レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 1998年02月24日
- 登録日時
- 2007/04/13 16:05
- 更新日時
- 2008/01/07 14:21
- 管理番号
- 東邦大医-304
- 質問
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解決
「メルフィ法典」「新法典 Novae constitutions」について知りたい。医薬分業について定めた法典で、12世紀のものらしい。
- 回答
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下記の資料を質問者へ提示した。
『Medizinalordung Friedrichs II』 W-H Hein und K. Sappert 著
Internationale Gesellschaft fur Geschichte der Pharmazie, Euten, 1957
- 回答プロセス
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1)西洋の医学史、薬学史(NDC:490.2)の中世の部分を探したが、記述なし。
2)『薬学の歴史』石坂哲夫著, 南山堂 '81(NDC:499.02)の目次で[医薬分業の法制化]を発見した。
「1240年ドイツ人でシチリア島の皇帝フリードリヒ二世が薬事法に関する法律を制定した。」(p.84)とあった。
3)質問者に問い合わせ、質問の法令はフリードリヒ二世の医薬令のことであることを確認した。
4)上記図書の参考文献覧にある図書3冊(いずれも薬学関係)の所蔵を旧 東邦大学習志野図書館
(現 東邦大学習志野メディアセンター)に問い合わせた。
5)旧習志野図書館の回答は次のとおり。
・3冊とも所蔵なし。
・フリードリヒ二世医薬令については、元東邦大学薬学部教授 清水藤太郎先生が研究されていた。
・「薬局」の1959年の号に連載記事がある。
・清水先生はすでに亡くなられ、その蔵書はエーザイ株式会社に寄贈された。
6)『薬局』10(4, 5, 8, 10) '59 他によって概要がわかった。
・フリードリヒ二世は1231年に Melfi において憲法を公布した。これはフリードリヒ二世憲法、
またはメルフィ憲法などと呼ばれている。
・公布後も法律が追加され、1231年から1250年の追補をフリードリヒ二世新憲法という。
・このうち医学薬学に関する法律は第44から47章で、医薬分業の記載があるのは第46章で、
この章は1240年に追加された章である。
・原本は現存していないが、14世紀の写本の断片がバチカン図書館ほかに所蔵されている。
・この連載は(4)をもって中断した。
7)清水先生は「薬局」の連載記事の中で出典をはっきりと
「Medizinalordung Friedrichs II, W-H Hein und K. Sappert 著 Internationale
Gesellschaft fur Geschichte der Pharmazie, Euten, 1957 」
と書かれていた。
8)これが「内藤記念くすり博物館」にあるか確認したのち、借用した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 薬学 (499 9版)
- 参考資料
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- 『薬学の歴史」』石坂哲夫著, 南山堂 1981
- 『薬局』 10(4, 5, 8, 10) 1959
- キーワード
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- メルフィ法典
- 医薬令
- 医薬分業
- フリードリヒ二世
- レファレンスインタビュー
- 照会先
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- 旧 東邦大学習志野図書館(現 東邦大学医学メディアセンター, URL:http://www.mnc.toho-u.ac.jp/nmc/ [last access: 2007.04.13])
- 内藤記念くすり博物館
- 寄与者
- 備考
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・質問者の反応は、満足。借用した本の図版を複写された。
・旧習志野図書館(現 習志野医学メディアセンター)に問い合わせて道が開けた。
・法律の通称にはよく地名が使われるが、メルフィが地名だとは当初思いつかなかった。
・'59年頃は薬剤士の社会的地位についての記事が多いようだこれもその関係である。
・「内藤記念くすり博物館」は、エーザイ株式会社が保有するくすりに関する総合的な資料館。
現在は、Webサイト「くすりの博物館」を公開し、そこで所蔵資料の検索ができる。質問者へ提示した資料は今も所蔵されているようだ。http://www.eisai.co.jp/museum/information/index.html [最終アクセス日:2007年4月13日]
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000034581