治10年代の木橋の説明文だが,現代語訳の意味を教えてください。
「袴腰ヲ造リ橋四拾間余三条町地先ニ別紙ノ図面之通堤防馬踏定杭ヨリ正平線四拾三間七寸之分江橋詰五間袴腰ヲ造図面道路ニ倣ヒ午ノ弐拾九度三十分ニ橋梁ヲ架ス」
2. 文中の「袴腰」の意味を教えてください。
3. 幕末明治土木用語辞典の類は刊行されているか。
4. 明治時代の全国の橋梁についてまとめた統計書や写真記録を保管しているか。
- 回答
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当館所蔵資料を調査し,各質問に対して下記の通り回答した。
1. 「袴腰(土手)を造り40間(1間=6尺=1.8mとして72m)余りの橋を三条町地先に、別紙の図面通り、堤防の馬踏み(土堰堤の上端水平部分をいい、築堤の施工基面のこと)定杭(土俵を積む高さを制限する目安)から正平線43間7寸(77.61m)の分へ橋詰5間(8m)袴腰(土手)を造り、図面道路に倣って、午(南)の29度30分に橋梁を架ける」
*正平が正しく平らかなことを意味するが,文中の「正平線」の正確な意味は不明。
2. 『建築大辞典』影国社,1974年,p.1213 に以下の記載あり。
「はかまごし 袴腰 【他】【史】①台形状のものを示す伝統的呼称.土手の断面,鐘楼・行灯の下半,女性の額の生え際の形などに対して用いられる.②山形県地方の草葺,寄棟造りの民家において,妻側の屋根を台形状に切り上げた屋根形式.武蔵・甲斐地方の兜造りに相当する.厨子ともいわれる屋根裏の採光・換気のために作られたもので,切上げ部分は「たかはっぽう」と称される.③弁才船の矢倉の妻側にある平らな台形状の材.胴控えの上に入れて歩桁(あゆみ)と矢倉のささらを支えるもの.→こしあて」
文中では,①の意味で用いられていると思われる。
3. 幕末・明治を対象領域とした専門の土木用語辞典の類は見当たらない。ただし,前掲の『建築大辞典』は歴史的な用語もかなりカバーしているので参考になる。
4. 1冊にまとまっている本は見つけることができなかったが,以下の資料が参考となる。
*1. 藤井郁夫編『橋梁史年表』海洋架橋調査会,2000年
*2. 前澤初治『実用木橋架設便覧』博文館,1908年
*3. 「土木工要録(付録)」 『江戸科学古典叢書 8』恒和出版,1976年
*4. 松村博「日本木造橋の構造とデザイン」『土木史研究講演集』23巻,土木学会,2003年,p.75-82
*5. 安達實,本江裕之,金森範孝,北浦勝「日本の木造方杖橋」『土木史研究 講演集』23巻 ,土木学会,2003年,p.69-74
*6. 「木造橋脚の構造形態について」『土木史研究講演集』26巻,土木学会,2006年,p.235-241
なお,上記*4~6の資料は,「土木学会学術論文等公開ページ」で一般公開されている。
http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/00902/index.htm
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
-
- 橋梁
- 木橋
- 袴腰
- 明治時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000198542