レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/06/05
- 登録日時
- 2020/08/03 00:30
- 更新日時
- 2020/08/04 15:23
- 管理番号
- 所沢新所-2020-004
- 質問
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解決
「機能性ディスペプシア(病名)」の症状や原因、治療法についてそれぞれ調べたい。
- 回答
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「機能性ディスペプシア」の症状や原因、治療法等について、下記の資料に記載があります。
〇『南山堂医学大辞典』 南山堂 2006年
〇『家庭医学大全科』 高久史麿/総合監修 猿田享男/総合監修 北村惣一郎/総合監修 福井次矢/総合監修 法研 2010年
〇『家庭の医学』 川名正敏/総監修 成美堂出版 2016年
〇『病気を見きわめる胃腸のしくみ事典』 宮崎招久/監修 川邉正人/監修 技術評論社 2017年
〇『家庭の医学』 主婦の友社/編 主婦の友社 2018年
〇『この病気にこの名医 Part3』 松井宏夫/著 主婦と生活社 2007年
〇『「胃もたれ・胸やけ」は治せる』 三輪洋人/監修 NHK出版 2015年
- 回答プロセス
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1、所蔵資料の内容確認
【症状について】
〇『南山堂医学大辞典』 南山堂 2015年
p518「機能性ディスペプシア」の項目に「あたかも胃に病変があることを示唆するような胃のもたれ、少ししか食べないのにおなかがいっぱいと感じる早期飽満感、心窩部の痛みあるいは灼熱感が慢性的に出没し(病脳期間と症状出現頻度は定義のしかたによって異なる),その原因となりそうな器質的病変もしくは内分泌・生化学的な異常が同定できないものを,機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)と呼ぶ。」と記載あり。
〇『家庭医学大全科』 高久史麿/総合監修 猿田享男/総合監修 北村惣一郎/総合監修 福井次矢/総合監修 法研 2010年
p.1757「機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)どんな病気か」の項目に「胃に潰瘍やがんなどがあるのではないかと疑うような胃の不快症状、たとえば胃のもたれや胃の痛みがあるのに、検査をしても症状の原因になりそうな病変が見つからないとき、これを機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)と呼びます。かつては、慢性胃炎、神経性胃炎、胃下垂、胃アトニー、胃けいれんと呼んでいたこともあります。」と記載あり。
「症状の現れ方」の項目に「食後の胃もたれ感、少ししか食べていないのにおなかが苦しくてそれ以上食べられない、食事とは関係なく胃が痛い、あるいは胃のあたりが灼けるように感じる、といった症状が一般的です。「みぞおちのあたりがはる」、「重苦しい」、「ムッとする」など、さまざまな言葉で表現されます。不眠やストレス感、体のあちこちに不調感があることもあります。」と記載あり。
〇『家庭の医学』 川名正敏/総監修 成美堂出版 2016年
p.458「機能性ディスペプシア 症状と特徴」の項目に「検査しても病変がみられないのに胃の不調の訴えがあることを機能性ディスペプシア(FD)とよびます。上部消化管内視鏡検査で病変がなく、つらいと感じる食後の膨満感、早期満腹感、心窩部(みぞおち)痛、心窩部灼熱感のうちひとつ以上が相当し、6か月以上前に認められ、3か月以上続いているときに診断されます。」と記載あり。
〇『病気を見きわめる胃腸のしくみ事典』 宮崎招久/監修 川邉正人/監修 技術評論社 2017年
p.87「2-2慢性胃炎「機能性ディスペプシア」とは?」の項目に「最近では機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia:FD)も注目されています。これは、内視鏡で観察しても胃粘膜に何の異常もみられないのにもかかわらず、慢性的に胸焼け、胃痛、吐き気や不快症状を引き起こすものです。これまでは慢性胃炎の一症状との認識でしたが、ひとつの病名としてとらえられるようになりました。」と記載あり。
〇『家庭の医学』 主婦の友社/編 主婦の友社 2018年
p.159「機能性ディスペプシア(FD)」の項目に「胸やけや胃もたれなどの症状が慢性的にあるのに、内視鏡などの検査を行っても、炎症や潰瘍といった原因となる異常がみられない状態をいいます。これまでは慢性胃炎とされたり、神経性胃炎とされたりしてきました。胃もたれや早期飽満感が主にみられる食後愁訴症候群(PDS)と、みずおちの痛み、灼熱感が主にみられる心窩部痛症候群(EPS)の二つのタイプに大きく分けられますが、はっきりと分けられないケースもあります。」と記載あり。
