レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/12/17
- 登録日時
- 2016/12/25 00:30
- 更新日時
- 2016/12/25 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-160080
- 質問
-
解決
鶏権現について書かれている本はあるか。
- 回答
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1 鶏権現について
下記資料をご紹介いたします。※【 】内は当館請求記号です。
資料1 岩崎敏夫『民俗調査の細道』錦正社, 1993【380.4/931】
p.221「50.氏神など小祠の調査研究」の項
「(前略)鶏権現は本来は水の神でミワタリ(水渡り)がもとの名称である。(中略)鶏権現となると信仰はまるで変わって百日咳の信仰になっている。子供などが百日咳で咳き込む様子がケッケッと鶏の鳴き声に似ているところからというが、社から鶏の絵馬を借りてきて逆さまに貼っておくと、鶏は苦しがって子供の咳をもって家から飛び出してしまうというわけで、治ったら新しく鶏の絵馬を添えて社にお返しするという寸法である。(後略)」
資料2 谷川健一『谷川健一全集 23』冨山房インターナショナル, 2012【081.6/タケ065/23】
pp.163-164「失われた日本を求めて(抄録)」/「ヒトとけものの往還」/「ニワトリ」の項
「(前略)これについて思い合わせられることは、東北地方に庭渡社、庭足社、荷渡社、三渡明神、鬼渡神、鶏権現、鶏足権現などと呼ばれる神社が多いということである。(中略)外部からの邪霊の侵入を防ぐ関所の神といえば、さきに述べた「ゆうつけ鳥」であるニワトリが四境祭に供えられたことを思い出さずにはいられない。ということから私はやはり、鶏足社や鶏権現などが建てられたのは、ニワトリを申請な動物と見なした大昔の遺習とする柳田説に賛同せざるを得ない。(後略)」
資料3 渋谷道夫[ほか]『北海道・東北の民間療法』明玄書房, 1977【492.7/シ3】
pp.238-240「福島県の民間療法」/「一 祈願・祈祷・呪いの療法」/「一 奉賽物奉納」の項
「(前略)信夫郡(現在福島市に合併)の信夫山公園の東北のあたりに水雲神社がある。土地の人たちは鶏権現と呼んでいる。百日咳になると、この権現さまにお詣りして鶏の絵馬を供える。(後略)」
資料4 山口健児『鶏』法政大学出版局, 1983【488.4/ヤ1】
pp.213-214「第八章 近世民俗と鶏」/「鶏の神様」の項
「(前略)北関東から東北地方にかけて、鶏神社、鶏渡神社、鶏足神社、鶏権現、鶏明神と書いた小祠のあることが、民俗学者柳田国男の著書『石神問答』その他に出てくるが、これも鶏には全く関係のない神様であった。これらの小祠は「ニワタリ神」を祀ったもので、このニワタリという発音から、類似した鶏の文字を借用したものであった。(中略) 柳田国男はこれらの祭神を鶏足神(ニワタリガミ)と分類し、この神は信仰の形から「山の神」ではないかとされている。この神はもっぱら小児の咳、百日咳に霊験があることから、御神体はおそらく石であると考えられ、石の漢音セキと咳とを附会した一種の石神信仰であろうと考えられている。(後略)」
資料5 柳田国男『柳田国男全集 1』筑摩書房, 1999【380.8/97X/1】
p.596「石神問答」/「書簡三〇 柳田より佐々木氏へ」の項
「(前略)奥州には猶外の地方にてあまり聞かぬ神々あまたおはし候(中略)其五はニワタリ権現に候ニワタリ権現は又オニワタリともミワタリとも申候 ?の神かと存じ候へども常にニワタリと云ひ?足、庭渡などゝ書き候 本来は山頂に祀る神にや 白河附近には山の名にもありて其地を本源のやうに申す説ありしかと記憶致候(後略)」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 民俗信仰
- 民間信仰
- ニワトリ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 社会人
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000204845