レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年04月01日
- 登録日時
- 2021/04/26 11:01
- 更新日時
- 2021/04/28 17:14
- 管理番号
- 0131225374
- 質問
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解決
公民館で地元の“まちあるき”のための資料を作るため、上並榎町にある稲荷山古墳について調べたい。
古墳の形状、住所など正確な場所、など。また発掘された鉄製の遺物が国立歴史博物館に収蔵されていると、地元の人から聞いているが、この遺物がどこにあるかも知りたい。古墳自体はすでに壊されてしまって現存はしておらず、石棺の蓋だけが地元の寺に保存されている。
- 回答
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稲荷山古墳(上並榎町)は、上並榎町に存在していた古墳で、5世紀後半の築造と考えられています。
墳形は前方後円墳で、全長約120m、後円部径73m、前方部幅約66mと大型の古墳でしたが、1960年前後に耕地整理事業のため削平、消滅し、現在は住宅と道路になっています。
鉄製の出土品については、『上毛古墳総覧』や『高崎の散歩道 第8集』、『新編高崎市史 資料編1』で触れられていますが、国立博物館に収蔵されている点については明確な記述は見当たりませんでした。
以下、当館所蔵の参考資料になっています。
高崎の散歩道 第8集
室田街道 金井恒好著
護国寺境内散策
稲荷山古墳の石棺 p.44
“当時発掘されたその他の出土品は、東京の国立博物館に収蔵されていると伝えられている。”と記載あり。
六郷地区の古墳と文化財 田島桂男著 p.117-126
所在地は上並榎町字八反田186、187番地、天竜護国寺に稲荷山古墳から発掘された石棺の蓋が置かれている旨記載あり。
『上毛古墳総覧』、『群馬郡誌』を出典として、古墳について解説されている。
新編高崎市史 資料編1
第8図 高崎市域の主要古墳変遷 p.426-427
時代を縦軸、地域を横軸に古墳の変遷を図式化しており、古墳ごとの墳形と大きさをアイコンで表している。
28 上並榎稲荷山古墳 p.587-589
1 位置と環境
“1960年(昭和35)前後に実施された耕地整理事業により削平、消滅してしまったが(略)”と記載あり。
2 墳丘および外部施設
“地籍図による復原がなされ、全長約120m、後円部径73m、前方部幅約66mの規模が推定される。”と記載あり。
3 埴輪
4 内部主体
“近接する天龍護国寺に本古墳出土とされる刳抜式石棺の棺蓋が移転、保管されている”と記載あり。
5 副葬品
“石棺内から剣19,槍2、甲冑(具足と表現されている)数領、鉄鏃多数が出土したとの記録があるが現在ではその内容の正否を確認することはできない。”と記載あり。
6 まとめ
“(略)築造年代は5世紀後半と考えられる。”と記載あり。
第129図 上並榎稲荷山古墳地籍図および出土石棺
第130図 上並榎稲荷山古墳出土遺物
別冊付録
高崎No.16 p.26-27
上並榎町付近の地図に、古墳の形と大きさを表したアイコンが記載されている。
高崎市内古墳一覧
No.499 p.128
古墳名:稲荷山
総覧番号:六郷23
所在地:上並榎町八反田220他 [八反田186、187]
墳形:前方後円
規模(m):[111.0]
高さ(m):[後8.1]
主体部:舟形石棺(護国寺境内に蓋石を移設)
主体部出土遺物:[総]剣19、鉄鏃、具足3、甲冑
墳丘等出土遺物:円筒埴輪、形象埴輪
現状:削平(宅地) 前方部の南東に若干の畑地あり。
備考:1995年、発掘。 [総]出土品は護国寺及び高崎警察署保管。
群馬県遺跡台帳 2西毛編 p.62
No.586 稲荷山古墳
所在地地籍“八反田186,187”、現況“住宅、道路”と記載あり。
群馬県の遺跡 p.55
649 稲荷山
所在地“八反田186・187”と記載あり。
上毛古墳総覧 p.105
古墳番号:第23號
古墳名称:稲荷山
形状:前方後円
現状:桑畑
発掘の有無:明治25、大正2
所在地:上並榎 八反田 186、187
地目:畑
面積:22畝25歩、35畝23歩
規模:大きさ370尺、高さ後27尺
所有者:日枝神社
出土品:埴輪、剣19、具足3
備考:石祠有 石棺湟阯有 出土品護国寺及高崎警察署保管 群馬郡誌所載
上並榎稲荷山古墳(高崎市遺跡調査会報告書 第46号)
分譲住宅建設にさきがけて実施した1995年の発掘調査報告書。
まとめ部分(p.10)に“上毛古墳総覧は副葬品に大陸・朝鮮半島の影響を受けた金属製品が検出されたと記している。”と記載あり。
また、遺跡の位置図(第1図)や、周辺図(第2図)、明治29年の迅速図(第3図)、古墳の形のわかる旧公図(第4図)が掲載されている。
群馬県古墳総覧 本文一覧表編 第2版 p.108
337 上並榎稲荷山古墳
所在地:高崎市上並榎町八反田224外
現状:×
墳形:前方後方
規模:全長約120m
埋葬施設:竪穴系(舟形石棺)
総覧古墳番号:六郷村23
文化財指定:-
図番号:26
※“墳形:前方後方”は“前方後円”の誤植か?
