レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年11月06日
- 登録日時
- 2016/02/03 18:55
- 更新日時
- 2022/08/22 11:11
- 管理番号
- 2016-001
- 質問
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日本にジャケットが入ってきた明治時代の縫製方法(当時ミシンが無い時代に、どうやってジャケットを作っていたか)
- 回答
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当館所蔵資料より、以下を紹介。
『日本婦人洋装史』新装版 中山千代著 吉川弘文館 2010 (自館請求記号:383.11/N)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010910197-00
p184「三 ミシン初伝と洋服業の成立」にミシンの伝来とテーラーの開業についての記載あり。
『洋服・散髪・脱刀』 刑部芳則著 講談社 2010
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010836159-00
p70に、「洋式服制が登場し、政府の官員が洋服を着用するようになると、その需要に応えるべく洋服店が現れてくる。」「洋服店を開業した店主の多くは、幕末に洋服調製技術を学んだ」「福沢は、慶応義塾の施設内に衣服仕立局を設置し、洋服の供給を企図する」とある。
『明治国家の服制と華族』 刑部芳則著 吉川弘文館 2012
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024114464-00
p93に、「開港地の長崎でも文官大礼服を調製することができず、官員は東京や横浜まで出向くか、あるいは電報を利用して注文しなければならなかったことがうかがえる」「大礼服を調製できる洋服店は、横浜を除くと東京の日本橋区・芝区・京橋区・麹町区に限られており、その多くの店で外国人の仕立師を雇っていたことがうかがえる」「欧州一の一流洋服仕立師を高額な給与で雇い入れ、調製技法の指導を受けなければならなかった」とあり、洋服店の名前、そこで雇っていた仕立師の名前や給与が記載されている。
『写真でみる日本洋装史』 遠藤武, 石山彰著 日本図書センター 2014
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025527673-00
p43に、「明治六年には『改服裁縫秘伝』が、日本最初の洋服仕立書として刊行された。」とある。p297~313に日本洋装史年表が掲載されている。
『近代日本服装史』 昭和女子大学被服学研究室著 近代文化研究所 1971
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001189059-00
p46に材料について、「洋服の材料は大部分は輸入品であった」とある。同ページには「当時はミシンもごく少なく、手縫いの部分も多かった」とある。p48に、「同年十二月には北海道開拓使の東京出張所で伝習生を募集したり」「同じく明治四年には海軍兵学校に洋服裁縫所を設置した」とある。その後の普及について「技術を講習してくれるところはいくつかあった」「貧困家庭の手内職として、ミシンの賃仕事が行われたようで」とある。
『日本洋服史 : 一世紀の歩みと未来展望』 洋服業界記者クラブ「日本洋服史刊行委員会」 1977
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001343084-00
p27~の「(ニ)近代洋服史」やp58~の「明治編」にも洋服史がまとめられていた。
『洋装案内』 クレス出版 2015
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026394118-00
国立国会図書館デジタルコレクションより、以下を紹介。
『西洋裁縫教授書』 原田新次郎訳 川勝利八 明11 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848781
『西洋裁縫教授書. 附図』 原田新次郎訳 川勝利八 明11 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848782
『洋服大全』 洋装研究会 明41 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848881
『大礼服制表并図. 勅奏判官并非役有位部』 [明治年間] https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994043
- 回答プロセス
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1.当館所蔵資料の中で日本の服装史に関する図書を調査。
『日本婦人洋装史』新装版、『洋服・散髪・脱刀』、『明治国家の服制と華族』、『写真でみる日本洋装史』、『近代日本服装史』『日本洋服史 : 一世紀の歩みと未来展望』に質問に関する記述を見つけた。
しかし、図書に記載されているのは当時の歴史的事実や背景が多く、具体的な縫製方法についてはたいして記述がなかった。
縫製方法を知るためには当時の縫製関連の資料を確認することが必要かと考え、当館所蔵の『国立国会図書館所蔵明治期刊行図書マイクロ版集成』のリストを確認したところ、参考になりそうな資料『西洋裁縫教授書』、『西洋裁縫教授書. 附図』、『洋服大全』が見つかった。また、当館所蔵の貴重書『大礼服制表并図. 勅奏判官并非役有位部』の中に参考になりそうな資料を見つけた。
『洋装案内』
2.国立国会デジタルコレクションを調査。
見つけたマイクロや貴重書について、デジタルで公開されているものはないかどうか、国立国会図書館デジタルコレクションを検索したところ、以下のどの資料もインターネット公開資料であったため、質問者に紹介した。
『洋服大全』は当館所蔵『近代衣服書集成』第4巻『洋装案内』に収録されていたので、併せて紹介した。
- 事前調査事項
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国立国会図書館等で調査をしている
- NDC
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- 衣服.裁縫 (593 7版)
- 衣食住の習俗 (383 7版)
- 参考資料
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中山千代 著 , 中山, 千代, 1915-1996. 日本婦人洋装史 新装版. 吉川弘文館, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010910197-00 , ISBN 9784642014557 (自館請求記号:383.11/N) -
刑部芳則 著 , 刑部, 芳則. 洋服・散髪・脱刀 : 服制の明治維新. 講談社, 2010. (講談社選書メチエ ; 464)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010836159-00 , ISBN 9784062584647 -
刑部芳則 著 , 刑部, 芳則. 明治国家の服制と華族. 吉川弘文館, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024114464-00 , ISBN 9784642038164 -
遠藤武, 石山彰 著 , 遠藤, 武, 1911-1992 , 石山, 彰, 1918-. 写真でみる日本洋装史. 日本図書センター, 2014.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025527673-00 , ISBN 9784284503525 -
昭和女子大学被服学研究室 [編] , 昭和女子大学. 近代日本服装史. 近代文化研究所, 1971.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001189059-00 -
日本洋服史 : 一世紀の歩みと未来展望. 洋服業界記者クラブ「日本洋服史刊行委員会」, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001343084-00 -
増田美子 編・解説 , 増田, 美子, 1944-. 近代衣服書集成 第4巻 (洋装案内). クレス出版, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026394118-00 , ISBN 9784877338732 - 『西洋裁縫教授書』 原田新次郎訳 川勝利八 明11 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848781
- 『西洋裁縫教授書. 附図』 原田新次郎訳 川勝利八 明11 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848782
- 『洋服大全』 洋装研究会 明41 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848881
- 『大礼服制表并図. 勅奏判官并非役有位部』 [明治年間] https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994043
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中山千代 著 , 中山, 千代, 1915-1996. 日本婦人洋装史 新装版. 吉川弘文館, 2010.
- キーワード
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- 明治時代
- 縫製方法
- ジャケット
- 紳士服
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『洋服大全』のリンク先に誤りがあるとの指摘を受け、修正した。併せて、その他のリンク先もhttp→httpsに修正した。(2022年8月22日)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000187825