【1】三田藩の由緒書がどういうものであったか
①『三田藩の歴史』(資料A) p.53に「御家中由緒書」の項があります。ここには
“三田藩では「家臣由緒書」を延宝8年と嘉永6年の2度家臣が書いたものを藩庁に提出させている(中略)延宝の由緒書は侍1番組から3番組まで82名、嘉永の由緒書は同じく侍1番組から3番組まで76名の三田藩士・給人の由緒が綴られている。藩士に関する唯一の資料である。(中略)残りの侍2番組、侍3番組の由緒書はようとして消息がわからない。”と書かれています。
②『三田市史 第4巻 近世資料』(資料B) 第2章「藩政の展開」第2節「九鬼家家臣」のp.157には
“三田藩では寛文11年に家臣系譜を編さんし、次いで嘉永6年にも各家臣の由緒調査をしている。その際に家臣たちが家老九鬼兵庫へ提出するために作成した草稿が残っている。”というような内容が書かれています。
【2】三田藩の由緒書の解読されたものが見られる資料
①『三田市史 第4巻 近世資料』(資料B)
p.70~三田藩九鬼家家臣系譜
P.138~青山家、川面家、越賀家、疋田家の由緒書と解説
②『三田藩九鬼家諸士徒士、数代記・廃絶録』(資料C)
数十家ほどの諸家由緒と高田義久氏による解説(「六甲タイムズ」に連載されたもの)
他にもいくつかの資料に由緒書の解読されたものが入っていますが、それらは上記資料A~Cですべて御覧いただけます。
原本となる文書は特にどこかに集められているわけではなく、多くは各家に残っていると思われます。天岡家のものが兵庫県立美術館にあるとの情報はありましたが、現在も所蔵しているかどうかは分かりません。
【3】家系図について
①『三田市史 第4巻 近世資料』(資料B)p.54~
a.資料30号:「九鬼家伝系図」 寛永19年 三田地区九鬼家資料
b.資料31号:「九鬼系図」 年末詳 東京大学史料編纂所所蔵
c.資料32号:「摂津三田九鬼家譜」明治6年 東京大学史料編纂所所蔵
d.資料36号:「三田藩九鬼家臣系図」 享保期 東京都 深見氏所蔵(128家の由緒)
a.b.c.dとも、簡単な解説がついています。
②『三田藩九鬼家諸士徒士、数代記・廃絶録』(資料C)
各家の由緒書とともに、家系図も載っています。
資料A:『三田藩の歴史 九鬼氏代々の記録から知る摂津国』高田 義久∥著 井上 みち代∥編集 安倍 みき子∥監修 小川 貞昭∥監修 [高田 義久] 2014(113861322)
資料B:『三田市史 第4巻 近世資料』 三田市総務部総務課市史編さん担当∥編 三田市史編さん専門委員∥監修 三田市 2006(113045306)
資料C:『三田藩九鬼家諸士徒士、数代記・廃絶録』 高田 義久∥編 [三田市立図書館] 2009