レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年5月25日
- 登録日時
- 2014/05/16 11:26
- 更新日時
- 2014/05/25 18:36
- 管理番号
- 058
- 質問
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武庫川に架かる国道2号の武庫大橋について調べたい。
- 回答
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武庫大橋は、現在の尼崎市と西宮市の境界を流れる武庫川に架かる、国道2号の橋梁です。
阪神国道(現国道2号)の敷設は、大正8年(1919)に兵庫県会で議決され、翌大正9年から工事が始まりました。
自動車が増加するなか、道路幅がない旧国道(近世の中国街道)では交通に支障をきたすことから、旧国道とは別のルートを定めて、新たに軌道・車道・歩道に区分された幅員20mの道路を直線状に建設する計画で、今でいうバイパス道路として建設されたものです。
大阪府域と兵庫県域を通る阪神国道には、多くの橋が架けられました。なかでも武庫大橋は全長200m余りと、兵庫県側では最も長い橋です。鹿島組(現鹿島)が施工し大正14年8月に着工、大正15年12月に竣工しました。
設計者は、橋梁技術者として多くの橋の設計に携わった増田淳です。鉄筋コンクリートによる開腹式アーチを主体構造に採用しており、径間20mのアーチ橋6連を中心に、両岸の高水敷上は径間8.2mの桁橋9連で構成されています。
戦時中の金属供出により、高欄の鉄格子と青銅製の電灯柱が撤去され長らくそのままとなっていましたが、平成5年(1993)に復元工事が完成し、往時の姿を取り戻しました。
尼崎市立地域研究史料館は、この武庫大橋に関する建築工事概要(図面添付)や写真、建築に関する論考などを所蔵しており、閲覧して調べることができます。
- 回答プロセス
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1 敷設当時の刊行物
◆『阪神國道武庫大橋架設工事概要』昭和2年
開通翌年に発行されたもの。以下の図面が添付されている。
「武庫大橋一般圖」「桁橋横断面圖」「拱橋横断面圖」
◆『阪神國道改築工事概要』大正12年、昭和2年
阪神国道(現国道2号)敷設工事全体の概要。
新たな敷設工事として施工されましたが、旧国道の改築という位置付けであったことから、「改築工事概要」という表題となっている。
2 写真(いずれも絵はがき)
◆「阪神國道 武庫大橋(阪神國道竣功紀念ゑはがき 其二)」WEST PHOTO CO.発行、昭和2年頃
◆「武庫大橋(阪神國道電車沿線)」発行者不明、昭和年代
◆「武庫川遊園地(阪神國道電車沿線)」発行者不明、昭和年代
3 論考
◆溝口親種「武庫大橋の工事に就て」(最新の郊外橋梁)
『土木建築工事画報』第3巻第4号・第3巻第5号所収
4 近代建築として紹介する文献
◆兵庫県建設業協会編集・発行『昔も今もこれからも 兵庫を築く-あなたの近くの土木・建築ものづくり-』
兵庫県域のさまざまな土木・建築遺産を紹介する刊行物。
武庫大橋についても項目を設けて写真・図面付きで紹介している。
このほか、近代建築のガイドブック類のなかにも、武庫大橋について言及しているものがある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 橋梁工学 (515)
- 参考資料
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- 『阪神國道武庫大橋架設工事概要』兵庫縣発行、1927年 (当館請求記号 517.6/A/ヒ)
- 『阪神國道改築工事概要』兵庫縣発行、1923年・1927年 (当館請求記号 514.6/A/ヒ)
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溝口親種「武庫大橋の工事に就て」(最新の郊外橋梁)
『土木建築工事画報』第3巻第4号・第3巻第5号、1927年4月・5月 (逐次刊行物) - 兵庫県建設協会編集・発行『昔も今もこれからも 兵庫を築く-あなたの近くの土木・建築ものづくり-』2013年 (当館請求記号 521.6/A/ヒ)
- キーワード
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- 武庫大橋
- 阪神国道
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000153271