レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年07月15日
- 登録日時
- 2011/09/20 13:41
- 更新日時
- 2011/12/08 18:31
- 管理番号
- 埼熊-2011-075
- 質問
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解決
フジモリ元大統領は日本国籍を持っていたように記憶しているが、南米のペルー共和国では二重国籍を認めているのか。国籍取得に関する決まりはどのようになっているのか。
- 回答
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ペルーの国籍とフジモリ元大統領の二重国籍について関係の記述のあった、以下の資料を紹介した。
『二重国籍』(国際結婚を考える会著 時事通信社 1991)
p219-220「国際結婚を考える会」が各国大使館に出した「重国籍者の取扱い」に関する質問に対するペルー共和国の回答(1989年4月17日)の掲載あり。
(p196-197 英語原文あり。)
「ペルーでは、両親の国籍にかかわらず、ペルーで出生した者はすべて、ペルーの国籍を取得することができます。」「法律条項(憲法に記載されている)によると、ペルー人と外国人の間に生まれた子は、ペルーの国籍を取得します。その子がペルー以外の親の国籍を取得するのは、その親の国の法律によります。(中略)ペルー国籍を喪失するのは、ペルー市民が自身の国籍を放棄する場合だけである、と考えられています。ですから、ペルー人と外国人の間に生まれて外国籍を持つ子は、外国の親の法律が特別の規定を定めていなければ、ペルーの国籍を持つことができます。」とあり。
※なお、この資料は日本国籍の取得に関する法的な手続きやその諸問題についても詳しい。
『現代外国人名録 2008』(日外アソシエーツ 2008)
p922〈フジモリ アルベルト【Fujimori Alberto】〉の項あり。
国籍「ペルー」とあり。「(2000年)12月日本国籍保有が明らかに。」という記述あり。
『フジモリ大統領とペルー』(芝生瑞和著 河出書房新社 1991)
p113「藤森謙也 (本籍)同前 生昭和13.7.28 スルコ・カレラ耕地 戸(主)直一 長男 届(け出)昭13.8.2二世」とあり。(同前は熊本県飽託郡河内村大字白浜17)
p116「アルベルトが生まれる一年前にペルーでは、日系二世を主たる対象として国籍登録無効法という「ペルー人」か「日本人」かの決断を迫るような法律が出ている。」とあり。
『フジモリ時代のペルー』(村上勇介著 平凡社 2004)
p135-145「 第1節 フジモリの生い立ちと人生経験」に、1938年にリマ総領事館に提出された「謙也」の出生届の記録あり。
p497-499 二重国籍問題について記述あり。旧国籍法には国籍選択の義務が規定されていない。現行国籍法では1985年以前に生まれた人々には重国籍の禁止などの規定は適用されない。附則の経過措置には1987年までに国籍を選択することを求め、「選択をしなかったフジモリは日本国籍を選択したと日本政府はみなしている」と日本の立場を説明。とあり。
オンラインデータベース等による調査
《ヨミダス歴史館》を〈フジモリ & 二重国籍〉で全文検索すると、10件ヒット。該当情報があったのは以下の2件。
『読売新聞 2000年12月9日 朝刊27面』
「米国やオーストラリア、ペルーをはじめとする南米諸国など伝統的に移民を受け入れてきた国々では出生地を国籍としています」
『読売新聞 2000年12月18日 朝刊9面』
「日本の国籍法改正(84年)以前から二重国籍者だったフジモリ氏には国籍選択の義務はなく、ペルーと日本両国の国籍保有は違法とは言えない」
《CiNii》を〈ペルー & 二重国籍〉で検索する。
上野靖著「みんな、二重国籍になって世界を拓こう:ペルーのフジモリ元大統領の復帰への意欲、隣国のエクアドルに「左派」政権誕生(南のポリティカ64)」(『ラティ-ナ 587』 ラティーナ 2003.1)
p48-50(2000年10月~11月初旬ごろ)「ペルーのカルデロン検事総長は、地元の有力紙『コメルシオ』に、「日本の法律は二重国籍保有者について、20歳でどちらかの国籍を選ばなければならないと明示していると指摘。さらに、外国で公職に就いた人物の日本国籍取得は厳しく禁じられているはずだ」として、「フジモリ氏を日本人として取り扱うべきではないとの見方を示した」ことを時事通信が日本に送信し、新聞各紙も取り上げた。」とあり。
- 回答プロセス
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その他、調査済み資料は以下のとおり。
『アルベルト・フジモリ:大統領へのしたたかな戦略』(淵上英二著 素朴社 1991)
『遙かな道:フジモリ大統領の母』(千野境子著 産経新聞生活情報センター 1992)
『ペルー遙かな道:フジモリ大統領の母』(千野境子著 中央公論社 1995)
上記『遙かな道』改題
『世界の憲法集』(阿部照哉編 畑博行編 有信堂高文社 1988)
ペルーの憲法は収載されていない。
『日本の参考図書 4版』(日本図書館協会 2002)
〈憲法〉の項 ペルーなし
『和訳各国憲法集』(衆議院法制局 1955)
『新解説世界憲法集 2版』(初宿正典編 辻村みよ子編 三省堂 2010)
『世界憲法集』(高橋和之編 岩波書店 2007)
『解説世界憲法集 4版』(樋口陽一編 吉田善明編 三省堂 2001)
『ペルーの日本人移民』(アメリア・モリモト著 今防人訳 日本評論社 1992)
- 事前調査事項
- NDC
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- 国際法 (329 9版)
- 参考資料
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- 『二重国籍』(国際結婚を考える会著 時事通信社 1991)
- 『現代外国人名録 2008』(日外アソシエーツ 2008)
- 『フジモリ大統領とペルー』(芝生瑞和著 河出書房新社 1991)
- 『フジモリ時代のペルー』(村上勇介著 平凡社 2004)
- 『ラティーナ 587』(ラティーナ 2003.1)
- キーワード
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- 国籍法
- Fujimori Alberto(フジモリ アルベルト)(1936-)
- ペルー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000091153