レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月16日
- 登録日時
- 2019/12/23 16:33
- 更新日時
- 2019/12/23 16:38
- 管理番号
- R-063
- 質問
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「和書」「和本」「和装本」「和古書」「古典籍」等、色々な名称があるが、それぞれ何か定義はあるか。また、「古」をつける時代の定義はあるのか。
- 回答
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○図書館としては「和古書」が一般的で、通常1868年で区切る。ただし、それぞれの立場や考え方で変わってくる場合がある。
○参考文献①②より、国立情報学研究所や国文学研究資料館においては、1868年で線を引き、それ以前のものを「和古書」としている。
○他の名称との兼ね合いについては参考文献③が参考になる。同辞書の定義では、「和書」「国書」は日本の書物、「和古書」はその中でも近世以前のもの。「和本」は「和装本」と同義で、洋装本・唐本、朝鮮本に対する語となる。「古典籍」は、古い書物の中で、内容や形態がすぐれているものを指し、学術的評価の用語としても使用される。
○参考文献④の橋口侯之介氏のような見解もあるが、「和古書」を図書館だけが使っているというのは極端かもしれない。
- 回答プロセス
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下記文献を調査し、記載内容を紹介した。
①国立情報学研究所のコーディングマニュアル(2019/12/20 確認)
「原則として、和古書は1868年以前、漢籍は1912年以前のものを和漢古書とする。」
②国文学研究資料館の館蔵和古書目録データベース(2019/12/20 確認)
和古書の範囲
「慶応4年以前に成立した著作の古典籍(写本・版本)」*慶応4年=1868年
③井上宗雄ほか編『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店、1999年)
「和書」(鈴木淳)の冒頭部分、「古典籍」(松野陽一)
「日本の書物。国書とも。漢籍、洋書等に対する用語で、和書と漢籍を併称して和漢書といい、とくに近世以前の和書を和古書とも称する。また和本も和書と同義に用いられることもあるが、通例は、装訂の上から洋本(洋装本)もしくは唐本、朝鮮本(韓本)に対して和装本の意味で用いられる。」
④橋口侯之介『和本入門』(平凡社、2005年)
「「有史以来、明治の初め頃までに日本で書かれたか、印刷された書物の総称」というのが、本書での和本の定義である」、「「和古書」「和装古書」といういいかたもあるが、これは図書館などが使うだけで一般的になっていない」(17頁)。「江戸時代から日本でできた本の総称として実際に「和本」と読んでいたことに注目して、わたしもこれを用いることにしたのである」(19頁)。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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国立情報学研究所のコーディングマニュアル「和漢古書に関する取扱い及び解説」
http://catdoc.nii.ac.jp/pdf/wakan_toriatsukai.pdf -
館蔵和古書目録データベース
http://base1.nijl.ac.jp/~wakosyo/ -
井上宗雄 [ほか]編 , 井上, 宗雄, 1926-2011. 日本古典籍書誌学辞典. 岩波書店, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002764402-00 , ISBN 4000800922 -
橋口侯之介 著 , 橋口, 侯之介. 和本入門 : 千年生きる書物の世界. 平凡社, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007989979-00 , ISBN 458283292X
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国立情報学研究所のコーディングマニュアル「和漢古書に関する取扱い及び解説」
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000271194