レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年09月17日
- 登録日時
- 2009/10/01 16:19
- 更新日時
- 2009/10/01 16:26
- 管理番号
- 福若-2009-0916
- 質問
-
解決
遠敷川(小浜市)の川筋が変わった時期を知りたい。
- 回答
-
「5万分の1地図」図歴,空中写真,北川水系の復旧記録より、昭和29~34年(1954~1959)頃と推測される。
また「福井県史」条里復元図 等より、かつての流路および江戸時代以前の流路についても、若干の推測が可能。
- 回答プロセス
-
① 自館で「遠敷川」で検索。
→ 『自然観察の手びき 遠敷川』等の資料があるが、関連記載なし。
② 福井県の地名辞典・川関係の資料をあたる
→ 「遠敷川」の項あるが、関連記載なし。(『越前若狭河川のルーツ』『ふくいの川』等)
③ 市史・県史等をあたる。
→『小浜市史』『福井県史』に、戦前の北川改修に関する記述あるが、戦後はなし。
*旧「遠敷村」また、遠敷地域の史誌は、あまりない。
④「北川水系」関係の資料をあたる。 *遠敷川は北川水系に含まれ、遠敷地域北部で合流する。
→ 以下の資料より、13号台風(昭和28年)後の復旧工事が昭和29~34年にかけて行われたことがわかった。
・『福井県土木史』福井県建設技術協会編 1983 (H510/フクイ/1) :p472~473
・『北川ものがたり』建設省近畿地方建設局福井工事事務所編 1998 (H517/ケンセ)
:p19「治水の歴史」に、江戸時代以降の北川水系の改修等の一覧表あり。
*かつての空中写真や地図等をあたる。
⑤ 国土地理院HP「国土変遷アーカイブ空中写真閲覧」を調べる。 http://archive.gsi.go.jp/airphoto/search.html
→「昭和27年4月16日撮影」の写真は、金屋集落寄りに湾曲した流路(旧川筋)をとっている。「昭和38年8月13日撮影」の写真は、
前者よりも西側の直線状の流路(新川筋)をとっている。
⑥ 『5万分の1図歴地形図』熊川 人文社 1992 (H297/コ) を調べる。
→「昭和34年7月30日発行」:M26測図・T9修正測図・S26応急修正 の地図では、「旧川筋」をとっている。「昭和42年11月30日発行」
:S36測量・S40補足調査 の地図では、「新川筋」をとっている。
*この地域「2万5千分の1地図」は昭和46年測量分から
:国土地理院HP「図歴(旧版地図)」より http://www.gsi.go.jp/cgi-bin/zureki/25man.cgi?99-4-3
⑦ 古代「条里制」の復元関係の資料は、地図や字名等が豊富。関係資料をあたる → 以下の資料等があった。
・『福井県史』資料編16下「条里復原図」1992 (H201/フ/2-16-2)
:県内の条里制の遺構のある地域を地図復元・解説。昭和50年代の「土地基本図」上に明治初期の「地籍図」の字名・字境、川・池等を重ねて
表示している。遠敷川を含む地図は、№122・123・126の3枚。「旧川筋」と「新川筋」を1枚の地図上で比較できる。
*遠敷地域付近の条里制に関する資料は、他に「若狭国遠敷郡の条里について」須磨千頴著等 がある。
⇒ ④⑤⑥より、昭和29~34年の北川水系復旧工事によって「新川筋」に改修されたと推測される。
⑧ 明治時代以前の川筋に関しては、以下の資料等で若干の推測が可能。
・上述の『福井県史』「条里復原図」の解説編p61に、条里の乱れから遠敷集落より下流にかけて現在より西側に流れていた、
との推測が述べられている。
・江戸前期の国絵図「若狭敦賀之絵図」(正保2年) http://www.library.pref.fukui.jp/webmuseum/collect/detail.do?data_id=3989
:福井県立図書館HP「貴重資料DB」所収で高画質拡大可能。方位・縮尺は不正確だが、集落や街道との関係からある程度、
川筋を推測することができる。
・「文政9年以前 小浜藩領図 下中郡絵図」(『小浜市史』絵図地図編 1993図8)
:江戸後期の郡図で、方位・距離がある程度正確。やや小さいが、遠敷川の川筋がわかる。
・「北川川除普請割当絵図」天保11年 (『小浜市史』絵図地図編 図42)
:江戸後期の北川水系の絵図。方位・縮尺は不正確。「図版・解題」p6によれば、京都大学文学部博物館の目録にはほかに
「若狭国川絵図第一 遠敷川絵図」の所蔵があるらしい。
*遠敷川付近は含まないが、北川下流域から河口付近にかけては、下の2書に推定図がある。
・「地形図からみた小浜と西津」芝田寿郎著(『福井県歴史の道調査報告書』第6集 所収) 2006 (H682/キヨウ/6)
・「中世港湾都市小浜の成立過程」下仲隆浩著(『港湾をともなう守護所・戦国期城下町の総合的研究』 所収) 2008 (H275/コウワ)
*ほか関連機関としては、以下のところが考えられる。
・小浜市役所(担当部署):地籍図(公図)閲覧・入手 *有料
・国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所北川出張所,福井県土木部
:過去の北川水系の改修関連資料について尋ねることができる。
(各サイト等は090917確認)
- 事前調査事項
-
かつては現在よりも東側(金屋集落寄り)を流れていた、と聞いた。また、それ以前の川筋についても知りたい。
- NDC
-
- 日本 (291 8版)
- 河海工学.河川工学 (517 8版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 遠敷川(北川水系)
- 川筋・河道・流路
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000058472