「原因・症状」の項目に「症状は人によりさまざまなものがありますが、食事のあとに胃がもたれる、少し食べただけでおなかがいっぱいになる、みずおちが痛む、みずおちが焼ける感じがするの四つが、主な症状とされます。それが、一時的ではなく、少なくとも一つ以上の症状が3カ月間続き、半年前には症状があらわれていたような場合、さらに検査をしても何も異常が見つからない場合が機能性ディスペプシアです。」と記載あり。
〇『この病気にこの名医 Part3』 松井宏夫/著 主婦と生活社 2007年
p.246-247「機能性胃腸賞②」の項目に「最近の3カ月間に、食後のもたれ感、早期飽満感(すぐ満腹になる)、上腹部痛、上腹部灼熱(しゃくねつ)感の4つの症状のうち、1つ以上症状があること。さらに、上部消化管内視鏡検査などを行って器質的な疾患が認められない場合です (中略)吐き気、腹部飽満感、食欲不振が強いと『運動不全型』、胃の痛みが症状の中心の場合は『潰瘍型』、2つの症状を併せ持つようなら『非特異型』と分類します。」と記載あり。
p.248「機能性胃腸症③」の項目に「上腹部痛、胃もたれ、腹部膨満感、胸やけ、食欲不振などの症状があるものの、器質的疾患がない病気を『機能性胃腸症』という。胃の運動機能の低下が原因とされる。タイプは胃もたれなどの症状が中心となる「運動不全型」、痛みがより強く出る「潰瘍型」、どちらの症状もでる「非特異型」の3つがある。」と記載あり。
〇『「胃もたれ・胸やけ」は治せる』 三輪洋人/監修 NHK出版 2015年
p.25「第2章 その不調の原因、解明します! 病気を知る1 胃の“動き”や“知覚”がおかしい? 機能性ディスペプシア」の項目に「機能性ディスペプシアでよく現れる症状は、「胃もたれ」「早期満腹感」「胃痛」などです。これらの症状のどれかがあることに加え、①症状を引き起こしている胃の病気がない、②症状が慢性的に続いている、という条件がそろっている場合に、機能性ディスペプシアと診断されます。」と記載あり。
【原因について】
〇『家庭医学大全科』 高久史麿/総合監修 猿田享男/総合監修 北村惣一郎/総合監修 福井次矢/総合監修 法研 2010年
p.1757「機能性胃腸症(機能性ディスペプシア) 原因は何か」の項目に「症状が起こる原因として、胃の動きが悪くなっている、胃の伸縮性(柔らかさ)が低下している、胃酸の刺激を受けやすくなっている、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)によるわずかな炎症が影響している、脳が敏感に感じやすくなっている、などが考えられます。また、ストレスも症状の悪化に少なからぬ影響を与えます。いずれの原因でも、胃に対する刺激を脳が敏感に感じているという点では一致します。」と記載あり。
〇『家庭の医学』 川名正敏/総監修 成美堂出版 2016年
p.458「機能性ディスペプシア 原因」の項目に「うつ病が原因の場合があります。」の記載あり。
〇『家庭の医学』 主婦の友社/編 主婦の友社 2018年
p.159「機能性ディスペプシア(FD) 原因・症状」の項目に「胃の運動が十分でないこと、胃酸が出すぎていること、胃が知覚過敏になっていることなどから、不快な症状が引き起こされると考えられます。ストレスなどの心理的社会的要因も大きくかかわっており、ヘリコバクター・ピロリの感染も影響します。感染性の腸炎のあとに発症することもあります。しかしまだ機能性ディスペプシアのはっきりとした原因は明らかになっていません。」と記載あり。
〇『「胃もたれ・胸やけ」は治せる』 三輪洋人/監修 NHK出版 2015年
p.24「第2章 その不調の原因、解明します! 病気を知る1 胃の“動き”や“知覚”がおかしい? 機能性ディスペプシア」の項目に「原因は、自律神経の乱れによる胃の動きや知覚の異常 胃の運動は自律神経がコントロールしています。ストレスなどで自律神経の働きが乱れると、胃の「運動機能異常」が生じます。(中略)また、胃は蠕動運動で内容物を十二指腸に送り出しますが、この動きが悪くなると胃もたれが起こります。胃の「知覚過敏」という機能異常が起こることもあります。(中略)このように、胃の機能異常によって、みぞおちを中心とするさまざまな症状(ディスペプシア)が現れることがあります。」と記載あり。
【治療法について】
〇『家庭医学大全科』 高久史麿/総合監修 猿田享男/総合監修 北村惣一郎/総合監修 福井次矢/総合監修 法研 2010年
p.1758「機能性胃腸症(機能性ディスペプシア) 治療の方法」の項目に「治療には、胃の運動を調整する薬剤、胃酸を止める薬剤、ストレスを和らげる薬剤などを使います。」と記載あり。
〇『家庭の医学』 川名正敏/総監修 成美堂出版 2016年
p.458「機能性ディスペプシア 治療」の項目に「薬物療法としては、アコチアミドやプロトンポンプ阻害薬が有効とされます。また、食後のもたれ感を解消するには、消化管運動機能改善薬を用います。また、消化管運動機能改善薬を用いても効果が出ない場合は、うつ反応やうつ病の可能性を考え、抗うつ薬や抗不安薬を用います。」と記載あり。
〇『家庭の医学』 主婦の友社/編 主婦の友社 2018年
