レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月12日
- 登録日時
- 2019/12/12 20:56
- 更新日時
- 2020/01/09 14:28
- 管理番号
- 20191212-3
- 質問
-
解決
戦前に和歌山新宮にあった「富士九」または「富士久」という木材店について知りたい。
- 回答
-
以下の資料が見つかった。
店名は、創業者の氏名「富士田九平」から、「富士九合名會社」「富士九商店」と命名されていたと考えられる。
「九」と「久」が音通(同じ音を違う漢字で表現すること)であり、「富士久」を使用した可能性もあるが、誤植・誤りの可能性が高い。
また、富士九商店は大阪の会社で、新宮にあったのははその支店であったと考えられ、「富士九合名会社新宮出張所」が、新宮市の材木商の問屋組合に所属していたことが確認できた。
<「人事興信録」による情報>
『人事興信録』データベース(名古屋大学)
http://jahis.law.nagoya-u.ac.jp/who/search (2020/01/08 確認)
第4版 [大正4(1915)年1月]
富士田九平
職業 富士九合名會社代表社員
生年月日 天保八年九月九日 (1837)
http://jahis.law.nagoya-u.ac.jp/who/docs/who4-9371 (2020/01/08 確認)
第8版 [昭和3(1928)年7月]
富士田九平
職業 富士九商店(株)社長、材木商
生年月日 慶應二年八月 (1866) 富士田九平の長男
http://jahis.law.nagoya-u.ac.jp/who/docs/who8-18846 (2020/01/08 確認)
人事興信所編『人事興信録』 4版 (人事興信所, 1915) (国立国会図書館デジタルコレクション)p.ふ二
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1703995 (2020/01/08 確認)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1703995/713 (2020/01/08 確認)
人事興信所編『人事興信録』 8版 (人事興信所, 1928) (国立国会図書館デジタルコレクション)p.フ四
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1078684 (2020/01/08 確認)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1078684/1346 (2020/01/08 確認)
<新聞>
神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 【 新聞記事文庫 】
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/sinbun/ (2020/01/08 確認)
デジタルアーカイブ横断検索(神戸大学附属図書館)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/da/ (2020/01/08 確認)
横断検索で、以下の新聞記事がヒットした。
「時事新報社第三回調査全国五拾万円以上資産家」『時事新報』 1916.3.29-1916.10.6 (大正5)
神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫・時事新報 14.貨幣及金融 05.資金 第5巻
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003ncc_00797596 (2020/01/08 確認)
https://bit.ly/2FxaVfD (2020/01/08 確認)
画像 193ファイル に以下の記述あり。
財産見積額 五十万円
氏名 富士田九平(材木商)
事業住所 西区幸町通二
財産種別 営業資本、不動産
略歴 和歌山県平民九郎兵衛の長男にして天保八年九月出生、後分家して一家を創立す維新前より材木問屋を営み大阪屈指の材木問屋として知らる富士九合名会社代表社員たり
<会社録>
芝弥一郎編『大阪人士商工銘鑑』(大阪人士商工銘鑑発行所, 1902)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/779118/
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/779118/311
さ 材木 p.591 上段左端
各国 木材問屋 富士九商店
西区幸町通二丁目一六 幸橋南詰角
富士田九平
大阪市商工課編『大阪市商工名鑑』 大正10年新刊 (工業之日本社, 1921) (国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1017477 (2020/01/08 確認)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1017477/424 (2020/01/08 確認)
建築及工作材料 p.692
営業品目 材木
卸問屋
取引地方 販売先 内地一圓 志那 満州
仕入先 内地一圓 朝鮮 米国
営業税額 二三〇三
商号又ハ氏名 株式会社 富士九商店
営業所 西、幸町通二ノ十六
<図書>
和歌山県史編さん委員会編『和歌山県史』.近現代史料5 和歌山県 , 1979
本館請求記号:216.6 - W28 - 近現-5
p.536 第三章 木材商 第一節 問屋業
旧藩政時代は、株制度であったため、材木商の問屋は、文化時代以降二十一名に限られていたこと、
年々、二十貫匁を藩主に納付して、子孫が継続して営んでいたこと、
明治七年以降は、問屋の株制度を廃して自由に営業許可が出たが、資本が必要なため、増加はほとんどかなったことなどが記載され、以下のように続いている。
「現在組合ニ加入セルモノ三十名アリ、新タニ組合員タラントスルモノハ百五十円ノ新認金ヲ提供スルヲ要ス。
問屋業者中主ナルモノハ左ノ如シ、但シ問屋ニヨリ北山材ヲ取扱フモノト十津川材ヲ取扱フモノト区別アリ」
15の個人名と、1社「富士九合名会社新宮出張所」(11番目)の記載があった。
木田泰夫編著『新宮木協百年史』 新宮木材協同組合 1984.1
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN12454838 (2019/12/13 確認)
p.437 「黒木材の方は、富士九、長谷川、三換会社、九三(吉村さん)の各店でした。」
Googlebooks の検索結果
https://books.google.co.jp/books?id=Yxu8AAAAIAAJ&q=%E6%96%B0%E5%AE%AE%E3%80%80%E6%9D%90%E6%9C%A8%E3%80%80%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E4%B9%9D&dq=%E6%96%B0%E5%AE%AE%E3%80%80%E6%9D%90%E6%9C%A8%E3%80%80%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E4%B9%9D&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwinoOaU18LkAhXT62EKHVYpBRgQ6AEINDAC (2019/12/13 確認)
<NDLデジタルコレクション>
新宮木材商同業組合『新宮木材誌』 (新宮木材商同業組合事務所, 1929)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1030546 (2019/12/13 確認)
「富士九」材木店については記載がなかったが、新宮地域の木材業について、古文書などの翻刻も含め記載されていた。
- 回答プロセス
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近畿大学創設者世耕弘一が、新宮で就職したとされる「富士九材木店」についての調査。
『回想世耕弘一』では、2か所記載があるが、「富士久」「富士九」と、表記の揺れがある。
上記の調査では、「富士久」の表記はなかった。
回想世耕弘一編纂委員会編 『回想世耕弘一』 回想世耕弘一刊行会 , 1971
本館請求記号: 289.1 - Ka21
P.232 「やがて、新宮の富士九材木店に住込み、丁稚として働くことになった彼は、中学講義録をとって勉強をはじめる。」
p.329 世耕弘一年譜 明治41(1908年) 15(歳) 和歌山県新宮市の富士久材木店員となる
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216)
- 日本 (281)
- 参考資料
- キーワード
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- 富士九
- 富士久
- 材木店
- 和歌山
- 新宮
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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レファレンス協同データベース事業サポーター 寺尾様より、
・『人事興信録』データベース 名古屋大学
・神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 【 新聞記事文庫 】
の情報をご教示頂きました。
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000270195