下記の資料に、飯坂小唄の歌詞「まわらんしょ」について記載が見つかりました。
1.『福島県の方言 方言は生きている』 小林金次郎/著 西沢 1972
p.40-41「14 寄ランショ 来ランショ」
飯坂小唄の「寄ランショ 来ランショ 廻ランショ」の部分について、以下の記載があります。
「このコトバの意味は、寄ランショ(お寄りなさい)来ランショ(お出でなさい)廻ランショ(立寄っていってください)などを言うのですが、この「○○ランショ」と言うのは、飯坂小唄からはじまったのではなくて、ずっと昔から福島地方の方言であったのです。」
この他「ショ」の用例等についても解説があります。詳しくは資料をご確認ください。
p.67 「敬語のいろいろ」に「ナンショ・クダッショ(なさい・くださいの意味)」の記載あり。
p.196 「福島県の方言辞典」(p.140-238)中の一項目として、「なんしょ(丁寧)」の記載があります。
意味:「下さい」 用例:「お休みなんしょ(お休みなさい)」 地域は県北地方、中通り地方、会津地方 と記載されています。
2.『誰にでもわかる福島県の方言』 福島郷土文化研究会/編 歴史春秋出版 1986
p.4 「はじめに」(p.3-5)の中に以下の記載があります。
「飯坂温泉から生まれた「飯坂小唄」のはやし(囃子言葉)に、次の言葉が出て来ます。
寄らんしょ
来らんしょ
まわらんしょ
「寄らんしょ」とは「お寄りなさい」。「来らんしょ」とは「お出でなさい」。「まわらんしょ」とは「そちこちおよりください」と言う意味で、それも県北地方の丁寧な言葉、実にふるさとの方言なのです。」
p.31 「相手をうやまう言葉のいろいろ」に「~なさい、してくださいの意味をもつナンショ、クダッツショ」の記載あり。
また、「福島県方言集成」の中の、県北、県中、会津に「なんしょ(丁寧)」の項があり、以下の通り記載されています(p.146、197、281)。
方言:「なんしょ(丁寧)」 意味:「下さい」 用例:「お休みなんしょ(お休みなさい)」
方言については、下記の資料3にも記載がありました。
3.『福島県方言辞典』 児玉卯一郎/著 岳陽堂書店 1992
p.246 「ナンショ」
品詞:【助動】 標語:「下さい」 用例:「休みなんしょ」 地方:「北中会」
p.313 「マワル」
品詞:【動】 標語:「立寄る」 用例:「友だちの家まわて行ぐからね」 地方:「北中南会浜」
また、下記の資料には飯坂小唄の歌詞の記載がありました。
歌詞の「まわらんしょ」の部分については、いずれも「廻らんしょ」と表記されています。
4.『今昔福島の歌 万葉集の歌から現代の歌まで ふくしま郷土文化シリーズ』 小林金次郎/著 ふくしま郷土文化研究会 1981
口絵写真12、p.124-125に歌詞の一部、p.156に歌詞の全文あり
5.『飯坂の史蹟を語る』 菅野円蔵/著 飯坂温泉観光協会 1968
p.78-79に歌詞、p.80に楽譜あり
6.『飯坂温泉を語る』 飯坂町公民館観光部/編 飯坂温泉観光協会 1954
p.15-16に歌詞、p.16に楽譜あり