「とどろき」は水音からきているとする説をはじめ、由来については諸説ある。漢字は当て字であるとする資料が多い。
『日本歴史地名大系49 総索引』(資料1)で「とどろき」を調べると、質問に該当する以下の地名が見つかる。
二十六木、廿六木村(秋田県) 廿六木村(山形県) 廿六木(新潟県)
ただし、各県の分冊にあたって記載内容を確認したが、地名の由来にはついては触れていなかった。
また、都立DBを<二十六木+廿六木+十々六木>をキーワードにして検索すると資料2がヒットし、埼玉県にも「十々六木」という地名が存在したことがわかる。
資料2とともに、上記各県の地名に関する資料を調査したところ、資料3~7にも関連の記述が見られ、水音から由来するという説など諸説あることがわかる。
また、地名・姓氏の由来に関する資料を調査したところ、資料8~9に水音が由来で漢字は当て字である旨の記述がある。
資料2:「十々六木の地名」という項があり、埼玉県にかつて存在した「十々六木」地名の由来として覚範入道の伝説が紹介されている。その中に「おどろき」から「とどろき」になったとの記述がある。
資料3:山形県余目町の「廿六木」の由来について、以下の記述あり。
「応永年間讃岐国(現香川県)の阿部氏ほか25名が当地の開発にあたったことから廿六騎 とどろき と証したという伝説がある(広報あまるめ)」
資料4:巻末「地名語源字引き」の「とどろき 廿六木」の項に以下の記述がある。
「轟の当て字。川の水音『とうとう』に、十(とう)と十(とう)とを合わせて二十になることから廿の字を当て、ろきに六木を当てて廿六木で『とどろき』と読ませた。『とうとうと水音の聞こえる所』の意。」
資料5:「水音に関する地名」という項の中に、「トドロキ(轟、廿六木)は水が落下する響きである。」という記述がある。
資料6:埼玉県秩父郡大滝村の「十々六木」について、以下の記述がある。
「二十六木とも書く。(中略)古くは十十六騎、轟ともかいて、水の流れる音か、滝の音の擬音から地名となった。諸国の動木、等力、二十六木と書いてトドロキと読む地名はみな同意である。」
資料7:新潟県燕市の廿六木に関わる以下の記述が「轟木(十日町市)」の項にある。
「これは滝の音、車の音からくる騒音である。一般に『トド、トドロキ』といい百々、轟木、驫木、廿六木などと書かれる。(中略)廿六木は、十たす十で二十と加算をしたものであろう。」
資料8:「二十六木(とどろき)」の項に、「車馬、流水などの音がとどろくさま。その地。文字は当て字。」との記述がある。
資料9:「等力(とどろき)」の項内に秋田県の二十六木・埼玉県の十々六木も記載されており、「トドロク流水音や車馬の音からくる。文字はみな当て字。」との記述がある。