レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月20日
- 登録日時
- 2016/02/25 15:44
- 更新日時
- 2018/11/22 19:56
- 管理番号
- 長府-2015122001
- 質問
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解決
長府には蚕発祥(伝来)の地として「蠶種渡来之地」の石碑があるが、日本各地にも蚕伝来の地を主張している場所があると聞いた。それがどこかわかる資料は無いか。
- 回答
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忌宮神社発行の『忌宮』にある「蚕種祭」の解説によると、長府が蚕種渡来の地とされたのは『日本三代録』に「帯仲彦(仲哀)天皇の四年帰化入朝し、珍宝蠶種等と献奉ると」とあり、秦の始皇帝の子孫、功徳王(功満王とも)が豊浦宮へ入朝し、仲哀天皇に献上したとされることによる。
歴史書の文献として、蚕の伝来が記されているのが最も古いため、長府が伝来の地として昭和8年12月2日、大日本蚕糸会により石碑が建立された。
しかしながら、『日本伝奇伝説大事典』によれば、『蚕の草子』とよばれる蚕の起源について述べている書物があり、「天竺の霖夷(りんい)大王と光契(こうけい)夫人の間に金色姫が生まれ、后の死後、後妻の后に妬まれ迫害を受ける。やがて常陸国豊浦に流れ着き、漁師に助けれらるが死亡してしまい、その遺体は蚕となった。」とされ、「金色姫伝説」として語り継がれている。
現在でも「蚕影山信仰」として各地に蚕に関する神社があり、日立市には総本山とされる「蚕影(こかげ)神社」がある。
このほか、京都にも関連地が多数あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 蚕糸業史.事情 (632 8版)
- 参考資料
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宮崎義敬 著 , 宮崎, 義敬, 1934-. 忌宮 : 長府祭事記. 忌宮神社, 1984. p.67~
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001741267-00 -
黒板勝美 編輯 ; 国史大系編修会 編輯 , 黒板, 勝美 , 国史大系編修会. 日本三代実録 後篇 新訂増補 普及版. 吉川弘文館, 1989. (国史大系) p.636
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I050686532-00 , ISBN 4642000097 -
武田祐吉, 佐藤謙三 訳 , 武田, 祐吉, 1886-1958 , 佐藤, 謙三, 1910-1975. 読み下し日本三代実録 下巻 (陽成天皇・光孝天皇). 戎光祥出版, 2009. p.459
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010613963-00 , ISBN 9784864030021 -
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第14巻 (やーわ). 吉川弘文館, 1993. p.334
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002273955-00 , ISBN 4642005145 -
布目順郎 著 , 布目, 順郎, 1914-2008. 養蚕の起源と古代絹. 雄山閣出版, 1997. p.66~
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002693304-00 , ISBN 4639003986 - 長府図書館∥編. 蚕種渡来地建碑関係資料. 長府図書館, 1933. (関門日日新聞の切り抜き)
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乾克己 [ほか]編 , 乾, 克己, 1929-. 日本伝奇伝説大事典. 角川書店, 1986. p.229
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001824191-00 , ISBN 4040313003 (金色姫伝説の記述) -
畑中章宏 著 , 畑中, 章宏. 蚕 : 絹糸を吐く虫と日本人. 晶文社, 2015.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026955923-00 , ISBN 9784794968999 -
伊藤智夫 著 , 伊藤, 智夫, 1922-. 絹 1. 法政大学出版局, 1992. (ものと人間の文化史 ; 68-Ⅰ)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002186465-00 , ISBN 4588206818
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宮崎義敬 著 , 宮崎, 義敬, 1934-. 忌宮 : 長府祭事記. 忌宮神社, 1984. p.67~
- キーワード
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- 蚕
- 蚕糸業
- 歴史
- 忌宮神社
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000188559