レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年01月23日
- 登録日時
- 2021/02/19 15:58
- 更新日時
- 2021/06/17 17:05
- 管理番号
- 739
- 質問
-
解決
ア)漢字の「王」と「玉」の違いを知りたい。象形文字としての違い。なぜ違うのか。
イ)なぜ中国では「玉」が珍重されるのか
- 回答
-
下記のとおり回答した。
ア)
①『大漢和辞典 7』諸橋 轍次 著 大修館書店 1967(兵庫県立図書館請求記号:813.2/5/7)
p780 玉 「解字 象形。三は三玉の連る形に、|は貫く紐に象る。即ち佩玉の象形。」
「参考 ○一玉の字、古は王に作る。三画の間隔を等しく書く。帝王の王の字が中画を上に近く
p818 王 「解字 旧説によれば、指示。三と|の合字。三は天地人に象り、|はこの三者を貫くの意を示し、以て天地人を貫き有するもの、即ち天子の意を表わす。」
②『常用字解』白川 静 著 平凡社 2012.10(811.2/109)
p37 王 「象形。大きな鉞(まさかり)の頭部の形。柄を付けた全体の形は戉(えつ) (鉞(えつ))である。…それは王のシンボル(象徴)であるから、「きみ、君主」の意味となる。…」
p146 玉 「象形。三つの玉(ぎょく)を紐(ひも)で結び貫いた形。…」
③『漢字の語源 角川小辞典』 山田 勝美 著 角川書店 1975(822/2)
p72 王 「斧(おの)の形を表わす象形字。それが簡単化されて篆(てん)文(ぶん)の形になったが、「玉(ぎょく)」とちがうのは、もとは上部の二画が接近していて、等間隔ではないことである。」
p138 玉 「紐(ひも)で「たま」(乳白色の石)を三つ連結した形を表わした象形字。」
④『図説部首がわかる字源事典』新井 重良 著 木耳社 2007.3(821.2/77)
p105 玉 「『玉』の甲骨文は、玉片三~五片に紐を通したものを横から見た形を象ったもの。金文以後では、等間隔の三片に整理され、隷変で王と区別するための点が付されるようになる。この形以前、篆文などでは王の中央横線は上に寄せ、玉の等間隔とは区別されていた。…」
p105 王 「…人が両手を真横に挙げ、足も大きく開き、大地に雄々しく立つ姿の正面形を象ったもの。人々の前に、君臨する王の意を表している。」
イ)
②『常用字解』白川 静 著 平凡社 2012.10(811.2/109)※再掲
p146 玉 「…古代の人は、堅くて光沢のある玉に生命的な力、霊の力を借りようとしたようで
あった。玉には霊が乗り移ると考えたからである。…」
⑤『中国古玉の研究』林 巳奈夫 著 吉川弘文館 1991.2(222.03/32)
p1 序 「…「玉」は中国の古い字書に、石の美しいもので五つの優れた徳性…を持ったもの、と定義される。…中国人の「玉」に対する愛着は、…「玉」を身に着け、手で触れることによって健康、幸福が得られる、という根強い信心が形を少しずつ変えながらも存続したことによるものであった。」
⑥『岩石と宝石の大図鑑 岩石・鉱物・宝石・化石の決定版ガイドブック』ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著 誠文堂新光社 2007.4(459/31)
p280 ネフライト 「古代中国のジェード彫刻 古代中国ではジェードは玉(ユー)とよばれ、“陽”あるいは“宇宙のエネルギー”を具現化したものであり、それゆえに命を与える力を宿していると思われていた。ジェードは支配権力の物質的表現として、社会秩序の形成にも役割を担っていた。…」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (81)
- 中国語.その他の東洋の諸言語 (82)
- 鉱物学 (459)
- 参考資料
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諸橋轍次 著 , 諸橋, 轍次, 1883-1982. 大漢和辞典 巻7. 大修館書店, 1967.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001095637-00 -
白川静 著 , 白川, 静, 1910-2006. 常用字解 第2版. 平凡社, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024006991-00 , ISBN 9784582128109 -
山田 勝美 著 , 山田‖勝美(1909生). 漢字の語源 10版. 角川書店, 1975. (角川小辞典 ; 1)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045262848-00 -
新井重良 著 , 新井, 重良. 図説部首がわかる字源事典. 木耳社, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008469481-00 , ISBN 9784839319106 -
林巳奈夫 著 , 林, 巳奈夫, 1925-2006. 中国古玉の研究. 吉川弘文館, 1991.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002097345-00 , ISBN 4642076727 -
ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 著 , 青木正博 訳 , Bonewitz, Ra , 青木, 正博, 1948-. 岩石と宝石の大図鑑 : 岩石・鉱物・宝石・化石の決定版ガイドブック. 誠文堂新光社, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008490061-00 , ISBN 9784416807002
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諸橋轍次 著 , 諸橋, 轍次, 1883-1982. 大漢和辞典 巻7. 大修館書店, 1967.
- キーワード
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- 玉
- 王
- 象形文字
- 中国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000294001