レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/08/22
- 登録日時
- 2016/03/31 00:30
- 更新日時
- 2016/03/31 00:30
- 管理番号
- 参調 15-0046
- 質問
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解決
①能面「喝食(かっしき)」「慈童(じどう)」が写真等で紹介されている資料
②俵屋宗達の水墨画で、子犬が戯れているもの(作品名不明)が見たい。
①、②とも、川端康成の小説「山の音」に出てくる。
- 回答
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①については、「能面の世界」48ページに「喝食」の写真と簡単な解説、61ページに「慈童」の写真と簡単な解説があり。
面を打つ作者によって表情等が違うようなので、何冊か見比べた方がよいかもしれない。
「能のデザイン図典」54~55頁に「喝食」「慈童」の写真あり。
②当館所蔵「川端康成全集 第12巻」収録の「山の音」で確認。以下の文。
「「はてな?」と信吾は思った。この子犬の格好は今初めて見る感じだが、前にそっくり同じ格好を見たと感じた。信吾はしばらく考えた。
「さうか。宗達の絵だ」とつぶやいた。
「ふうん。えらいもんだ」
信吾は宗達の子犬の水墨を写真版でちょっと見ただけで、模様化した玩具のような子犬だと思ったものだが、それが生きた写実だったかと気づいて驚いた。」(336~337頁)
検索エンジンで「川端康成」「俵屋宗達」「山の音」をキーワードに調べたところ、俵屋宗達の「狗子図」が「山の音」に出てきた水墨画であるという記述があり。
CiNiiで「川端康成」「山の音」をキーワードに調べたところ、「川端康成と琳派--『山の音』とそのエスキ-スの背景をめぐって」という論文が見つかった。(宗達は琳派)当館で掲載雑誌を所蔵していたため内容を確認したところ、子犬を見て宗達の水墨画を連想するシーンの説明があり、「一月後に発表された「花は眠らない(昭和25.5)には、この子犬の姿から宗達の水墨画を思い出し、その「生きた写実」に気づくという体験が、川端自身の体験として事実そのままに書き留められている」とあり。この論文では、水墨画は「犬図」という名前で紹介されている。
宗達は犬の水墨画をいくつか残しているらしく、検索エンジンの画像検索で「俵屋宗達」「犬図」で検索すると「狗子図」以外にも「犬図」と呼ばれているものがあることがわかった。
水墨画関係の資料を見たところ、俵屋宗達の「狗子図」は見つかったが「犬図」として紹介されているものは確認できなかった。
資料を調査しているときに「別冊太陽 川端康成」38ページに宗達の「狗子図」が「花は眠らない」「山の音」に登場した作品であると紹介されている文章を発見した。
「狗子図」もカラーで大きく紹介されている。
他に「狗子図」が紹介されているものとして、「もっと知りたい俵屋宗達」(47頁に掲載)、「江戸の動物画」(306ページに掲載)、「日本美術全集 13」(図15)が当館所蔵資料からみつかった。
*2015年7月20日日本経済新聞に、「犬十選 (8)俵屋宗達「犬図」 歌人 水原紫苑 」が掲載されており、これに俵屋宗達の「犬図」(「狗子図」ではなく)の写真が掲載されている。
*検索エンジンで「山の音」「能面」をキーワードに検索すると、「川端康成『山の音』と能」という論文がヒットする。能面の図版などはないようだが、「山の音」と能のかかわりについて論じられたものであるらしい。創価大学の学術機関リポジトリにPDFが掲載されており、全文を読むことができる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773 7版)
- 参考資料
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- 1 能面の世界 西野/春雄?監修 見市/泰男?解説 平凡社 2012.9 773.4/NO
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2 能のデザイン図典 中森 晶三∥監修・文 岩田 アキラ∥写真 東方出版 1995.11 773/NO -
3 川端康成 羽鳥/徹哉?監修 平凡社 2009.2 910.268/KA -
4 もっと知りたい俵屋宗達 村重/寧?著 東京美術 2008.9 721.5/TA -
5 江戸の動物画 今橋/理子?著 東京大学出版会 2004.12 721.025/E -
6 日本美術全集 13 宗達・光琳と桂離宮 辻/惟雄?編集委員 泉/武夫?編集委員 小学館 2013.4 708.7/NI/13 -
7 國語と國文學 第73巻第12号通巻876号 東京大学国語国文学会 至文堂 1924- Z301 p39~52に「川端康成と琳派」掲載 -
1 川端康成全集 第12巻 小説 新潮社 1980.2 918.6/KA/12
- キーワード
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- 能面
- 川端康成
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000190491