レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月25日
- 登録日時
- 2020/05/26 12:59
- 更新日時
- 2020/05/26 14:09
- 管理番号
- 9000028006
- 質問
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解決
甲州もろこしの栽培の歴史について
- 回答
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「甲州もろこし」がいつから栽培されたか起源ははっきりしないが、『47都道府県・地野菜 伝統野菜百科』や『山梨郷土史年表』によると、「1861年」には栽培されていたと思われる。後者には「小立村(河口湖町)で初めてトウモロコシが栽培され大枡4斗5升の収穫があった」という記事が確認できた。
他甲州もろこしの栽培に関する資料は以下のとおり。
・『47都道府県・地野菜 伝統野菜百科』(成瀬宇平・堀知佐子著丸善2009年)
「甲州もろこし」(148p):「文久元年(1861)頃にはすでに栽培していたと推定されている。」とあるが、典拠不明。
・『都道府県別地方野菜大全』(タキイ種苗株式会社出版部編集 農山漁村文化協会 2002年)
「甲州もろこし」(98p):「とうもろこしがいつごろから富士北麓地域に入ってきたかははっきりした資料が得られない。」
・『山梨郷土史年表』(山梨郷土研究会編 山梨日日新聞社 1981年)
「1861年」(142p):「小立村(河口湖 町)で初めてトウモロコシが栽培され大枡4斗5升の収穫」とあり。出典「外川六右衛門記録」。ただしこの「外川六右衛門記録」の詳細は不明。
・『山梨県市郡村誌 南都留郡/北都留郡』復刻(島崎博則編 歴史図書社 1972年)
南都留郡「第弐百十三 巻 小立村誌」(53p)
「第弐百拾巻 西湖村誌」(24p)「長濱村誌」(30p)
「第弐百拾壱巻 鳴澤村誌」(41p)
「第弐百拾弐巻 勝山村誌」(47p)
「第弐百弐拾七巻 忍野村誌」(238p)
北都留郡「第弐百三拾五巻 冨濱村誌」(99p)
「第弐百四拾五巻 小菅村誌」(224p)
それぞれの村の物産の項に「玉蜀黍」あり。
・『トウモロコシの世界史』(鵜飼保雄著 悠書館 2015年)
「甲州種」についての記述あり。
(263p):「つくりやすい品種で九州から蝦夷地まで広く栽培された」
(270p):小冊子『玉蜀黍の作り方』(1940)で推奨された飼料用・食用の品種の一つが甲州種。
・『甲斐路ふるさとの特産』(山梨県編 山梨日日新聞社 1983年)
「山梨のスイートコーン」(96-98p)
:「県農業試験場の記録によると、具体的な奨励指導が行われたのは、昭和二年に在来種の中から系統選抜したものに「甲州十五号」と名付けて県下各地に普及したというのがあり、…」
「…食糧の安定が確保されるに従って「甲州種」の生産が減少した。」
・『富士吉田市史』民俗編第1巻(富士吉田市 1996年)第5章第2節2
「食料」「トウモロコシ(500p):明治初年に移入が考えられ、つくられていた品種の一つが「甲州モロコシ」。
・『甲州食べもの紀行』(山梨県立博物館 2008年)
「食べ物の宝庫・山梨」(92-95p)
:上野原市西原地区の雑穀についての記述の中に、トウモロコシの記述も見られ、甲州モロコシを炭火で焼いている写真が掲載。
「論考2 山梨の食文化を記録した歴史資料について」(120-141p)
:山梨県史や市町村史、刊本や原資料などでみられた食べ物の記録の一覧表あり。「もろこし」「玉蜀黍」が見られる
・『村落生活と習俗・慣習の社会構造』(上村正名著 御茶の水書房 1979年)
第10章「農業」(313-314p):トウモロコシの記述あり。種まきなど作業の時期等について記述
第21章の「食生活」第1節「たべ物」(653-664p):トウモロコシの記述が散見。
・『南中部の生業』1(明玄書房 1980年)
「畑作」「④定畑」「トウモロコシ」(21p):明治20年頃駿河から移入
参考:同ページには「モロコシ」もあり、赤・黒モロコシについて記述。
- 回答プロセス
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1.レファレンス検索「もろこし」:非公開データ「山梨の伝統野菜(在来種)の一覧はないか」より。『都道府県別地方野菜大全』に、『山梨郷土史年表』の1861年に玉蜀黍栽培の記録があること、『山梨県市郡村誌』の小立村の物産の項に「玉蜀黍」の名がみえるとある。
2.蔵書検索「もろこし」×地域資料:該当資料なし
3.郷土料理関係の図書K(Y)38・K(Y)59から確認。
『甲州食べもの紀行』に「資料に記録された食べ物」の県史・市町村誌等掲載資料一覧掲載
4.一般資料でとうもろこしの本調査。
日本への伝来が最も古い南西経路で天正年間との記述あり。
『トウモロコシの世界史』には「甲州」種の普及や奨励の記述あり。
5.調査中に確認できた出典・参考資料を調査
『山梨郷土史年表』の典拠「外川六右衛門記録」とあるが詳細不明。
『山梨県市郡村誌』の小立村誌他郡南都留郡の村々の物産を調査。「玉蜀黍」と記載した村を確認。
6.南都留の市町村誌調査
『富士吉田市史』民俗編に記載あり
