レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年09月11日
- 登録日時
- 2020/03/11 12:50
- 更新日時
- 2022/07/28 11:08
- 管理番号
- ASN2019-09
- 質問
-
未解決
クリームソーダが販売・流通し始めた時期とその当時のソーダの色が知りたい。
【情報源・背景】
龍胆寺雄『放浪時代』にクリームソーダが登場し、「赤色」と形容されている。
また、店名は「S」と表記されているので、資生堂パーラーのことではないか、と予想。
『龍膽寺雄全集第1巻』(龍膽寺雄全集刊行会 1984.1.15 91868/R99/1)
「初出「改造」昭和三年四月号(ただし第一編、第二編百枚。のち単行本として改造社から
刊行される際に、第三~五編が書き加えられ、全五編二百五十枚となっている。)」
- 回答
-
クリームソーダが発売された時期は次の資料で確認できました。
発売時期:1902(明治35)年
[情報源]
【★1】『クリームソーダ純喫茶めぐり』
【★2】『西洋菓子彷徨始末:洋菓子の日本史 増補改訂版』
【★3】日本アイスクリーム協会Webサイト
当時のソーダの色がわかる資料は確認できませんでした。
詳しくは回答プロセスを参照してください。
- 回答プロセス
-
●クリームソーダの販売・流通の時期と色について
1.基本情報を確認する
1-1.JapanKnowledge [契約データベース]
<キーワード:クリームソーダ、アイスクリームソーダ、アイスクリーム、ソーダ水>
「クリーム‐ソーダ」(『日本国語大辞典』)
cream soda 「アイスクリームソーダ」の略。ソーダ水にアイスクリームを浮かせたもの。
*放浪時代〔1928〕〈龍胆寺雄〉一・二「クリームソオダがいいと云って」
*故旧忘れ得べき〔1935~36〕〈高見順〉四「クリーム・ソーダをつづけさまに彼女は二杯飲み」
「アイスクリーム‐ソーダ」(『日本国語大辞典』)
ソーダ水にアイスクリームを浮かせたもの。クリームソーダ。
*伸子〔1924~26〕〈宮本百合子〉六「彼らは資生堂でアイスクリームソーダを飲んだ」
「アイスクリーム」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
小項目「歴史」に次の記述あり。
「(前略)1869年(明治2)6月に横浜の町田房造(ふさぞう)が
馬車道通り常盤(ときわ)町五丁目で販売したのが最初で、その後1888年(明治21)に
東京・銀座の凮月堂(ふうげつどう)米津、1899年(明治32)に東京・銀座の資生堂が
発売するに及んで一般に普及し始めた。」
「ソーダ水」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
清涼飲料の一種。水に甘味料、香料、着色料で風味をつけ、二酸化炭素(炭酸ガス)を
溶解させた飲料。ソーダ水にフルーツシロップをあわせてつくることもある。
単にソーダともいう。炭酸水(プレーンソーダ)のことをソーダ水ともいう。
「資生堂(株)」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
「最大手の化粧品メーカー。1872年(明治5)海軍病院薬局長を辞した福原有信(ゆうしん)
(1848―1924)が東京・銀座に開業した資生堂薬局が始まり。1897年化粧水を発売して化粧品業へ
進出。1915年(大正4)息子の信三が経営者となって以来、主力を化粧品へ転換し、23年には業界
最初のボランタリー・チェーン・ストア制を採用して販売力の強化を図ると同時に、PR誌
『花椿(はなつばき)』を発刊して消費者を組織化した。(後略)」
1-2.レファレンス資料を確認する <分類:210(日本史)、383(衣食住の習俗)>
『日本食文化人物事典:人物で読む日本食文化史』(西東秋男編 筑波書房 2005.4 3838/S25-1)
p.271-272 「福原有信」
資生堂の創始者。
1902年(明治35)資生堂パーラーの前身ソーダ・ファウンテンを開業。
*次の資料では、該当情報を確認できなかった。
『昭和・平成現代史年表:大正12年9月1日~平成8年12月31日』
(神田文人編 小学館 1997.6 2107/KA51)
『昭和・平成家庭史年表:1926→2000』
