レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月29日
- 登録日時
- 2019/06/17 14:16
- 更新日時
- 2021/12/11 14:23
- 管理番号
- 長野市立長野-19-004
- 質問
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解決
戦前の紺屋(こうや)の工房の労働環境について
- 回答
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地域にもよるが、紺屋で働いている人は自分たちで藍を生産、加工(藍建)、藍染を行っていた。
そのためとても忙しかった。
- 回答プロセス
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当館検索システムのフリーワード「藍染」で検索。ヒットした資料を中心に書棚ををブラウジングする。
参考資料① p104に野洲の紺屋「目の回るような忙しさだった」と記述あり。
参考資料② p78に『「紺屋の白袴」というのは、他人のためばかりに忙しくして、自分のことをする暇のないたとえですが(以下略)』と記述あり。
参考資料③ p84に「江戸時代の終わりごろになって、インドで造られるインド藍(インディゴブルー)の精製されたものが輸入されるようになった(中略)そのようなインド藍に対抗するように一八五〇年代、ヨーロッパでは合成藍、つまり化学的に石炭のコールタールから造る藍が発明された。それらが明治時代になって日本に入ってくると、より大きな打撃を受けて、阿波藍の生産は衰退の一途をたどるようになる。」
また、p90に「出雲平野一帯には、明治時代の終わりごろに四十軒の紺屋があったという。この地方では、縁談がまとまると、娘を嫁がせる家では、近くの紺屋にさまざまな布を注文することになる。たとえば箪笥や長持などを覆うための油単(ゆたん)、風呂敷、夜着(やぎ)、蒲団などである。さらに、子どもが生まれれば、「湯上げ」も嫁の里であつらえる。」と記述あり。
参考資料④ p34に藍染の方法が掲載されており、p202には「紺屋の仕事は、日のあるうちは忙しい。」と記述あり。
参考資料⑤ p21に「蒅(すくも)作りの期間は約一二〇日から一四〇日をかける。北海道のような低温の地では、寝かせる期間を長くする必要があるのだそうだ。」また、p25に「藍の栽培中はどこにも行かない。特に蒅づくりに入ると一日一回は必ず見回るという。(中略)八月末に刈り取った一番藍が蒅になるのは翌年の一月である。」と記述あり。
p221に滋賀県野洲「広い甕場の藍甕は全部で六四個。藍染の最盛期にはこの全部に藍が建てられ、目がまわるほどの忙しさだったそうだ。」(※参考資料①と同じ紺屋を取材していた。)
p237に徳島県「昔は、六月は雨期で気温が安定しないので、染めはしなかった。その間は、道具の修理をしろといわれたもんです」と記述あり。
p260に「出雲の表紺屋は月に二軒婚礼の仕事の注文があると食べていけた、といわれたものである」これを踏まえて、p265に「こうした嫁入りの品々を表紺屋が染めるには、約一ヵ月を要した。孫が生れると聞くと、嫁の実家では孫を育てるのに必要な品を準備した」と記述あり。
参考資料⑥ p140~146に埼玉県草加市 「文政初年(一八一八)ごろ江戸神田紺屋町の染色業者が、火事で焼け出されたのを知り、職人たちを呼び寄せて型付紺屋を始め、後に晒業も始めたといわれています。(中略)明治末期から大正初期にかけて瀬崎の晒業の生産は全国の三分の一を占めるようになり、(中略)この好況は昭和初期まで続き、晒屋は大勢の職人をかかえ、朝の四時ごろから仕事を始め、夜の九時ごろまで働いたという。「草加の近在では、子どもを叱るときの嚇しに、“親の言うこと聞かない子は晒屋にやっちゃうよ”というのがあったんです。誰が見ても重労働だったんですね」と記述あり。
p272に名古屋市有松絞の藍染 「注文が多かった戦前は、朝六時から仕事を始め、昼食は二、三分ですませた。当然、休憩などはなかった」と記述あり。
参考資料⑦ p208戦後二十四、五年くらいまでは私の近在にも甕を建てた「紺屋」さんがあって(中略)こうした「紺屋さん」の藍甕はいつの間にか消えてしまった。など紺屋についての記載はあるが忙しさに関してはあまり触れていない。
また、インターネットで「染物 昭和 本」で検索したところ、参考資料⑧がヒットする。p200に「明治の初期はここら(注:埼玉県羽生市)に百五十軒ぐらい紺屋があって、(中略)手を青く染めた職人は働き者で収入も多かったから、嫁に行かすならそういう人へ、なんて話もあったそうです」と記述あり。
参考資料⑨ p35に藍染工場の写真(撮影年不明)が掲載されている。
参考資料⑩ p7に藍染中の写真(撮影年不明)が掲載されており、またp125に紺屋の説明がされている。
以上10冊を案内し終了とした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 染織工芸 (753)
- 工芸 (750)
- 染料 (577)
- 参考資料
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- ①『染織の美 18』京都書院 1982 <753セ>
- ②『日本の藍』日本藍染文化協会/編 日本放送出版協会 1994.03 <753ニ> , ISBN 4-14-080159-X
- ③『日本の色を歩く』吉岡 幸雄/著 平凡社 2007.10 <753ヨ> , ISBN 978-4-582-85396-4
- ④『匠の姿 Vol.1』出山 健示/文 二玄社 1999.05 <750テ1> , ISBN 4-544-02024-7
- ⑤『藍』竹内 淳子/著 法政大学出版局 1991.02 <577タ> , ISBN 4-588-20651-6
- ⑥『藍 2』竹内 淳子/著 法政大学出版局 1999.10 <577タ2> , ISBN 4-588-20652-4
- ⑦『染織の旅』鈴田 照次/著 芸艸堂 1981 <753ス>
- ⑧『宮本常一とあるいた昭和の日本 21』田村 善次郎/監修 農山漁村文化協会 2011.08 <382ミ21> , ISBN 978-4-540-10221-9
- ⑨『藍染と唐草模様』堀江 勤之助/著 中日出版社 1978.07 <753ホ>
- ⑩『草木染の事典』山崎 青樹/著 東京堂出版 1981.03 <R753ヤ> , ISBN 4-490-10140-6
- キーワード
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- 紺屋
- 藍染
- 染織工芸
- 染料
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000257575