レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年05月25日
- 登録日時
- 2019/11/13 09:50
- 更新日時
- 2019/12/10 12:08
- 管理番号
- ASN2018-14
- 質問
-
解決
『時事新報』に掲載の記事を探している。
中戸川吉二と里見弴の絶交を伝える記事と、2日後に里見がその記事を取り消す文の記事の日付が知りたい。
【情報源】
国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/
『文壇は動く』(藤森淳三著 越山堂 1923(大正12) 書誌ID:000000589740 インターネット公開)
p.3-9 「弴氏と吉二君」
時事の6号で最近里見は中戸川に絶交状を送り、中戸川も同じく絶交状で答えた。
2日経ってから里見の取消文が出た、と記載。文末に“10年11月”とあり。
『時事新報目録 文芸篇大正期』(池内輝雄編著 八木書店 2004.12 071/I35)
「弴氏と吉二君」の初出は、"大正10年12月6日"と確認
『里見弴伝:「馬鹿正直」の人生』(小谷野敦著,中央公論新社, 2008.12 910268/S86)
p.147 11月中旬頃に中戸川から里見へ仲人を断る手紙を出しており、その中に絶交する事も記載。
『北村十吉』によると、「時事新報」に絶交の記事が掲載されたという記載あり。
- 回答
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『時事新報』に掲載された記事の日付は、次の通りです。
1.里見弴と中戸川吉二の絶交を伝える記事
掲載日付: 1921(大正10)年11月29日(13781号)
掲載箇所: 13面上部
2.里見弴と中戸川吉二の絶交を取り消す記事
掲載日付: 1921(大正10)年12月2日(13784号)
掲載箇所: 9面上部
「29日の本紙に、当方から中戸川氏へ絶交状を送った由の記事があるが、事実無根なので取り消ししたい」という旨の記事が掲載。
詳細は、回答プロセスを参照ください。
- 回答プロセス
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1.周辺事情(里見弴、中戸川吉二、時事新報)の確認
1-1. レファレンス資料 <分類:910(文学)>
『日本近代文学大事典 第2巻』(日本近代文学館編 講談社 1977.11 9103/N774/2A)
p.498 「里見弴」 明治21年7月14日生。小説家。
p.512 「中戸川吉二」
明治29年5月20日生。小説家。里見弴を兄事。大正9年に里見家に出入りしていた16歳の少女富枝を知り、
熱烈な恋愛に陥ったが、里見の反対にあい、絶交するに至る事件があった。吉二の『北村十吉』、
里見の『おせつかい』は、この事件をおのおのの立場から描いた作品。
JapanKnowledge [契約データベース] <キーワード:時事新報>
「時事新報」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
1882年(明治15)3月1日、福沢諭吉(ゆきち)が東京で創刊した日刊紙。
1905年(明治38)3月大阪に進出、『大阪時事新報』を創刊したが、関東大震災(1923年)被災後、経営が悪化。
1936年(昭和11)12月25日『東京日日新聞』に買収され、廃刊となった。
2.作品集・研究書から該当日を絞り込む <キーワード:里見弴、中戸川吉二>
2-1. OPAC検索
『中戸川吉二三篇』(中戸川吉二著;矢部登編 エディトリアルデザイン研究所 2000.5 9186/E22/3)
p.75 「中戸川吉二/年譜」 1921(大正10)年
里見弴から富枝との結婚を反対され、富枝とともに大阪へゆく。11月下旬に帰京し、
里見弴と絶交するに到る。このときの体験は長編小説『北村十吉』に書き記されている。
『中戸川吉二作品集』([中戸川吉二著];志村有弘,盛厚三編 勉誠出版 2013.6 91868/N43)
p.491 「中戸川吉二年譜」 1921(大正10)年
10月、再び富枝を連れ出し、大阪毎日新聞社に勤めていた野村治輔を頼って大阪へ行く。
『大阪時事新報』に「苦笑」を寄せ、その後二人は里見に絶好状を送り、11月下旬帰京。
次の資料では該当情報を確認できなかった。
『里見弴全集 第10巻』(里見弴著 筑摩書房 1979 91868/S86/10)
2-2. 国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/
『北村十吉』(中戸川吉二著 叢文閣 1922(大正11) 書誌ID:000000589577 図書館送信参加館内公開)
p.606-609 11月末、S氏への絶交状を出すシーンあり。
p.611-612 J新聞の文芸欄の隅にS氏と絶交したと書かれているシーンあり。
『明治大正小説とそのモデル』
(糸井武雄著 章華社 1926(大正15) 書誌ID:000000599260 図書館送信参加館内公開)
p.61-66 「北村十吉」 登場人物:北村十吉は作者中戸川氏、S氏は里見弴氏
以上により、該当日を1921(大正10)年11月中旬~12月上旬ごろに絞り込める。
3.『時事新報』の所在調査
3-1. CiNii Books https://ci.nii.ac.jp/books/
『時事新報』(時事新報社 NCID:AA11333350)
該当年の所蔵館 3館
3-2. 全国新聞総合目録データベース(NDLサーチ) https://iss.ndl.go.jp/
『時事新報』(時事新報社 [編] 時事新報社 1882-1936)
該当年の所蔵館 3館
4.[3]より所蔵機関へ参考調査
4-1. 里見弴と中戸川吉二の絶交を伝える記事について
次の情報を得ることができた。
掲載日付: 1921(大正10)年11月29日(13781号)
掲載箇所: 13面上部
4-2. 里見弴と中戸川吉二の絶交を取り消す記事について
次の情報を得ることができた。
掲載日付: 1921(大正10)年12月2日(13784号)
掲載箇所: 9面上部
「29日の本紙に、当方から中戸川氏へ絶交状を送った由の記事があるが、事実無根なので取り消ししたい」という旨の記事が掲載。
以上
<Web最終確認日:2019/11/13>
- 事前調査事項
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『時事新報目録 文芸篇大正期』(池内輝雄編著 八木書店 2004.12 071/I35)
『里見弴伝:「馬鹿正直」の人生』(小谷野敦著 中央公論新社 2008.12 910268/S86)
『中戸川吉二作品集』([中戸川吉二著];志村有弘,盛厚三編 勉誠出版 2013.6 91868/N43)
- NDC
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- 日本文学 (910 10版)
- ジャーナリズム.新聞 (070)
- 参考資料
- キーワード
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- 中戸川吉二
- 里見弴
- 絶交
- 取り消し
- 時事新報
- 照会先
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- 参考調査依頼先:東京大学 経済学図書館、駒澤大学 図書館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 新聞記事
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000265156