(下川耿史,家庭総合研究会編 河出書房新社 2001.4 2107/KA85/イ)
『近代日本食文化年表』(小菅桂子著 雄山閣出版 1997.8 3838/KO89)
2.図書を確認する
2-1 OPAC検索
<キーワード:クリームソーダ、資生堂、明治、大正、流行、銀座、清涼飲料 など組み合わせ>
【★1】『クリームソーダ純喫茶めぐり』
p.42-45「資生堂パーラー銀座本店 サロン・ド・カフェ」
1902(明治35)年に日本で初めてのソーダ水と当時珍しかったアイスクリームの
販売がスタート。日本最初のクリームソーダの誕生と言われている。
p.45には「1928(昭和8)年頃のメニュー」の写真を掲載。
『資生堂百年史』(資生堂[編] 資生堂 1972.6 576/SH89-1)
p.76-79 「ソーダファンテン」
『銀座と資生堂 : 日本を「モダーン」にした会社』
(戸矢理衣奈著 新潮社 2012.1 5767/TO78)
p.45-66 ソーダファウンテンについての記載あり。
『銀座カフェー興亡史』(野口孝一著 平凡社 2018.2 67398/N93)
p.28-34 「資生堂飲料部」(ソーダファウンテン)
『日本橋・銀座の400年』(竹内誠監修 ミヤオビパブリッシング 2013.6 21361/TA67)
P.38-39「資生堂物語」
2-2.ブラウジング <分類:213(日本史-関東)、383(衣食住の習俗)、5類(技術)>
【★2】『西洋菓子彷徨始末:洋菓子の日本史 増補改訂版』
p.202-203「世紀節目のお菓子屋模様 アメリカの薬局にひらめいて」
資生堂の飲料部のことが掲載。1902(明治35)年にソーダ水にアイスクリームを
いれたクリームソーダ水を販売。
*次の資料では、該当情報を確認できなかった
『東京下町100年のアーカイブス』
(青木正美,西坂和行著 生活情報センター 2006.11 21361/A53)
『銀座 : 街の物語』(三枝進ほか文 河出書房新社 2006.1 213/S14)
『明治の東京』(馬場孤蝶著 文元社 2004.2 213/B12)
『銀座歴史散歩地図 : 明治・大正・昭和』(赤岩州五編著 草思社 2015.7 21361/A29)
『資生堂(コレクション・モダン都市文化)』(和田博文編 ゆまに書房 2006.5 2136/W12/17)
『カフェ(コレクション・モダン都市文化)』(和田博文編 ゆまに書房 2005.11 2136/W12/12)
『銀座のモダニズム(コレクション・モダン都市文化)』
(和田博文編 ゆまに書房 2004.12 2136/W12/1)
『アイスクリーム』食品加工シリーズ;1 (宮地寛仁著 農山漁村文化協会 1998.12 588/MI71)
『日本清涼飲料史』(東京清涼飲料協会編 東京清涼飲料協会 1975 588/TO46)
『資生堂という文化装置:1872-1945』(和田博文著 岩波書店 2011.4 5767/W12)
『明治ものの流行事典』(湯本豪一著 柏書房 2005.12 2106/Y97-1)
『暮らしの年表流行語100年』(講談社編 講談社 2011.5 2106/KO19)
2-3.Webcat Plus http://webcatplus.nii.ac.jp/
一致検索タブを選択 <キーワード:クリームソーダ△歴史>
『食に歴史あり : 洋食・和食事始め』(産経新聞文化部編著 産業経済新聞社 2008.3)
当館所蔵なし。GoogleBooksで試し読み可能。
アイスクリームとソーダ水の日本の歴史を簡単にまとめている。
3.論文を確認する
<キーワード:クリームソーダ、クリーム△ソーダ、資生堂、ソーダファウンテン など>
3-1.ざっさく プラス(雑誌記事索引集成)[契約データベース]
百瀬晋 "夏の飲みもの(壜詰飲料水とソーダ水・アイスクリームの色々・二つの型の混合飲料)"
新小説 30(8) p.98 1925[本学所蔵(マイクロフィルム)]
3-2.CiNii Articles https://ci.nii.ac.jp/ (2022/07現在 CiNii Research)
戸矢 理衣奈 "広告としての資生堂パーラー--交際様式の変容と「パーラー(洋間)」"
日本研究 40 p.277-317 2009[PDF]
ソーダ水について、「資生堂の赤い化粧水、と知られた「オイデルミン」のお土産を
つけたことから」と記述されている。参考文献多数あり。
