レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20101102
- 登録日時
- 2010/12/16 02:00
- 更新日時
- 2010/12/16 14:18
- 管理番号
- B101019144039
- 質問
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解決
1)累乗根を表す言葉について、rootなどの「根」を表す言葉を使うのはなぜか。
2)サンスクリット・ギリシャ語、アラビア語、中国語のうち、どの言語が累乗根の出てくる文献として古いものがあるか。
- 回答
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ご照会の事項について以下のとおり回答します(【 】内は当館請求記号です)。
当館所蔵資料を調査した結果、平方根の「根」の由来についてと、累乗根の出てくる文献について記述のある資料がありましたので、以下にご紹介いたします。
1)平方根の「根」の由来について記述のある資料
① 『数学用語と記号ものがたり』(片野善一郎 裳華房, 2003.8 【MA25-H12】)
「6. 平方根の根とは何か、記号はどうして√になったのか」のうち、pp.45-46で平方根の根の由来が説明されています。
② 『図説世界の数学の歴史』(リチャード・マンキェヴィチ[他] 東洋書林, 2002.7 【MA25-H2】)
「第11章 代数と幾何学の結合」のうち、p.78で数学者フィボナッチが1202年出版の資料で、アラビア語を翻訳した名称を用い、累乗根をラディクスと表現したことが記述されています。
2)累乗根の出てくる文献について記述のある資料
(1)バビロニア(メソポタミア)
③ 『数学史』(ブルバキ[他] 〔2版〕 東京図書 1993.7 【MA25-E85】)
「多項式と可換体」の項目のうち、p.88にバビロニアでの平方根についての言及があります。なお、文献の註があり、文献情報はp.281に記載されています。
④ 『数学の歴史. 1』(ボイヤー[他] 新装版 朝倉書店 2008.10 【MA25-J27】)
「第3章 メソポタミア」内のpp.38-42にバビロニア人の平方根の計算について記述されています。
⑤ 『数学はいかにして創られたか』(Luke Hodgkin[他] 共立出版 2010.1 【MA25-J64】)
「第1章 バビロニアの数学」内の「5 抽象化と無用」(pp.31-34)の項目に、古バビロニア時代の「図6『2の平方根』 粘土板 YBC7289」(p.32)が掲載されています。
(2)サンスクリット語(古代インド)
⑥ 『数学史物語』(山下純一 東京図書 1988.11 【MA25-E22】)
「第六章 インドの数学」では、平方根について記述のある古典時代の2つの数学書について紹介しています(pp.205-207)。
⑦ 『インドの数学』(林隆夫 中央公論社 1993.10 【MA25-E76】)
「第五章 アールヤバタの数学」(pp.149-186)では、平方根について記述のある著作を紹介しており、平方根については「詩節4(開平算法)」(p.161)と「詩節5(開立算法)」(p.162)で説明されています。
⑧ 『科学の名著. 1』(朝日出版社 1980.10 【M15-7】)
「アールヤバティーヤ」(矢野道雄訳)(pp.19-138)が収載されています。平方根と立方根の項目はp.95に収載されています。
(3)ギリシャ語
資料② 『図説世界の数学の歴史』の「第3章 ピタゴラスの定理」において、特定の文献は明示されていませんが、pp.24-26に平方根の証明に関する記述があります。
資料② 『図説世界の数学の歴史』の「第4章 幾何学原論」のうち、pp.28-32に平方根について記述のある著作が紹介されています。なお、p.32に「立方根は扱われていない。」との記述があります。
⑨ 『数学の歴史. 2』(ボイヤー[他] 新装版 朝倉書店 2008.10 【MA25-J28】)
「第1章 シラクサのアルキメデス」のうち、pp.8-9に平方根について記述のある著作が紹介されています。
「第3章 ギリシャの三角法と測定法」のうち、pp.76-79に平方根について記述のある著作の紹介と、平方根を求める算法につけられた名前が紹介されています。
(4)アラビア語
⑩ 『歴史の中の数学』(マイケル・S.マホーニィ[他] 筑摩書房 2007.5 【MA25-H96】)
「第3章 中世ヨーロッパの数学」内の「2 新しいテキスト、新しい問題」のうち、pp.158-161で平方根について記述のあるアラビア語の数学書について紹介しています。
資料⑤ 『数学はいかにして創られたか』の「第5章 イスラム圏、無視と発見」内の「5 代数――その起こり」(pp.135-141)と「6 代数――次の発展」(pp.141-143)の項目に、資料① 『数学用語と記号ものがたり』、資料② 『図説世界の数学の歴史』で紹介されている原文献の詳細があり、「根」を定義している部分の翻訳がpp.153-154に「付録A」として掲載されています。なお、この原文献についてはp.127で説明されています。
(5)中国語
資料② 『図説世界の数学の歴史』の「第5章 算経十書」のうち、pp.34-37で平方根と立方根の開法について記述のある中国語の数学書について紹介しています。
資料⑥ 『数学史物語』の「第五章 中国の数学」では平方根、立方根の計算を行っていた漢時代の数学書『九章算術』についての解説があり(pp.146-177)、とくに「「小広」章」が開平法と開立法の計算とされています(p.147)。
⑪ 『科学の名著. 2』(朝日出版社 1980.11 【M15-7】)
「劉徽註九章算術」(川原秀城訳)(pp.45-271)が収載されています。「九章算術巻第四」はpp.129-148に収載されています。
⑫ 『九章算術について』(大山梅次 大山梅次, 2003.1 【MA25-H6】)
劉徽が註を付けた『九章算術』の原文に翻訳を対照させており、「第四 小広(二四問)」はpp.78-108に収載されています。
⑬ 『中国数学史』(銭宝〓[他] みすず書房 1990.2 【MA25-E41】)
『九章算術』についての解説があり、「1.開平方と開立方」の項目がpp.51-56にあります。
<その他の調査済資料>
・『数学史』(佐々木力 岩波書店 2010.2 【MA25-J68】)
・『身近な数学の歴史』(船山良三 東洋書店 1991.6 【MA25-E64】)
・『授業を楽しくする数学用語の由来』(片野善一郎 明治図書出版 1988.3 【MA25-E12】)
・『数学の歴史』(小川束、平野葉一 朝倉書店 2003.10 【MA25-H14】)
・『数学の歴史』(長岡亮介 3訂版 放送大学教育振興会 2003.3 【MA25-H22】)
・『はじめて読む数学の歴史』(上垣渉 ベレ出版 2006.1 【MA25-H61】)
・『ギリシア数学の探訪』(上垣渉 亀書房 2007.5 【MA25-H94】)
・『物語数学の歴史』(加藤文元 中央公論新社 2009.6 【MA25-J49】)
・『数学はじめて物語』(ピーター・S.ラドマン[他] 主婦の友社 2008.2 【MA25-J5】)
・『数学のあけぼの』(A.K.サボー[他] 東京図書 1988.6 【MA25-E16】)
・『数字の歴史』(ジョルジュ・イフラー[他] 平凡社 1988.6 【MA25-E19】)
・『数学のあゆみ. 上』(J.スティルウェル[他] 朝倉書店 2005.7 【MA25-H47】)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 数学 (410)
- 参考資料
- キーワード
-
- 累乗根
- 平方根
- ルート
- root
- √
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000075345