当館の資料で「えご」について記載があったものをご紹介します。
1.『日本の食生活全集 7』 農山漁村文化協会 1987
会津盆地の食 Ⅲ季節素材の利用法 3海産物と淡水の魚貝 (2) 海草の利用 に「えご」あり
p51 「海草はこんぶ、とろろこんぶ、わかめ、ひじき、えご草(えご)などを食べている。(中略)えごは、もの日につくって食べる。酢醤油で食べるが、磯の香りもあり、さっぱりした味である。~」
福島の食とその背景 に「えご」あり
p351 「干した海草を煮て器に流し固めたこんにゃく状のえごは、阿賀野川中流域において、盆、正月、冠婚葬祭につくられ、しょうが醤油、からし醤油、酢醤油で食べる。これも会津特有の料理である。」
2.『豊かな心が育んだ会津の郷土食』 星孝光/著 星孝光 1994
「えご」として項立てされています。(p45~48) p48は作り方です。 部分的に抜粋すると以下のとおりです。
「“えご”或いは“えごねり”と地方で呼んでいる珍しい食がある。」
「しかし、同じ会津でも南会津地方に住む人にとっては聞いたことも見たこともない、なじみのうすいものである。」
3.『嫁ぐ娘に会津の郷土食』 星 孝光/著 星孝光 1998
p86~87 えご
これによると会津若松市と南会津地方では知られていないとのこと。
4.『ふるさとの味、祖母の味』 福島県農業協同組合中央会 1980
p108 えご あり
作り方がメインです。食べられた地帯として高郷村(現在は合併して喜多方市)とあります。また、「仕上がったものは味噌漬けにしてもよい」とあります
5.『古文書にみる会津藩の食文化』 平出 美穂子/著 歴史春秋出版 2014
p113 会津藩領の名物一覧表 には「えご」なし。
6.『21世紀に残すふくしまの味』 福島民報社/編 福島民報社 1999
p34 えご
「主として、冠婚葬祭の時に河沼・耶麻地方で古くから作られています。」
7.『会津の郷土料理』 平出 美穂子/著 歴史春秋出版 2008
p41 えごの辛し醤油添え あり。
「塩川町にある阿賀野川の船着き場から塩川町を境界として北側(喜多方方面)と、西側(山都・西会津方面)でしか食べることができない「えご料理」です。明治時代以後になると、新潟からきた行商のおばさんたちが売り歩いた言われています。」(“売り歩いたと”の間違いかと思われますがそのまま抜粋します)
8.『西会津町史 第6巻 上 民俗』 西会津町史編さん委員会/編 西会津町史刊行委員会 1991
p212 第3章 第2節 交通・交易 1交通 (4)河川運送
阿賀川の舟運送 の項に「阿賀川舟運の主な荷物は(中略) 津川から会津に入る荷物は海産物・塩・綿布・太物などであった」
p234 第3章 第2節 交通・交易 2交易 (2)行商
昭和20年の旅館の宿泊帳に 新発田市の乾物商 あり。
p293~295 第4章 第2節 食 (8) コヅユとエゴ
「材料のエゴ草は新潟方面から来る行商から買求めて保存しておく。」
9.『塩川町史 第7巻 民俗・文化編』 塩川町教育委員会/編 塩川町 2005
第3章 第3節 食の生活
「えご」なし
第5章 第1節 正月の行事 「えご」なし
第5章 第3節 夏の行事 (4)8月の行事 お盆の部分に「えご」なし
10.『会津高郷村史 3 民俗編』 高郷村史編さん委員会/編 高郷村 2002
p56 第1章 第2節 食 2 ハレの食事と食習慣 1.年中行事の食事 のページに 「ハレの食事に欠かせないエゴ」と解説のついたえごの写真がありますが、本文中にえごについてかかれたところが見つかりませんでした。
p235 第3章 第2節交易 行商
「磐越線が開通すると、日本海の魚類や海草・干物などを肩や背にして売り歩くことを生業とする行商人が来るようになり重宝した。」
11.『山都町史 第3巻 民俗編』 山都町史編さん委員会/編 山都町 1986
p202 第4章 第2節 食物・食制
イゴ あり
「イゴは明治40年ころから見られたようである」
p460 第5章 第5節 交通・交易 2 交易
買い出し の項に “彼岸の時には油揚げ、花、イゴ (中略) 盆にはイゴ、~” とあり。
ただし、行事の解説ページにはイゴは見つかりませんでした。
12.『喜多方市史 第9巻 民俗』 喜多方市史編纂委員会/編集 福島県喜多方市 2001
第1章 第3節 食の民俗 3 特別の日の食 1年中行事と食
p76 盆 の項に “またエゴもつくられる。”
第1章 第3節 食の民俗 3 特別の日の食 6エゴ(p83~84)
「松山町村松の話者が昭和初年、慶徳村の祭りに行った時、エゴを出され羊カンと思って食べて口から出したという。当時、村松にはエゴはなかったことになる。話者によれば慶徳村から西でつくられていたという。現在では喜多方でもエゴが食べられ、材料のエゴノリは魚屋でも売られている。祝儀・不祝儀・祭り・彼岸などにエゴは食べられている。」
13.『幻のレストラン~西方街道・海と山の結婚式~』 矢部 佳宏/デザイン・編集 森のはこ舟アートプロジェクト実行委員会 2016
p8~9 二品目「海から来た山の食べもの」(えごねり、イカ人参、ニシンの山椒漬け)
「西会津では大凡全域で食べられるのですが、三島町に入りますと只見川を挟んだ北側ではよく食べられるのですが、南側へ行くと殆ど食べられなくなります」 ほかえごに関する解説あり。
p16 五品目「えご出汁櫃まぶし」
p17 六品目「えごデザート」
それぞれ作り方あり。
14.『「食」ふくしま新ふーど記』 福島民友新聞社 福島民友新聞社 2003
p104~105が「えご」 西会津町の料理として紹介。
「武士の時代から食べられていたという」 とあり。
15.『にしかた』 成城大学文芸学部文化史学科/編 成城大学文芸学部文化史学科 2004
p106 第6章 第1節 ケの食べ物とハレの食べ物 (3)特別な食べ物 ①エゴ
「西方ではハレの日に欠かせない食べ物である」「エゴは新潟の佐渡地方から伝わったもので」といった説明あり。
西方とは三島町にある地区です。
以上です。