4.新聞記事を確認する
<キーワード:アイスクリームソーダ、ソーダファウンテン、資生堂パーラー、ソーダ水、曹達水など>
4-1.読売新聞オンライン記事データベース ヨミダス歴史館[契約データベース]
“資生堂の曹達水”1902.7.30 朝刊 p.4
資生堂のソーダ水が提供されはじめたことを記載。
*次のデータベースでは、情報を確認できなかった
朝日新聞オンライン記事データベース聞蔵 II ビジュアル[契約データベース]
(2022/07現在 朝日新聞クロスサーチ)
5.Webサイトを確認する
<キーワード:アイスクリームソーダ、クリームソーダ、銀座、明治時代、資生堂 など組み合わせ>
5-1.【★3】日本アイスクリーム協会
「日本のアイスクリームの歴史」
明治35年(1902年)にソーダファウンテンでアイスクリームとアイスクリームソーダの販売を
始めたことを記載している。
TOP>アイスクリームBIZ>日本のアイスクリームの歴史INDEX>日本のアイスクリームの歴史
細野明義“アイスクリームの昔話-日本アイスクリームの黎明期を追って-“
p.43 資生堂がアイスクリームやソーダ水を供し、人気を博したことを記載。
TOP>アイスクリームBIZ>日本のアイスクリームの歴史INDEX>アイスクリームの昔話
5-2.資生堂企業資料館 https://www.shiseidogroup.jp/corporate-museum/
資生堂と日本の化粧文化の関わりなどについて紹介。創業から現在まで数十万点にのぼる社内資料を
一括集中管理している。
6.当時の流行色を確認する
調査の過程で以下の情報を発見
IYOKAN:愛媛地区共同リポジトリ https://opac.lib.ehime-u.ac.jp/
鮒田崎子,越智恵子“高畠華宵の絵にみる服飾表現”
愛媛大学教育学部紀要 第I部 教育科学 39(1) p.193-217 1992.9.30[PDF]
p.206 大正年間の着物の流行色 の表有り
金沢白鳥路ホテル山楽Webサイト https://sanraku.premierhotel-group.com/kanazawa/
「金沢・大正レトロ3色の金箔クリームソーダ12月8日(木)新発売のご案内」 2016.12.01ブログ
大正時代に流行した色、平和色(緑)、菫色(紫)、牡丹色(赤)のクリームソーダを
発売するという記事
TOP>ページ下部「公式ブログ一覧」>ページ右アーカイブより「2016年12月」>該当記事
- 事前調査事項
-
『東京・銀座私の資生堂パーラー物語』(菊川武幸著 講談社 2002.5 673/KI27)
資生堂グループ企業情報Webサイト https://www.shiseidogroup.jp/
- NDC
-
- 日本史 (210 10版)
- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 参考資料
-
-
【★1】難波里奈 著 , 難波, 里奈. クリームソーダ純喫茶めぐり. グラフィック社, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029108328-00 , ISBN 9784766131475 (当館請求記号:67398/N48-1) -
【★2】吉田菊次郎 著 , 吉田, 菊次郎, 1944-. 西洋菓子彷徨始末 : 洋菓子の日本史. 朝文社, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002337724-00 , ISBN 4886951155 (当館請求記号:38381/Y86/ア) - 【★3】日本アイスクリーム協会 https://www.icecream.or.jp/biz/history/index.html (アイスクリームに関する事柄、歴史などを掲載しているサイト)
-
【★1】難波里奈 著 , 難波, 里奈. クリームソーダ純喫茶めぐり. グラフィック社, 2018.
- キーワード
-
- クリームソーダ
- アイスクリームソーダ
- ソーダ水
- 資生堂
- ソーダファウンテン
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 歴史
- 質問者区分
- 院生
- 登録番号
- 1000275770