レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20140410
- 登録日時
- 2014/04/10 15:27
- 更新日時
- 2014/04/11 12:39
- 管理番号
- 055
- 質問
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解決
「力石(ちからいし)」とは何か? 尼崎地域に残っているものを調べたい。
- 回答
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「力石(ちからいし)」とは、力試しに用いられる大きな石のことを言います。
力石の全国的な調査を行った高島愼助氏(四日市大学教授)は、「労働を人力に頼らざるを得なかった時代に労働者の間に発生し、力くらべや体力を養うのを目的にした石を指す。したがって力石による「力持ち」は、一人前の男としての通過儀礼、鍛練および娯楽としての要素が濃厚であった」と定義付けています(同氏著書『兵庫の力石』より)。力石を用いた力くらべは、昭和戦前期頃まで日本各地で見られた風俗であり、村の若者たちが集まる場所などに力石が置かれていました。
日本の力石の起源について、石占(いしうら、石を使った占い)から発生したとする説もありますが、高島氏の前掲書によれば、全国調査のなかで力石を用いて石占を行なうという証言はほとんど得ることができなかったということです。
『兵庫の力石』には、尼崎市域の6か所・12個をはじめ、兵庫県域各地に残る力石が収録されています。同書には力石ひとつひとつの所在地とサイズが記録され、写真が掲載されているほか、重量・石銘あるいは呼称が判明したもの、石にまつわる伝承や証言が得られたものは、それらも記録されています。
近年尼崎市域に残る力石の保存・顕彰が行なわれた例として、田能の力石があり、レポート(井上眞理子「二つの石伝説(その1)―田能の力石―」)も発表されています。
田能の力石のひとつには「紫雲石」という石銘や「天保十二年」という年号などが刻まれていますが、無銘の石が残る例も多く、これらも含めて調査を進めることで、さらに多くの力石が確認される可能性があると考えられます。
- 回答プロセス
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1 兵庫県域の力石に関する研究文献
◆高島愼助『兵庫の力石』
行政区域別に、確認されている力石の所在地、銘、サイズなどの基本データが網羅的に記録されており、写真も掲載されている。
尼崎市域の6か所・12個の力石が収録されている。
2 田能の力石についてのレポート
◆井上眞理子「聞き描き ありし日のまちと暮らし(27) 二つの石伝説(その1)―田能の力石―」
神戸史学会『歴史と神戸』第47巻第1号(通巻266号)所収
田能の地元に取材して、力石にまつわる伝承や保存・顕彰の経緯などを記したもの
- 事前調査事項
- NDC
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- 通過儀礼.冠婚葬祭 (385 9版)
- 社会.家庭生活の習俗 (384 9版)
- 参考資料
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- 高島愼助『兵庫の力石』岩田書店 平成19年発行 (当館請求記号 382/A/タ)
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神戸史学会『歴史と神戸』第47巻第1号(通巻266号、平成20年2月)掲載
井上眞理子「聞き描き ありし日のまちと暮らし(27) 二つの石伝説(その1)―田能の力石―」
- キーワード
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- 力石
- 通過儀礼
- 娯楽
- 兵庫県尼崎市
- 田能
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000152007