レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年08月03日
- 登録日時
- 2014/03/08 13:48
- 更新日時
- 2014/03/08 13:48
- 管理番号
- tr306
- 質問
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解決
明治36年頃の、東京-日光間の鉄道事情が知りたい。路線名、時間、運賃が分かるだろうか。また、上野を18時に発って、その日のうちに桐生に着くルートは、小山経由だったのか、前橋経由だったのかも知りたい。
- 回答
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○鉄道の路線名について
『日光市史 下巻 近現代・民俗』の「第4章 第3節 鉄道の開通」(p229-238)によると、まず明治19年6月※に上野‐宇都宮間が開通しています。当時、この線路は「日本鉄道会社」という私設鉄道会社が運営していました。そして、宇都宮‐日光間も、日本鉄道会社が建設・経営を引き受け、明治23年5月に開通しています。
路線の正式名称は明記されていませんが、『栃木県鉄道史話』には、上野‐宇都宮間の路線は「日本鉄道二区線」(p41)、宇都宮‐日光間の路線は当時の新聞等の資料から「日光鉄道」(p162)「日光鉄道技線」(p165)などの表記がありました。(「日本鉄道一区線」は上野‐高崎間の路線とのことです)
また、昭和8年発行の『栃木縣史 第2巻 交通編』によると、明治39年11月1日に、日本鉄道株式会社所有から国有化されたとのことで(p295-296)、この資料には「東北本線」「日光線」との表記がありました。
なお、東武鉄道日光線が開通したのは、昭和4年です。(『東武鉄道百年史』p367-368)
※『栃木県鉄道史話』には、宇都宮‐大宮間の開通は明治18年7月16日とあります。(p40)
○所要時間について
『史料鉄道時刻表』に明治4~26年の時刻表及び運賃表が載っており、出典は官報とあります。当館所蔵の官報から、明治27年11月30日付録に掲載されていました。ただ、明治28年以降は、11月30日前後に収録されておらず、明治36年頃のものも掲載が確認できませんでした。明治27年収録の時刻表を参考にした、上野‐日光間の所要時間は、次の通りです。
上野:午前6時40分発(始発)―10時5分宇都宮着
接続する宇都宮‐日光間の電車は午前10時20分に宇都宮発―11時50分日光着
この移動だと、上野から日光までは約5時間10分程です。
○乗車料金について
上記の官報(明治27年11月30日 第3428号付録)より料金を確認すると、
上野‐宇都宮 79銭
宇都宮‐日光 30銭
とあります。ただし、上野‐日光を直通で購入した時の料金が記載された資料は確認できませんでした。また、この表中に
表中乗車賃金ハ下等ノミヲ示シ上、中等ヲ略ス但シ中等ハ凡ソ下等ノ二倍、上等ハ凡ソ下等ノ三倍(日本鉄道、山陽鉄道及讃岐鉄道会社線ヲ除キ)ナリ
とあります。(ただし、「日本鉄道ヲ除キ」とあり)
また、『栃木県鉄道史話』には、「当時の運賃については当時の新聞広告に度々しるされていた」とあり、「大宮・宇都宮間は下等七十二銭、上等は二百四十五銭」とあります(p41)。二区線(東北本線)開通時の話で出てくるので、明治18年頃の料金のようです。また日光線については、明治23年の開通の頃の話として「日光・宇都宮間の運賃は下等二十五銭、中等五十銭、上等七十五銭」とあります(p167)。
○上野‐桐生間の行程について
上記の官報(明治27年11月30日 第3428号付録)の時刻表より両ルートを確認したところ、小山経由なら上野18時発の電車で22時台に桐生に着きます。しかし、前橋経由で18時台に上野を出発する電車がなく、前橋経由だと17時上野発の電車でなければ、その日のうちに桐生へ行くことは出来ないようです。
なお、27年当時、各駅間の料金は以下のとおりです。
上野‐小山間 58銭
小山‐桐生間 40銭
上野‐前橋間 83銭
前橋‐桐生間 21銭
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 鉄道運輸 (686 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 明治
- 鉄道
- 路線名
- 運賃
- 行程
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000150406