レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/05/18
- 登録日時
- 2011/10/28 02:05
- 更新日時
- 2012/03/03 02:02
- 管理番号
- 滋2011-0448
- 質問
-
解決
大津町で酒造業を始める時、以下の出費が必要であったと『大津市志』975ページにありますが、これは今の貨幣価値に換算した場合、どの程度になりますでしょうか?
また、ここでいう銀1枚とは、どの銀貨をさすのでしょうか?
江戸時代は貨幣価値がかなり変動したようですので、18世紀中頃(1760年前後)で分かれば、よろしくお願いします。
記
株代 銀 10枚
仲間入銀 銀 10枚
仲間振舞銀 銀 2枚
年寄へ礼銀 銀 1枚
歩き嘉兵衛 銭 500文
総年寄両人 銀 1両ずつ
町代両人 銀 1両ずつ
代官役所御小頭両人 銀 1両ずつ
合計 銀23枚、銀6両、銭500文
- 回答
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『大津市志』の974ページには、「後文政十一年正月従来の取り締に附加して酒屋奉公人等の取締を申し合せたり」とありますので、1828(文政11)のころの銀の価格を調べましたところ、金1両=銀62.20~64.988匁(京都)、銭1貫文=銀9.33~9.62匁となっていました。1765(明和2)より1両=銀12枚(60匁)と決まりましたので、銀1枚は、5匁の可能性が高いと考えられます。
銀23枚=115匁、銀6両=60匁(1両=10匁)、銭500文=銀約5匁(1貫文=1000文)で、
合計は銀180匁となります。
一方、当時の主要な物価を調べると、白米1石=銀70.52匁(春)、塩1俵=6.47匁(春)、
酒1石=118.64匁(春)となっています。
現代の物価との単純比較はできませんが、銀180匁は、米ならば2.5石(382Kg)、塩ならば、27.8俵(1,669Kg)、酒ならば1.5石(228Kg)買える値段です。参考になさってください。
なお、どの銀が使われたかという質問に対しては、975pに「其他年寄へは袴料として一年に白銀七枚を贈りたり...」とあります。銀貨の種類は1765年(明和2)から流通した明和五匁銀の可能性もありますが、はっきりとはわかりません。
- 回答プロセス
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貨幣の単位が違うので単純比較はできない。したがって、主要物価の比較という形で回答を試みた。
銀貨の種類については、わからない。
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品工業 (588 8版)
- 参考資料
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- 1 国史大辞典 4 国史大辞典編集委員会∥編 吉川弘文館 1984年 R-2100-4
-
2 日本史総覧 4 近世 1 今井堯∥ほか編集委員 新人物往来社 1984年 R-2100-4 -
3 近世後期における主要物価の動態 三井文庫∥編 東京大学出版会 1989年 2-3378-ミ -
4 図説日本貨幣史 日本学術協会∥編 展望社 1990年 2-3372-ニ
- キーワード
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- 銀
- 酒造業
- 物価
- 貨幣
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000094437