レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008年9月18日
- 登録日時
- 2008/09/16 15:19
- 更新日時
- 2014/10/15 18:29
- 管理番号
- 08-007
- 質問
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解決
最近、「地産地消」という言葉が頻繁に取り上げられるが、生産地から販売地まで輸送される間に、
水分や栄養分がどの程度減少するかを調べたい。参考になる資料はないか。
- 回答
-
基準となる数値として、まずは『五訂増補日本食品標準成分表』を示しつつ、
同時に、調査プロセスでヒットした、ビタミン・ミネラル含有量等の成分変化量に関する文献を紹介。
また、各種研究機関のホームページも案内。
- 回答プロセス
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【調査方針】
・今回の調査に限らず、ある事柄の変化を調べるのであれば、まずは基準とすべき数値を把握する必要があるだろう。
よって、まずは食品の成分に関する基準値をまとめた資料の有無を調査する。
・その上で、成分変化に関する研究資料の有無を調査する。
【調査プロセス】壱
①<NDLテーマ別調べ方案内>にある「食品成分表」の項目を見ると、『五訂増補日本食品標準成分表』が紹介されて
いる。神奈川大学では横浜にはなく平塚で所蔵している。この資料は文部科学省のホームページでも公開されており、
データベースとしても試験運用されているので、こちらを利用することにする。
・<Food Composition Database 食品成分データベース>
(http://fooddb.mext.go.jp/)
・<五訂増補日本食品標準成分表>
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802.htm)
↓
②さて、基準とすべきデータは①から得られるとして、その基準値の変化に関する資料はあるだろうか。
思いつくキーワードでCiNiiを検索する。
キーワード:成分、変化、含有量、野菜、栄養、輸送、流通、運輸、 etc. etc.
↓
③上記のキーワードを組み合わせて検索を試みた結果、参考になりそうな論文が幾つか引っかかってきた。
・辻村 卓,日笠 志津.全国6地域のスーパーマーケットで販売される野菜の産地とビタミン・ミネラル含有量の通年
成分変化[1]. ビタミン.2005,vol.79,no9,pp.453-457
・辻村 卓、小松原晴美、荒井京子、福田知子:出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年
成分変化[1]. ビタミン,71,67-74(1997)
・辻村 卓、日笠志津、荒井京子:出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化[2].
ビタミン,72,613-617(1998)
・辻村 卓、日笠志津:出回り期の長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化[3]
女子栄養大学栄養科学研究所年報,8,249-253(2000)
・辻村 卓、荒井京子、小松原晴美、笠井孝正:冷凍あるいは冷凍乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量
に及ぼす通年貯蔵の影響.日本食品保蔵科学会誌,23,35-40(1997)
↓
④試しに「全国6地域のスーパーマーケットで販売される野菜の産地とビタミン・ミネラル含有量の通年成分変化[1].」
をざっと読んでみると、以下のように説明されている。「実験方法」と「結果と考察」の部分から一部抜粋する。
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実験方法
1.試料および試料調整
6種の野菜(キャベツ、だいこん、トマト、にら、ほうれんそう、さつまいも)を選択し1試料ごと1年間隔月に成分分析
を行った。実験日に販売予定の新鮮な野菜を6地域(北海道・札幌、宮城・仙台市、東京・北区、京都、長岡京市、
山口・下松山、福岡・筑紫郡) より実験当日午前中にクール宅急便にて入手した。すべての試料は、Sストアーの
各店舗から提供を受けた…(以下、略)。
結果と考察
1999~2003年に生産、販売(スーパーマーケット)された6種類の野菜について、隔月通年の分析、調査結果を
1~6に示した。販売地と生産地の関係を見ると、多くは地元または近郊地域産の野菜を販売する傾向が認められ
るものの、各野菜とも時期により生産地と販売地が大きく異なっていた…(以下、略)。
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また、論文に記載できなかったデータについては著者が所属する大学のホームページから閲覧できるとの指示あり。
・生物有機化学研究室(http://www.eiyo.ac.jp/kenkyu/lab/s004/ )
【調査プロセス】弐
各種研究機関のホームページからも、依頼内容に完全に応える内容ではないものの、野菜の鮮度に関する情報を得る
ことができる。
・<農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所>(http://sto.affrc.go.jp/)
以下の手順で、夏季収穫キャベツの鮮度保持期間に関する調査を確認できる。また、「研究成果」には様々な資料が
アップされており興味深い。
トップ > 農林水産研究ライブラリ > 研究成果 > 中国農業試験場 > 平成08年度
> 夏季収穫キャベツの鮮度保持期間と部位別成分変化
・<独立行政法人農林水産消費安全技術センター>(http://www.famic.go.jp/index.html)
以下の手順で、野菜の保存方法による鮮度の変化に関する調査を確認できる。
トップ > 食の情報交流ひろば> 食に関するQ&A > 食と農のサイエンス(広報誌「新・大きな目小さな目」より)
> 野菜の保存方法による鮮度の変化> 食のサイエンス◆野菜の保存方法による鮮度の変化(1994年5月第15号)◆
・<農林漁業金融公庫>(http://www.afc.go.jp/ )
以下の手順で、冷温高湿貯蔵による果実の長期貯蔵の最新技術などが確認できる。
トップ > お役立ち情報>最新技術情報 > 果樹 > 技術の窓 No. 1065 冷温高湿貯蔵による果実の長期貯蔵
【調査結果】
以上に例示した論文などから察するに、南北に長い日本の気候によって野菜の旬の時期も異なるため、特定の一産地から
特定一の販売地へ常に供給されていることはあまりないようである。そういう意味でサンプル調査は難しいかもしれない。
更に、輸送方法の輸送技術の違いなどによっても成分変化に影響もが生じるものと思われる。
(ただし、こうした考察は調査依頼者自身が行うであろうから、調査プロセスとヒットした文献等を参考として提示するに留める)
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 『五訂増補日本食品標準成分表』
- <Food Composition Database 食品成分データベース>(http://fooddb.mext.go.jp/)
- <五訂増補日本食品標準成分表>(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802.htm)
- 日本食品保蔵科学会誌
- 女子栄養大学栄養科学研究所年報
- <女子栄養大学 生物有機化学研究室>(http://www.eiyo.ac.jp/kenkyu/lab/s004/ )
- <農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所>(http://sto.affrc.go.jp/)
- <独立行政法人農林水産消費安全技術センター>(http://www.famic.go.jp/index.html)
- <農林漁業金融公庫>(http://www.afc.go.jp/)
- キーワード
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- 地産地消
- 日本食品標準成分表
- 食品成分
- 含有量
- 成分変化
- 女子栄養大学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000047386