レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年09月24日
- 登録日時
- 2021/12/21 10:42
- 更新日時
- 2022/02/07 16:13
- 管理番号
- KYUA-0109
- 質問
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解決
梶井基次郎の『ある崖上の感情』で出てくる古代ギリシャの風習というものがどんなものかを詳しく知りたい。
またそれを調べた時に使ったツールや方法、調べ方の手順なども知りたい。
- 回答
-
今回のご質問は、授業、もしくは卒論のために調査されているものかと推察します。
単位を取得されるうえで、教員からはご自分で文献にあたって情報を収集し、まとめることも期待されているところかと思いますので、今回は具体的な回答は避け、調査方法のヒントや参考になりそうな文献の紹介に留めてお答えします。
青空文庫【資料1】で確認しましたところ、
『死者を納れる石棺のおもてへ、淫らな戯れをしている人の姿や、牝羊と交合している牧羊神を彫りつけたりした希臘人の風習』
ということですので、古代ギリシャの葬祭文化や彫刻美術に関する資料を探してみました。
【資料2】【資料3】
いずれも九大コレクション(蔵書検索)で「ギリシャ」「棺」「葬儀」「彫刻」「信仰」などの語句を
組み合わせて検索し、ヒットしたもののなかから、 現物の内容を確認して関連しそうな記述のあるものをピックアップしました。
上記は2冊とも中央図書館4階の4Aエリアのものですが、同じ4Aエリアや2階の研究用図書のほうでも、同分類のものが配架されているあたりを見てみると、さらに良い本が見つかるかもしれません。
ぜひご自身でも探してみてください。
ちなみに、Googleで「石棺 牧神 性交」と検索してみると、
早稲田大学で古代ギリシア・ローマ文学を研究している宮城徳也教授のブログがヒットします。
・フィレンツェだより 第2章「備忘録」 2019年4月14日
https://www.f.waseda.jp/tokuyam/fir.449.htm(2022/2/3確認)
「ディオニュソスの浮彫」の項に、作中の記述に近しい彫刻がなされた石棺が紹介されていました。
こちらの棺を展示しているナポリの国立考古学博物館の所蔵品図録や、この棺で描写されている場面「バッカナリア」「ディオニュソス」のことなどを調べてみると、より理解が深まるかもしれません。
- 回答プロセス
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・【資料1】で質問の該当箇所を確認
→『彼は古代の希臘の風習を心のなかに思い出していた。死者を納れる石棺のおもてへ、淫らな戯れをしている人の姿や、牝羊と交合している牧羊神を彫りつけたりした希臘人の風習を。』
・角川文庫【資料4】で上記該当箇所を確認
→脚注に牧羊神パーンに関する解説があるも、石棺彫刻の解説はなし
・CiNiiとNDLサーチで先行研究を調査
→『ある崖上の感情』関連、梶井と西洋文化、ギリシャの石棺等に関する論文等を想定
→石棺の様式に関する文献は複数あるも、彫刻の内容に関する手掛かりはなし
・九大コレクション(蔵書検索)で古代ギリシャの習俗・彫刻美術、葬祭や死にまつわる美術史等を中心に検索
→中央図書館4Aエリア、で該当分類のあたりをブラウジングし、ギリシャ人の信仰に関する資料と石棺彫刻に関する資料を1冊ずつピックアップ
・Googleで「石棺 牧神 性交」「ギリシャ 石棺 牧神」等検索
→早稲田大学 宮城徳也教授のブログ で本文の描写と一致する石棺が紹介されていたため、参考情報として併せて伝える
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (913 10版)
- 彫刻.オブジェ (71 10版)
- 古代ギリシア (231 10版)
- 参考資料
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【資料1】
梶井基次郎. ある崖上の感情.
https://www.aozora.gr.jp/cards/000074/card412.html(青空文庫) -
【資料2】
エルウィン・パノフスキー著 ; 若桑みどり, 森田義之, 森雅彦訳. 墓の彫刻 : 死にたち向かった精神の様態. 哲学書房, 1996.
http://hdl.handle.net/2324/1000445653 , ISBN 4886790623 -
【資料3】
フランソワ・シャムー著 ; 桐村泰次訳. ギリシア文明. 論創社, 2010.
http://hdl.handle.net/2324/1001494437 , ISBN 9784846008369 -
【資料4】
梶井基次郎. 檸檬. 角川書店, 2013.
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【資料1】
- キーワード
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- 古代ギリシャ
- 文明
- 風習
- 葬祭文化
- 彫刻美術
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 利用案内
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000309324