- 事前調査事項
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http://www.yasaidate.com/(山梨の伝統野菜/山梨の伝統野菜:甲州もろこし/)
http://npo.fruits21.net/kousyumorokoshi/(NPO都市農村交流支援センター/甲州もろこし復活プロジェクト)
- NDC
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- 食用作物 (616 10版)
- 参考資料
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成瀬宇平, 堀知佐子 著 , 成瀬, 宇平, 1935- , 堀, 知佐子. 47都道府県・地野菜/伝統野菜百科. 丸善, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010628024-00 , ISBN 9784621082041 (p.148) -
タキイ種苗株式会社出版部 編 , 芦澤正和 監修 , 芦沢, 正和, 1930- , タキイ種苗株式会社. 都道府県別地方野菜大全. 農山漁村文化協会, 2002.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003988603-00 , ISBN 4540021567 (p.98) -
山梨郷土研究会 編 , 山梨郷土研究会. 山梨郷土史年表. 山梨日日新聞社, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001546763-00 (p.142) -
島崎 博則/編 , 島崎‖博則. 山梨県市郡村誌 復刻. 歴史図書社, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005544887-00 (南都留郡p.24,30,41,47,53,238 北都留郡p.99,224) -
鵜飼保雄 著 , 鵜飼, 保雄, 1937-. トウモロコシの世界史 : 神となった作物の9000年. 悠書館, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026046089-00 , ISBN 9784865820003 (p.256,257,263,270) -
山梨県/編集 , 山梨県. 甲斐路ふるさとの特産. 山梨日日新聞社, 1983. (ふるさと自慢シリーズ ; 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005543105-00 (pp.96-98) -
富士吉田市史編さん委員会 編 , 富士吉田市. 富士吉田市史 民俗編 第1巻. 富士吉田市, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002538014-00 (pp.339-341,p.500) -
山梨県立博物館 編 , 山梨県立博物館. 甲州食べもの紀行 : 山国の豊かな食文化. 山梨県立博物館, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010690429-00 (pp.68-71,91,93-94,131-137,139) -
上村正名 著 , 上村, 正名, 1942-. 村落生活と習俗・慣習の社会構造. 御茶の水書房, 1979. (村落社会構造史研究叢書 ; 第6巻)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001407234-00 (pp.309-311,313-314,653-664) -
小林豊子 [等]著 , 小林, 豊子, 1927-. 南中部の衣と食. 明玄書房, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001218921-00 (p.48,53)
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成瀬宇平, 堀知佐子 著 , 成瀬, 宇平, 1935- , 堀, 知佐子. 47都道府県・地野菜/伝統野菜百科. 丸善, 2009.
- キーワード
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- 甲州もろこし
- もろこし
- とうもろこし
- 伝統野菜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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伝統野菜・地方野菜まとめ~全国の伝統野菜・在来野菜の認知を上げよう~
http://www.yasaidate.com/
甲州もろこし復活プロジェクト
http://npo.fruits21.net/kousyumorokoshi/
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000282426