レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005/01/09
- 登録日時
- 2005/06/01 02:10
- 更新日時
- 2016/10/09 16:36
- 管理番号
- 050109001
- 質問
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解決
落語「紙屑屋」(浮かれの屑より)に出てくる「線香紙」とは何か。屑を選別する場面で「からすはからす、チンピはチンピ、せんこう紙はせんこう紙」と唱える一節がある。
- 回答
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落語の噺の中で、紙屑屋の親方が若旦那に紙屑の選り方を教える場面で「煙草の空き箱、これは「せんこう紙(がみ)といいます。別にお線香になるわけじゃないんですがね」というせりふがあることから 煙草の空き箱のこと 浅黄紙と書いてせんこうがみと読ませるとのこと。
- 回答プロセス
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参考図書調査→外部の専門家へ問合せ→落語協会へ問合せ→回答
ここまでで「せんこう紙」については解決したが、「江戸期のたばこは刻みタバコ 紙巻タバコによるたばこ箱の製造は明治以降のものなので 落語の説明は今風にアレンジされてきたのではないか」との質問が寄せられた。
その後近畿大学よりコメントをいただき概ね解決した。コメントは備考欄に記す。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衛生工学.都市工学 (518 9版)
- 参考資料
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- 「屑の話」関根康喜著,1939 (『三遊亭円朝全集』 第4巻 三遊亭円朝[著]; 小池章太郎, 藤井宗哲編 角川書店 1975)
- 「日本の古紙」笹沢琢自著,1995
- キーワード
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- 線香紙;落語;タバコ;リサイクル;屑紙
- 照会先
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- 一般社団法人 落語協会 http://rakugo-kyokai.jp/ (2016/10/9確認)
- 寄与者
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- 笹澤琢自(古紙研究家) 日本落語協会
- 近畿大学
- 備考
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近畿大学よりコメントをいただく(2006/6/12)。以下本文。
『三遊亭円朝全集』 第4巻 三遊亭円朝[著]; 小池章太郎, 藤井宗哲編 角川書店 1975 を確認いたしました。「紙屑のよりこ」として収録されていました。
p.553
藤兵衛「それでは籠を貸してあげるが、あんまり前へたくさん掻き出すとはかがゆきませぬから少しずつ出して、白紙は白紙の笊(ざる)へ入れ、草子紙(そうしがみ)や何かひどく汚れたのはカラスといって別にしておき、新聞紙は向こうへやって、毛や何かはこっちへわけて、油紙はそっちへ出して、ようがすか」
藤兵衛「これは白紙です、これがカラス、新聞紙は新聞紙、毛は毛でこんがらかって油紙は油紙とな」
喜之「白紙は白紙か、黒い紙はカラス、新聞紙(しんぶんがみ)は新聞紙、毛は毛でこんぐらかってか、どうもいろいろなものがあるね、・・・」
となっていました。
演者である初代三遊亭円朝(1839-1900)によって噺が変えられたと考えられます。
『ライブラリー落語事典』 東京編 保田武宏著 弘文出版 1982
p.118
紙屑屋(かみくずや)
別名「紙屑のよりこ」
速記本
(紙屑のよりこ)「円朝全集 13」 春陽堂、昭和3年1月
(紙屑のよりこ)「三遊亭円朝全集 4」 角川書店、昭和50年8月
「評判落語全集 (上)」 講談社、昭和8年7月
「落語全集 亀の巻」 講談社、昭和30年
「落語文庫 15 人の巻」 講談社、昭和51年8月
「落語名人集 1」 西沢道書舗、昭和55年11月
上方では、「浮かれの屑より」
また、下記の文献等にも収録されているようです。
『上方落語』 上巻 佐竹昭広、三田純一編 筑摩書房 1974 (「紙屑屋」)
『名人名演落語全集』 第3巻 斎藤忠市郎編 立風書房 1982 (「紙屑屋」)
『名作落語全集』 今村信雄編 騒人社書局 1929
『五代目桂文枝上方噺集成』 1 五代目桂文枝:口演 SONY 1998 AV(CD) (「浮かれの屑より」)
また、ネット上の情報ですが、「「線香紙」は厚紙。」というものがありました。
浮かれの屑より (名作落語大全集)
(2016/10現在未確認)
2016/10/9インターネット事項を確認訂正
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000021962