レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年03月28日
- 登録日時
- 2019/05/21 16:02
- 更新日時
- 2019/05/30 13:42
- 管理番号
- 県立長野-19-003
- 質問
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解決
「南総里見八犬伝」に関東公方が出てくるが、関東公方の支配地域はどこになるか。
- 回答
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「南総里見八犬伝」の著作者である滝沢馬琴が、歴史考証をして「関東公方」を設定したかはわからない旨を伝え、室町時代の「関東公方」の管轄地域については次の資料に記されていることを紹介した。
『国史大辞典 3』国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1983【210.03/コク/3】p.542 「鎌倉公方」の項に、「室町幕府が関東の重要性を考慮して設置した鎌倉府の主帥。鎌倉御所・関東公方・関東御所ともいう。(中略)鎌倉府の主帥ははじめ関東管領とよばれたが、基氏が将軍の弟であり、関東十ヶ国を統括して兵馬の権を有したため、鎌倉府は関東幕府、基氏も左武衛将軍・鎌倉御所・関東御所ともいわれた。やがて将軍を公方とよぶ慣習が関東にも及び、主帥を鎌倉公方・関東公方、執事を関東管領と称するようになった。」とある。
また、同書p.884の「関東」の項にも、「(前略)室町時代に相模以東の東海道六ヵ国と上野・下野を坂東(足柄峠以東の意味)あるいは山東(碓氷峠以東の意味)といっており、関東管領の場合の関東は関八州のことではなく、箱根以東の八ヵ国と伊豆・甲斐を合したものであり、関東の内容はかなり漠然としたものであった。(中略)関東にも、関八州をさす狭義の場合と、もっと広義の、関東郡代の管轄地域のように関八州のほか甲信駿遠地方を含む広域概念として用いられる場合とがあった。」とある。
さらに、『日本中世史事典』阿部猛編 朝倉書店 2008【210.4/アタ】p.448-449の「鎌倉府」の項に、「室町時代、東国の統治を目的に設置された機関。管轄地域は関東八か国に加え甲斐・伊豆の十か国とされるが、信濃を含むという説もある。(後略)」とあった。
- 回答プロセス
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1 「南総里見八犬伝」は江戸時代の作品だが、舞台となっている時代を確認する。『日本古典文学大辞典 第4巻』日本古典文学大辞典編集委員会 岩波書店 1984【910.2/ニホ/4】p.571- の梗概により、書き出しは嘉吉元年(1441)の室町時代中期とわかる。
2 まず、『国史大辞典』で「関東公方」を引くと、「鎌倉公方」を案内される。この二つはほぼ同義とみてよいと思われる。あわせて、「関東」「鎌倉府」も検索ワードとする。
3 室町時代のことなので、NDC分類 210.4の棚で『日本中世史事典』を調べる。
<その他調査資料>
・『関東公方足利氏四代』田辺久子著 吉川弘文館 2002【288.3/タヒ】
・『室町幕府の東国政策』杉山一弥著 思文閣出版 2014【210.46/スカ】
・『鎌倉武家事典』出雲隆編 青蛙房 2005【210.42/イタ】
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 8版)
- 参考資料
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- 国史大辞典編集委員会編. 国史大辞典 第3巻. 吉川弘文館, 1983. (【210.03/コク/3】p.542, 884)
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阿部猛, 佐藤和彦 編 , 阿部, 猛, 1927-2016 , 佐藤, 和彦, 1937-2006. 日本中世史事典. 朝倉書店, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009920103-00 , ISBN 9784254530155 (【210.4/アタ】p.448-449)
- キーワード
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- 関東公方
- 鎌倉公方
- 関東
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000256238