p.159「機能性ディスペプシア(FD) 治療」の項目に「症状の改善を目ざし、症状に応じて薬物療法を行います。食後のもたれ感には消化管運動機能改善薬、みずおちあたりの痛みには胃酸分泌抑制剤などを用います。消化管運動機能改善剤の一つアコチアミドは、世界で初めて機能性ディスペプシアへの適応をもつ薬剤として承認された薬です。漢方薬の六君子湯も、機能性ディスペプシアの症状改善に効果があります。必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬の使用も検討されます。また、ヘリコバクター・ピロリの除菌も症状の改善につながることがあり、検査をして感染が認められたときには除菌療法を行います。治療では、生活改善や食生活を見直し改善するような生活指導も行われます。ストレスは症状を悪化させると考えられているため、十分な睡眠と休息が必要です。」と記載あり。
〇『この病気にこの名医 Part3』 松井宏夫/著 主婦と生活社 2007年
p.248-249「機能性胃腸賞③」の項目に「治療は『薬物療法』が中心になります。それに『生活習慣の改善』を行うようにします。(中略)胃もたれがより強く出る運動不全型には、モサプリドやイトプリドといった『運動機能改善薬』を使う。胃腸の働きをよくする薬である。(中略)さらに、「抗不安薬」を運動機能改善薬とともにつかうこともある。「ストレスは胃と大きく関係しているので、不安をとるのが目的です」。胃の痛みが強く出る「潰瘍型」には「胃酸分泌抑制薬」が使われる。胃・十二指腸潰瘍の治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は保険適用上問題があり、通常は用いていない。「H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)は使えます。ニザチジンやファモチジンなどがあります。胃酸を抑えながら胃の運動を良くするのです」そして、機能性胃腸症を生み出した生活習慣の改善。食事は①三食を規則正しく ②よくかんでゆっくり食べる ③栄養バランスの良さ、といった点を心掛ける。そして、酒は適量、たばこは厳禁である。(中略)あとはストレス解消と運動、十分な睡眠。」と記載あり。
△『病気を見きわめる胃腸のしくみ事典』 宮崎招久/監修 川邉正人/監修 技術評論社 2017年
p.88-89「2-2慢性胃炎」の項目に慢性胃炎の原因と治療法として記載あり。
△『「胃もたれ・胸やけ」は治せる』 三輪洋人/監修 NHK出版 2015年
p.46「第3章 生活を変えれば胃はよくなる! 胃の不調を改善!4つの対策」の項目に胃全体の不調症状の治療法として記載あり。
2、確認をしたが、記載のなかった資料は以下の通り。
×『病気と症状がわかる事典』 和田高士/総監修 日本文芸社 2009年
×『胃腸・肝臓などのしくみと病気がわかる事典』 安藤幸夫/監修 西尾剛毅/監修 成美堂出版 2004年
×『家庭医学事典』 新星出版社/編集 新星出版社 2004年
×『新家庭の医学』 堀原一/監修 細田瑳一/監修 時事通信出版局 2005年
×『胃腸の検査・手術で困ったときに読む本』 指山浩志/著 彩流社 2016年
×『現代<家庭医学>大事典』 市川平三郎/[ほか]監修 講談社 1999年
×『症状からすぐにひける家庭の医学事典』 大前利道/総監修 西東社 2010年
×『胃・腸病退治百科』 志賀貢/監修 みずうみ書房 2000年
- 事前調査事項
- NDC
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- 医学 (490 9版)
- 家庭衛生 (598 9版)
- 内科学 (493 9版)
- 参考資料
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- 南山堂医学大辞典 南山堂 2006.3 490.33 4-525-01029-0
- 家庭医学大全科 高久史麿/総合監修 法研 2010.10 598.3 978-4-87954-820-7
- 家庭の医学 川名正敏/総監修 成美堂出版 2016.8 598.3 978-4-415-32159-2
- 病気を見きわめる胃腸のしくみ事典 宮崎招久/監修 技術評論社 2017.5 493.4 978-4-7741-8957-4
- 家庭の医学 主婦の友社/編 主婦の友社 2018.2 598.3 978-4-07-426414-8
- この病気にこの名医 Part3 松井宏夫/著 主婦と生活社 2007.10 492 978-4-391-13502-2
- 「胃もたれ・胸やけ」は治せる 三輪洋人/監修 NHK出版 2015.1 493.4 978-4-14-794169-3
- キーワード
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- 機能性ディスペプシア
- 胃腸
- 胃炎
- 消化器病
- 家庭医学便覧
- 医学辞典
- 機能性胃腸症
- 病気
- 疾患
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000285251