群馬県古墳総覧 古墳分布図編 第2版 p.308-309
群馬県古墳分布図026
p.309右下の“337”が稲荷山古墳となる。
※後日、『公民館だより』が完成したとご連絡いただく。
- 回答プロセス
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当館内の市史担当と協同で調査にあたる。
まず『新編高崎市史 資料編1』にあたり、“28 上並榎稲荷山古墳”の参考資料として記載されていた次の資料にあたる。なお、同書別冊付録の高崎市内古墳一覧の“稲荷山古墳”部分にも参考文献が記載されているが、本紙と同一内容であった。
上並榎稲荷山古墳 高崎市遺跡調査会編(高崎市遺跡調査会報告書 第46号) 高崎市遺跡調査会 1996
上毛古墳総覧 (群馬県史跡名勝天然記念物調査報告書 第5輯) 群馬県 1938
群馬県遺跡調査報告 群馬県遺跡台帳作成委員会編集 群馬県教育委員会 1963
群馬県遺跡台帳2 西毛編 群馬県教育委員会 1972
- 事前調査事項
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『群馬県遺跡調査報告 群馬県の遺跡』は閲覧済み。
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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高崎市市史編さん委員会 編 , 高崎市. 新編高崎市史 資料編 1 (原始古代 1). 高崎市, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003650319-00 (当館資料番号 117118620) -
高崎観光協会 編 , 高崎観光協会. 高崎の散歩道 第8集. 高崎観光協会, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I080939194-00 (当館資料番号 110329224) -
スナガ環境測設 編 , スナガ環境測設株式会社. 上並榎稲荷山古墳 : 分譲住宅建設に伴う古墳周濠部の調査報告書. 高崎市遺跡調査会, 1996. (高崎市遺跡調査会報告書 ; 第46号)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002539513-00 (当館資料番号 117046714) -
群馬県史蹟名勝天然紀念物調査報告 第5輯 復刊版. 群馬地域文化振興会, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030291034-00 (当館資料番号 111004644) -
群馬県遺跡台帳作成委員会 編 , 群馬県遺跡台帳作成委員会. 群馬県の遺跡. 群馬県教育委員会, 1963.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I080696817-00 (当館資料番号 110320157) -
群馬県教育委員会 [編] , 群馬県教育委員会. 群馬県遺跡台帳 2 西毛編. 群馬県教育委員会, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001324691-00 (当館資料番号 110321379) -
群馬県教育委員会事務局文化財保護課 編 , 群馬県教育委員会. 群馬県古墳総覧 第2版. 群馬県教育委員会, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I086116702-00 , ISBN 9784903297255 (当館資料番号 117276980) -
群馬県教育委員会事務局文化財保護課 編 , 群馬県教育委員会. 群馬県古墳総覧 第2版. 群馬県教育委員会, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I086116702-00 , ISBN 9784903297255 (当館資料番号 117277004)
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高崎市市史編さん委員会 編 , 高崎市. 新編高崎市史 資料編 1 (原始古代 1). 高崎市, 1999.
- キーワード
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- 上並榎稲荷山古墳
- 高崎市-歴史
- 照会先
- 寄与者
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- 市史担当
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000297567